絶対天使と死神の話

輝ける魂編 09.君がいれば


南東に町があったというヤフトクゥスの証言を信じて、一行は歩き出す。
しかし行けども行けども緑の絨毯が広がる景色を前にして、神坐の心には猜疑心が生まれつつあった。
初めてファーストエンドに降り立ってから、ヤフトクゥスが再びアーシス上空へ戻ってきたのは一日後だ。
アーステイラの気配を探して世界を飛び回った挙句、結局見つからなくてスタート地点へ戻ってきた。
どこをどう飛び回ったのかも判らない状況で見かけた町は、本当にアーシスから見て南東にあったのだろうか?
世界一周したと想定した場合、まるっきり逆の方角にある可能性だって生まれてくる。
不安になったのは神坐だけではなかったようで、原田もヤフトクゥスに「本当に、この方角であっているのか?」と念を押していた。
「間違いない。ちらっとだが、建物を眼下に見たような気がしたのだ」
「え、ちょっと、見たような気がしたって、見たと断言できないの?」と水木に驚かれて、絶対天使は気を悪くした顔で突き放す。
「何度も言わせるな。あの時はアーステイラの気配を探すことしか念頭になかったのだ」
「……じゃあ、君が見たのは町じゃなかったのかもしれないね」
ジャンギが呟き、次の範囲にかかる怪物の気配を探る。
彼が探知できる気配は一定の限界距離があり、それ以上遠のくと感じられなくなってしまう。
それで先ほどから歩いては立ち止まっての気配感知を繰り返しているわけだが、このペースで移動するとなると何年かかるのやらだ。
「やっぱり草原地帯には、いないみたいだ」と溜息をこぼすジャンギに、ソウルズが尋ねる。
「なら、ここらの気配は無視して一気に突き進むか?」
「いや、気配感知を怠るのは危険だよ。極力、戦闘は回避していかないと」
慎重な判断は、さすが引退しても英雄だ。
「一般怪物の気配だったら、俺にだって感知できるぜ」
軽口を叩いた後に神坐は付け足した。
「まァ、うっかりアーステイラの気配を見逃したら面倒だし、ここはジャンギに一任するけどよ」
それより南東にあった町が町ではなかったとしたら、ヤフトクゥスの見た建物は何だったというのか。
小島が問うとジャンギは「遺跡だったかもしれないってことさ」と答え、小首を傾げる。
「けど俺が南と東を探索した時は、建物なんて一つも見つけられなかったんだけどなぁ」
「何ヶ月歩き回ったんだよ?」との神坐の質問にも「累計で半年ぐらいだったかな」と答えて、ジャンギは肩をすくめてみせた。
「もうちょっと当時の俺に根性があったら、そこの彼が見たっていう建物に到着できたかもしれないけどね」
「ヤフトクゥスは空を飛んで探したんだよな……」とポツリ呟き、原田が神坐へ話を振る。
「空を飛んで探してみませんか?」
「や、この人数抱えて飛べってか?無茶言うなよ、原田」
即座に却下されて違いますと断った原田の案とは、ヤフトクゥスに空を飛んでもらって、この先に町があるかどうかを調べて欲しいというお願いであった。
「ナイスアイディアだぜ、原田」と喜ぶ小島と比べると、元自由騎士二人の反応は渋い。
「こんな巨大な気配の塊を単独行動させるのか……?怪物を誘き寄せる餌にならなければよいが」と懸念を示したのはソウルズで、「誘き寄せるって、どうして?巨大な気配だったら怖くて近寄らないんじゃないの」との水木の反論には「そうじゃないよ」とジャンギも否定する。
「怪物の中には、俺達と同様に生き物の気配を感知できるのがいるんだ。気配を手繰り寄せて、食べられる獲物を探す……怪物の判断は強いか弱いかじゃない、生きているか否かだ」
「俺が易々怪物の餌になると思っているのか!」
激怒するヤフトクゥスはさておき、怪物に気配を感知される状況は神坐にも覚えがあった。
原田たちを救出すべく、森林地帯へ入り込んだ時だ。
あの時はアーステイラが嗾けたのだと勘違いしたが、怪物は単体で気配感知していたのだ。
森林地帯には気配感知できる怪物がウヨウヨいると見ていいだろう。
これから向かう南東は、自由騎士が探索しきれていない未知の場所だ。
どんな怪物が待ち受けているか判らない。
ちらりと絶対天使を見上げて、神坐は腕を組む。
「俺達のいく先に、こいつを飛ばすのは自殺行為か。けど、それだったら一緒に連れて歩いていたって同じ結果になるんじゃねぇか?」
「そうならないよう、先手を打って気配感知で回避していくしかない。単独行動は危険だ。こちらがフォローできないし、もし近くにアーステイラが隠れていた場合、派手な戦闘は彼女を警戒させてしまう」
完全却下した後で、ジャンギは原田への気遣いも忘れなかった。
「確認してほしいと原田くんが考えるのも判るけどね。南東にあるのが町じゃなかったら、とんだ無駄足だ」
しばらく無言だったジョゼが、ぽつりと呟く。
「……アーステイラは、ヤフトクゥスの気配を感知できるのかしら?」
「それは……どうだろう」と呟き返して、原田もヤフトクゥスへ目をやった。
全員に注目された本人が答える。
「絶対天使のままであれば感知できただろうが、怪物化した今は出来るのかどうか判らぬ」
「餌じゃねーし、できないんじゃねーか?」とは小島の推理で、水木も首をひねって考える。
「結界を張っているのはヤフトクゥスに見つからないように、だよね。アーシスに戻ってこられたのも場所を覚えていたから、だし。アーステイラが自発的に会いたいと思わない限り、感知しないんじゃないかな?」
「あいつとしちゃあ会いたくないだろうなぁ、また醜いって言われちまうし」
ヤフトクゥスがアーステイラを罵った場面を思い出して、神坐は水木の推理に納得した。
醜いと言われずとも、アーステイラだって自分の外見が酷く変貌したのには気づいているはずだ。
或いは醜くなったからこそアーシスを逃げ出したのかもしれないのに、ヤフトクゥスには気遣いが足りない。
「仲間だってのに酷いこと言うよなー、お前。ピコはアーステイラの姿に全然文句言わなかったのに」と小島に罵られたって、ヤフトクゥスは反省しない。
「醜いものを醜いと言って何が悪い!?あれは大罪を犯した愚者だ、もはや仲間ではない!」
「そうね、ピコくんが拒絶しなかったのは意外な気がしたわ」とジョゼが頷き、遠くを見やる。
「ピコくんって美人にしか興味がないのかと思っていたから」
「違ェよ、あいつが一番興味あんのは、あいつ自身だっての」
即座に小島が突っ込み、水木も苦笑する。
「ピコくんはアーステイラが美少女だったから好きになったんじゃないかもしれないよ?アーステイラが告白してくれたから、好きになったのかもしれないじゃない」
それだと猫や虫が告白してきてもオーケーしそうで却って軽薄な印象が拭えないのだが、まぁ、ピコがアーステイラをどう想っているのかは本人に聞かねば判るまい。
アーステイラに都合のいい棒扱いされた彼は、今、どんな気持ちでいるのだろう。
次の方角をジャンギに示されて、後ろをついて歩く間も原田の脳内はピコへの回想で満たされた。
ピコは、かなり繊細だから、セックス三昧を強制される異常事態には耐えられないのではなかろうか。
気絶していないか、怯えていないか、それとも精魂尽き果てて干からびていないか。心配である。
アーステイラはセックスに溺れていりゃ幸せなんだろうが、ピコには自由騎士になる夢があった。
自由騎士になって、母親に楽をさせてやりたかったのかもしれない。
ピコから家族の話を聞いたことはない。
しかし合同会での昼食にて、アクセレイ親子は仲の良い様子が垣間見えていた。
アーステイラのせいで、ピコは、たった一人の家族とも離れ離れになってしまった。
だんだん身勝手なアーステイラに、ふつふつ原田の脳が煮えたぎってきた辺りで、一行の足が止まる。
「しまった、もう活動時間になっちまったか。至るところに怪物の気配があって、回避しようがないな」
ジャンギの視線に釣られて空を見上げれば、お天道様がカンカンに照りつけており、気づかないうちに時刻は昼近くまで過ぎていたようだ。
「なら、安全地帯にいる間に休んでおいて、夜間に移動を再開しよう」とソウルズが相槌を打ち、荷物から簡易テントを取り出した。
「こんな草原のど真ん中……かどうかは判んねぇけど、何もない平地にテント建てて大丈夫なのかァ!?」
慌てる小島を一瞥し、自由騎士の常識だと言わんばかりにソウルズが吐き捨てる。
「近辺に怪物がいない。これ以上の安全な場所が他にあるか?」
「その通りなんだけど、言い方がきついよ」とジャンギは苦笑して、子供たちを手招きで呼び寄せた。
「一応気配感知して周辺に怪物がいない場所を歩いてきたわけだけど、休憩中に怪物が移動して此方の範囲内に来ないとも限らない。だからテントで休んでいる間は、交代で見張りを立てるのが一般的だ。でも、君達は初めての長距離移動で疲れているだろうからね。見張りは俺がやっておくよ」
「え〜っ!?それじゃジャンギさんは、いつ休むの?」
英雄の指示には当然のように水木が反発、原田も下がり眉でジャンギを気遣ってくる。
「ジャンギさんは気配感知で、お疲れなのではありませんか。俺達も見張りに立ちます、やらせてください」
旅立つ前、指示には絶対従えと言ったはずだが、早くも忘れられている。
誘拐された仲間を救出に行きたがるような心優しい子供たちなら、それも仕方ないか。
ジャンギの複雑な心情を慮って、神坐が名乗り出た。
「俺も見張りに立つぜ。俺は起きていようと思えば、何年寝なくても平気だしな」
ヤフトクゥスもチラッチラと原田に色目を送りながら、見張りに志願してくる。
「俺も立ってやる。他ならぬ正晃を守る為とあらば、我が身を犠牲にしてでも守ってみせよう」
「ただの見張りだし、そこまでの覚悟は必要ないよ。でも、ありがとう。それじゃ二時間交代で見張ろうか」
些かドン引きしつつ二人の申し出を受け入れるジャンギに、ソウルズが真顔で尋ねてきた。
「それよりもジャンギ、テントの人員采配はどうする。俺は勿論お前と一緒のテントを希望するが」
真顔で希望されるのは何を考えているのか分からなくてコワイ。
テントで何する気だ、こいつ。
――という得体のしれない危機感を覚えたのか、小島がハイハイと提案する。
「テント配分は俺と原田と水木、ヤフトクゥスと神坐、ジャンギとソウルズとジョゼでいいんじゃないか」
「ちょっと、勝手に決めないで!私だけ仲間外れなんて絶対嫌よ」
ジョゼの猛反発に、「だって、このテント、どう頑張っても定員三名様だぜ?だったら幼馴染三人組の俺達が一緒のテントに入るのは当然だろ」と小島は、すっとぼける。
「大丈夫、ソウルズさんもジャンギさんも紳士だし。変態天使と一緒よりはマシなんじゃない?」
水木の追い風には「そこの小娘、俺が紳士ではないというつもりか!」とヤフトクゥスが激怒して、神坐に「お前が原田に対して一度でも紳士だったことってあったかよ」と呆れられる。
「けど、ソウルズ。お前も戦えない奴と新米の二人を守るってのは、一人じゃ重荷になるんじゃねーか?」との危惧には、気遣われた当のソウルズが憤慨する。
「余計なお世話だ!俺は現役警備隊だぞ。二人ぐらい、どうってことはない」
しかし神坐の心配にジャンギが「そうだね……ソウルズには道中で警護してもらいたいから、ゆっくり休める環境が欲しい処だ」と乗っかるもんだから、ジョゼは神坐のテントに回された。
変態天使と水木は言うが、ヤフトクゥスは原田にしか興味がないし、神坐は恋愛自体に興味がない。
おまけに神坐は何日不眠だろうと平気だし、ヤフトクゥスも睡眠を妨げられた程度じゃ能力が低下しない。
イビキが酷かろうと平気だとも言われて、イビキなんてかかないわよ!とプリプリしながら、ジョゼは二人と一緒のテントに収まった。


ジャンギの指導の元、テントを建てて潜り込んだ原田の第一感想は、狭い――その一言に尽きた。
一番背の高い小島を真ん中に押し込んで、なんとか寝られるスペースを確保した。
「五人メンバーで探索する時も、三人と二人で分かれるのかな?テント」
水木の疑問に小島は「ふぁ〜あ」とあくびで応えて、瞼を閉じる。
「今日は早起きしたせいか、やたら眠いや……んごー」
ブツクサ呟く側からイビキをかいており、太陽の高い時間帯で寝られる友には原田も驚きだ。
「も〜。聞いているのに」と不満げに呟いた水木は、小さくあくびする。
今頃になって眠気がぶり返してきたのは、延々草原を歩いたせいもあろう。
一休みして夜になったら、また歩くようなことを言っていたし、寝られるうちに寝ておこう。
そう思うのだが、原田は一人パッチリ意識が冴えてしまって眠れない。
何故だ。いつもなら寝床に入った瞬間、眠りに誘われるのに。
じっと耳をすませてみると、小島のイビキ、水木の寝息以外にも聞こえてくる音がある。
ゴソゴソと、音は外から聞こえているようにも思う。
きっと他のテントでも、自分と同じように寝つけなくて苦労している人がいるんだろう。
様子を見に行って邪魔するのも何だし、自分は自分で寝る努力をしよう。
なかなか眠れない時は、どうすればいいんだっけ?
昔、母が教えてくれたような気がする。
確か数を数えるんだったっけ。何の数を数えよう。
ちらっと真横を見ると、涎を垂らして爆睡する小島が目に入る。
小島の数でも数えてみようか。
幹夫が一匹、幹夫が二匹。
いや、一匹は単位がおかしいな。一人、二人か。
二人も三人も幹夫がいたら騒がしくて、でも、きっと楽しい毎日になるだろう。
ふふっと笑いを浮かべて大勢に増えた幹夫を思い浮かべるうちに、原田を睡魔が襲った。

ジャンギ、神坐、ヤフトクゥスの順番で見張りに立ち、神坐と交代してテントへ戻ってきたジャンギにソウルズが話しかけてくる。
「もし町がなかった場合、一旦戻るのか?それとも、このまま草原を進み続けるのか」
「なんだ、まだ寝ていなかったのか」と驚きつつ、ジャンギは素直に答えた。
「町があろうとなかろうと、このまま進むに決まっているだろ。俺達が探しているのは町じゃなくて、アーステイラなんだからね」
「……世界を一周しても見つからなかった場合は?」とも尋ねられて、ジャンギは相手の顔を覗き込む。
「どうした、君にしては悲観的じゃないか。大丈夫、必ず世界の何処かに彼女はいるよ」
「ジャンギ……俺は、不安なのだ」と呟いてソウルズが抱き着いてくるもんだから、ジャンギは再び驚かされたものの、黙って抱き留めてやる。
小刻みに身体を震わせて、沈痛な面持ちでソウルズが語るには「世界を一周する前に、お前が怪物にやられたら、と考えると……剣を持つ手が震えるのだ」とのことで、これも杞憂に過ぎない。
そうならないよう極力怪物は気配感知で避けていくつもりだし、いざとなったら全力疾走で逃げる気満々だ。
なにしろ、この旅はジャンギの感知あっての探索である。自分がやられてちゃ話にならない。
さては引退からのブランクが長すぎて、剣士としての自信を失ったのかとジャンギは勘繰った。
仲間内で自由騎士を一番最初に引退したのは、ソウルズだった。
警備隊の前隊長直々によるスカウトで、町の皆を守る名目で隊長を引き継いだ。
チンピラ相手に剣の腕前は必要なく、大勢でどやしつけて追い回すだけで充分だ。
そんな真似ばかりやっていれば、腕前が鈍ったのではとソウルズが不安になるのは無理もない。
ブランクがある点ではジャンギも同じだが、こちらは日々自己鍛錬怠りなく続けている。
片腕になったって、腕が落ちたと子供たちから馬鹿にされるのはマッピラだ。
棒は、もう使えないけど、かわりに脚を鍛えた。魔法だって二、三個ほど覚えた。
けして足手まといにならない自信が、ジャンギにはある。
もちろん、戦うのは逃げても逃げきれなかった時の最終手段なのだが。
「君に渡した剣、鑑定屋は魔具じゃないかと予想していたよ」
ソウルズが怪訝に眉をひそめて「魔具……?」と呟くのに対し、ジャンギは力強く頷いて剣を手に取る。
「何の魔法かまでは鑑定できなかったんだけど、強い魔力が封じ込められているのを感じたんだってさ。それなら、未知の怪物が相手でも不覚を取らないと思わないかい?」
「し、しかし、ふるうのが今の俺では、結局同じ事ではないのかッ!久しく剣をふるっていない奴の腕など通用、しないのではないか……」
どこまでも自己否定の激しい友人に内心苦笑しつつ、ジャンギは彼を励まし続けた。
「見習い時代を思い出して、もう一度、剣を学び直すんだ。君なら絶対、自信を取り戻せるはずだよ」
見習い時代のソウルズは自信の塊みたいな奴で、実際、片手剣使いの中では随一の使い手であった。
慢心しすぎるのが短所で、チームの面々とうまくやれていない面もあった。
単独突撃しがちな彼を心配してか、当時の担当教官はジャンギのチームにソウルズを入れ直す。
他にもクラス内で孤立していたミストや、やる気のないジャックスなど所謂チームの問題児は、全員ジャンギと一緒のチームとして組み直された。
ジャンギがリーダーに立つことで連帯感が生まれて上手く回ったというんだから、担当教官の慧眼には脱帽だ。
難癖ある問題児どもが何故ジャンギの命令には素直に従っていたのか、今でも疑問に思う同期は多いのだが、その理由をジャンギは知っていた。
ガンツとジャックス、それからファルにソウルズもだが、要するにミスト以外の全員が言ったのだ。
お前が好きだから指示に従うのだ、と――
「君がまだ俺を好きでいてくれるなら、俺が渡した剣を信じてくれないか?この剣は業物だ。俺達を守る武器となりえるだろう。たとえ未知の怪物が相手だったとしてもね。そして片手剣を自在に扱えるのは、この中じゃ君しかいない。これは、俺が君に寄せる信頼そのものでもあるんだ。君は、必ず俺達を守ってくれるってね」
「……ではない……」
ソウルズは人の話を聞いているのかいないのか、なにやら項垂れた姿勢でブツブツ呟いている。
不審に思ったジャンギは、ソウルズの顔に耳を寄せてみる。
すると突然がばっと顔を上げたソウルズが勢いよくジャンギの唇に吸いついてきて、みたび驚かされた。
何分ぐらいキスしていただろうか。
吸いついてきた時と同じぐらいの勢いでプハッと離れたソウルズは、大声で言い放つ。
「俺達、ではない!俺は、お前だけを守ると生涯誓った!!」
こんな大声を出したら他のテントで寝ている面々も飛び起きるんじゃないかと心配するジャンギを余所に、やはり大声で「しばらく寝る!見張りは任せたぞ、俺のジャンギ!」と叫んだソウルズは反対側を向いて眠りについた。
21/11/17 UP

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