絶対天使と死神の話

過去と未来編 09.いざ!お試し森林地帯遠征


きたるべき一週間後。
森林地帯遠征の日、校庭に集まったのはスクール関係者のみならず。
スクールとは無関係と思しき顔ぶれが、ずらり勢揃いし、盛大な見送りとなった。
校庭の中央で「ジャンギ様、遠征再開万歳、バンザァイ、バンザァァイ!」と叫んでいるのは原田の知らない中年男性で、隣の中年女性に「あまり騒ぎすぎませんよう。英雄様にもご迷惑です」と窘められていたし、ウィンフィルド教官は白いハンカチを噛み締めて「本当は私もご一緒したいのですが、受け持ちクラスがありますので……えぇ、無念ですっ」と半泣きだしで、出かける前から面倒事が発生しそうな盛り上がりだ。
「見送りはご遠慮くださいと断ったはずなんだけどね……」
ポツリと小さく呟き、すぐに気持ちを切り替えたジャンギが町長へ向き直る。
「では、行ってまいります」
「ジャンギ様、くれぐれもヒャクメの奇襲には、お気をつけなさいますよう!」
ビシッ!と敬礼ポーズで見送るウェルバーグを背に、遠征へ出かける一行は馬車に乗り込んだ。
「あの前頭部ハゲ、可愛い妹への心配は一切なしかよ」
乗り込んだ途端、ジャックスが茶化してくるのへミストは素知らぬ顔で受け流す。
「現役時代の実力差を考えれば、如何に単細胞のお兄様でも心配は無用だと理解しておいでのようですね」
「ねぇねぇねぇ、ミストさんっ。本当の本当に町長って昔、現役自由騎士だったの?」
水木にせっつかれ、ミストは、それにも涼しい顔で受け答える。
「えぇ、信じられないでしょうが本当です。ジャンギくんと比べたら、全くサマにならないポンコツでしたがね」
「ジャンギと比べられたら、誰だってポンコツだろうがよ」と悪態をつき、ジャックスが水木を見やる。
「いよいよ未開の地へ侵入だぜ?いや、お前は一度侵入していたんだったか、森林」
うん、と頷き、しかし水木は付け足した。
「あの時は神坐先生が助けに来てくれたし、帰りは怖くなかったよ」
「帰りは?ってことは、助けが来る前までは恐怖でいっぱいだったってか」
もう一度素直に頷く少女を見て、ジャックスはニッカと笑う。
「なら、今回もちっと怖い目に遭ってもらうぜ。今は全員一緒だが、中に入ったら」
「悪趣味ですねぇ。なにも入る前から恐怖を与えずとも宜しいでしょうに」とミストに途中で遮られて「あ?だがよ、こういうのは先に教えといたほうがいいだろが」と、たちまち機嫌を悪くするジャックスを余所に、水木は窓の外へ目をやった。
勢いよく緑の景色が流れてゆく。
行きの馬車は全部で五台、一つにつき六人前後で乗り込んだ。
早く早くと急かされての搭乗で、どれに乗るか選ぶ余裕もなかったから、原田と小島は一緒の馬車ではない。
「ヒャクメ対策って、何かやってあるんですか?」
水木の後ろに乗り込んだコーメイが尋ねるのには、彼の横に座った焔が答える。
「結界石を荷台の四隅に設置してある。ただ、慰め程度の効力だとジャンギ殿は仰っていたが」
「結界石?」と首を傾げる子どもたちへはジャックスが「ナーナンクインで作っているお守りだよ。こいつァ身につけているだけで、気配を遮断できるらしいぜ?ただし、数日しか保たないのが玉に瑕だけどよ」と答え、荷台の隅へ目をやる。
「数が多けりゃ多いほど効力も長持ちするってわけだ。まぁ、今はまだ生産量がおっつかねぇんで、予定日数ギリギリしか貸してもらえなかったんだがな」
それに、と全員の顔を見渡して話を締める。
「こっから森林まで徒歩で行きゃあ一週間前後かかるが、馬車なら、その半分でつく。森林についてからが本番だ。森林手前で野営を張るから、ジャンギの説明を聞き漏らすんじゃねーぞ」
あちこちでハイ!と勇ましい返事が上がる中、「では到着までの間、拙者に小刀の秘術を伝授していただきたくッ」と名乗り出た隼士に「小刀かぁ、こいつは己龍のほうが得意なんだがよ」とブツクサ言いながら教えるジャックスを横目に、水木も傍らのミストやコーメイと魔法談義に花を咲かせ、道中の退屈を凌いだ。


出発して三日後には森林に入る手前で野営を立てて、そこで聴かされたジャンギの説明は驚くべき内容であった。
「入口を拠点として、北、東、西へ各チームで散開する。およそ一週間の探索を予定しているから、護衛付きといえど油断するんじゃないぞ」
「ぜ、全員で動くんじゃないんですかぁ!?」
真っ先に叫んだマーカスへ「この大人数で動くのは、より強大な敵をおびき寄せてしまう。現役が何故、少数パーティーを組んでいるのかを考えたら、森林は少人数で動くのが一番効率的だと判るだろう?」とジャンギはバッサリ一刀両断、しかし目元に涙を貯める少年たちへ目をやった際には、多少微笑んで付け足した。
「安心するといい。護衛は探索中、常に君たちを守る陣形で移動する。全員気配察知は完璧だからね、万が一でも遅れを取る人などいないと俺は信じているよ」
「け、けど」と涙目のマーカスが問う。
「斡旋所の人たちは、ジャンギさんのお知り合いじゃないですよね?信用できるんですか」
そこに「神坐導師様の実力を疑うの!?フン、新米風情が偉そうにッ」と偉そうに遮ってきたのは、ボサボサの髪をぶわさぁっとかきあげ、仁王立ちした要であった。
「お前だって新米見習いじゃん」と背後で突っ込むリントはスルーの姿勢で、マーカスへの勢いは止まらない。
「神坐導師様は呪術を完璧にマスターしておられるのよ!その御方が弱いなんてありえないわ!嗚呼、導師様……私、一生ついていきますわ!!」
両手を組んで祈りのポーズまで捧げて、並々ならぬ信頼感だ。
「ははは……」と神坐が乾いた笑いを浮かべているところを見るに、出発までの一週間、彼が要につきっきりで呪術を伝授していたのであろうことは想像に難くない。
道理で何度、原田が神坐の師事を希望してもジャンギが色よい返事をしてくれなかったわけだ。
死神の強さを以前の森林で嫌というほど見ている原田たちは、要に太鼓判を押されずとも充分信用している。
「うん、そのとおり。他の二人も戦いのエキスパートだから安心していいぞ」とするジャンギに、すかさず突っ込みが飛んでくる。
「ジャンギ殿は、どこでそれをお知りになったので……いや、彼らを知ったのは、どういった経緯で?」
月狼だ。神坐を見つめる視線は鋭く、値踏みするようでもある。
大五郎は殆どの関係者が死神を認識していると言っていたが、少し距離のある人間には、このザマだ。
なんと答えるのか、ドキドキしながら見守る原田の前でジャンギが答える。
「彼らはフォルテさんやベネセさんとは別口でアーシスに来た外からのお客様でね。ここまで辿り着けるからには実力も折り紙つきってものだろう?」
「外からの!?」
一斉にリントやワーグら初耳連中が驚く中、フフンと鼻息荒く要が念を押す。
「そうよ、導師様が扱えるのは呪術のみじゃないのよ、五大元素や回復まで使えるんだから!あんた達が彼の実力を疑うだなんて、身の程知らずだわ」
あんた達の中には月狼も含まれているのか、彼女が月狼へ向ける視線には多少の殺気を感じられた。
まさか子どもに憎悪を向けられるとは思っていなかったのか月狼は黙り込み、生まれた嫌な沈黙をパンパン手を叩いてジャンギが追い払う。
「さぁ、雑談は、ここまでにして話を戻すぞ。森林探索は一週間前後を想定した長期間、野営では結界石を用い、焚き火を構えた上で交代の見張りを立てる。石の効果が切れたり、重傷者が護衛並び見習いの中で出た時は即座に中止して帰還する。食事は現地調達、食べられるかどうかは護衛に尋ねてから口に入れてくれ。排便は簡易トイレを使用厳守、けして藪で済まそうなどと考えないように。なにかの気配を感じたら、必ず護衛に言うんだぞ。先走り、単独行動は厳禁だ。何か質問は?」
「ご、護衛のかたの実力を疑うわけではないんですが……」
ボソボソ呟いて、マーカスが問う。
「本当にたった四人で全方向を守れるんでしょうか?森林地帯は激戦区と聞いています」
「遭遇する怪物の数が他の地帯より、やや多いというだけで、寝る間もなく襲われるわけじゃない。それに現役は四人から五人パーティーが基本だし、卒業生は全員気配察知を身に付けているからね。少しは信頼してほしいな」
微笑むジャンギの顔をチラと見てから、ワーグがマーカスを小突く。
「お前如きが引退騎士の実力を疑うなんざ、そこのボサボサ女が言う通り烏滸がましいんだよ。逆に足を引っ張らねぇよう無駄な動きをすんじゃねーぞ」
「だれがボサボサ女よ!」と怒鳴る要を一瞥し、リントも口を突っ込んだ。
「俺達は護衛の動きを見て、戦闘での立ち回りと連携を学ぶ。そういうことですよね?」
「そういうことだ」とジャンギも頷き、他に質問なしと見て場を締める。
「今日は、ここで一夜を明かすぞ。明日は森林へ突入、三手に分かれて探索を始める。説明は以上だ!」
ハイだのオオだのといった勇ましい返事をしながら、見習いはチームごとのテントに分かれて一夜を過ごした。
護衛は護衛で交代の見張りに立ち、終わった者は担当のテントへ潜り込む。
煌々と燃え上がる焚き火の効果もあってか怪物に襲われることなく無事に夜が過ぎて、翌日。
森に一歩踏み込んで「よよ、よーし、がんばろう」とガチガチなピコの横で、原田も周囲を見渡してみる。
初めて来た時は周囲を見渡す暇もなかったが、こうやって余裕ある状況で見渡してみると、第一印象は"薄暗い"の一言に尽きる。
入口で既に薄暗いのだ。奥は、より暗闇なのではと思われる。
高い樹木が鬱蒼と生い茂り、頭上の空を覆い隠している。
絡まり合いながら枝が四方へ広がっていた。まるで今にも動き出しそうで恐怖さえ覚える。
思わず一歩後ずさる原田を見て、リントがせせら笑う。
「おいおい、どうした輝ける魂!入口でビビッてちゃ探索になんねぇぞ」
「うるせぇ、お前だって足ガクガクじゃんか!」と罵り返したのは小島で、えっとなって原田がリントを見てみると、小刻みに足を震わせていたリントが「う、うるせぇ!これは武者震いだってんだよ」と叫んで、心なしか声まで震えているように聴こえた。
そこへ割り込んだのはガンツで「入口で騒いで怪物をおびき寄せる気か?さ、行くぞ」と声をかけるや否や、さっさとまっすぐの方向へ歩き出す。
「え?え?」
突然の行動についていけない見習いには、ジャンギも声をかけた。
「うん、ガンツは北を選んだか。ならリントくん、君たちのチームには北を担当してもらおう」
「よっしゃ、ついてこい皆!」
ジャックスに促されて、おずおずとリント、それからコーメイらも真正面の藪へ入っていく。
死神は大五郎がついていき、風と神坐は、その場に残る。
「我々は東を担当しよう」と言い出したのはソウルズで、ぽんとワーグの肩を叩く。
「は、はいっ!」
些か裏返った声でワーグが頷き、「いこう、皆!」との号令を受けてソマリやグラント、ビクつきながらマーカスも東の藪へ入っていく。
ワーグチームと共に歩いていった死神は風だ。
「俺達は西だ。行こう、皆」
ジャンギに微笑まれ、チームメイトの全員がゴクリと唾を飲み込む。
いよいよだ。ちらりと原田が神坐を見上げると、神坐も原田を見ており、ニッカと笑われる。
「がんばろうぜ」とも囁かれたので、勢いよく頷いた。
なんといってもニ回目だ。他のチームよりは地の利がある。
加えて神坐とジャンギが一緒なら、途中でへこたれる可能性はゼロに近い。
心は高揚としながら、しかし足はガクガクの身体ブルブルで、西の藪へ突っ込んだ。


北:リントチーム

「森で一番危険なのは何だと思う?」
緊張でガチガチになっているところ、いきなりガンツに雑談を振られてリントの心臓は跳ね上がる。
「い、一番危険なのですか?怪物ですよね?」
「そりゃそうだ。そうじゃなくて、怪物ん中でも一番危険なのは何だって話だよ」
そう言われても、森林地帯へ来るのは今日が初めてなリントである。
何が出てくるのかは己龍教官の座学で教わっていても、強さの違いまでは実際に戦ってみないことには何とも答えられようがない。
森林地帯で一番多く見られる怪物は魔法生物だ。
大半が人間と同じ姿、擬態で現れる。
攻撃手段は物理的な打撃及び魔術の他に、精神を揺さぶるような魔法攻撃を仕掛けてくるやつもいるという。
なるほど、戦いのイロハをマスターしたベテラン現役じゃないと手こずるのも道理である。
「魔法生物――」
ぼそりと答えた謙吾に目を細め、ジャックスが正解を認める。
「そのとおりだ。連中はエロい手を得意とすっから、そこの可愛い子ちゃんは特に気をつけろよ?」
初耳だ。己龍教官の座学では一度も出てこなかった情報に、リントは目を丸くする。
その横では「可愛い子ちゃん?それってもしや、僕のことかしらっ」とコーメイがチャラけて、両腕で己の身体を抱きしめる。
リントと同じで、さっきまでガチガチに緊張していた割には砕けた態度だ。
「いや、それより、エロい手とは?」
全くの能面で尋ね返す謙吾に、ジャックスがつまらなさそうな顔を見せたのも一瞬で。
すぐに「言葉のとおりだよ。こっちが触られたくないような場所を集中的に攻めてくっから、ガードは厳重になって話さ」と肩をすくめた。
「え〜。胸とかお尻とか触ってくるのかなぁ、エッチ!」
ポリンティもクスクス笑っており、この雑談はガチガチの緊張を解きほぐす為だとリントにも、ようやく伝わる。
リントの様子をチラ見し、ジャックスがニヤリと笑みを浮かべる。
「今回は、お前らに害がないよう戦うけどよ、お前らだけで来る時にゃ今の話を忘れんなよ」
「はぁ〜い」とポリンティやコーメイが返事する中、むっつり無言のベネセへフォースが囁いた。
「ジャンギ教官のご友人っていうから期待していたのに、いきなりシモネタとかさぁ……どう思う?」
「緊張を解く為に雑談するのは、使い古された手だ」と呟き、ベネセは油断なく周囲を見渡す。
「それよりも、怪物の気配が極端に少ない。本当に、ここは激戦区なのか?」
「え。少ないならいいじゃん」
呆気に取られるも、ベネセには鋭い目で睨まれてフォースは萎縮してしまう。
出発までの一週間、一緒に過ごしてきたけれど、彼女は一向に打ち解けてくれず無愛想な印象が崩せない。
元は原田とチームを組んでいたというし、今のチーム編成に不満があるのかもしれない。
チーム編成に不満があったのは自分もだが、今は悪くないとさえ思っている。
リントを始めとしてコーメイやポリンティは気さくだし、一見無口で近寄りがたいオーラを発している謙吾や全身黒ずくめで怪しい隼士も、話してみれば案外良い奴だ。
要するにベネセだけなのだ。このチームに馴染んでいないのは。
この練習遠征で少しでも距離が縮まればと思うが、どうもとっつきにくくて扱いに困る。
「確かにな」
低い声が背後で相槌を打ち、ひゃっとなってフォースが振り向くと、黒い着流しの男、大五郎と目があった。
「ここ数年、森を探索した現役は少ないと聞くし、皆が足を踏み入れん間に何かが起きたのかもしれん」
「少ないんですか?」とフォースが尋ねるのにも頷き、何かを言おうとした大五郎が突然叫ぶ。
「上だ!」「よっしゃあ!」
ほぼ同時にジャックスが動き、キラリと光る何かが頭上を飛んでいったかと思えば、間を置かずに大きな影が『ギャギャア!』といった叫び声と共に墜落してくる。
「ひぃっ!」と慄くリントの真正面で、落ちてきた何者かの頭をガンツが「ふんっ!」と斧で粉砕し、ビチャアッと緑色の体液が飛び散った。
「き……きゃあぁぁぁっ!
ワンテンポ、いや数テンポ遅れてポリンティが絶叫するのも無理はない。
落ちてきたのは怪物、それも少女の姿をしたやつで、それが顔面真っ二つの血まみれで死んだとなれば。
怪物の血が真っ赤だったら、フォースだって気を失っていたところだ。
護衛の面々が強いのは認めるが、もうちょっと殺し方に配慮してもらうってのは出来ない相談だったんだろうか。
「なんだ、怪物の死体を見るのは初めてってか?」
なんでもない調子でジャックスに問われ、「だ、だって、どう見ても女の子だし……っ」と涙目で答えるポリンティにはガンツが笑いかける。
「あぁ、こいつァ擬態だ。こうやって人間そっくりの姿で現れて油断や同情を誘うのが、こいつらの遣り口だ。だが中身は、ばっちり怪物なんでな。情けをかけりゃ殺られるのはコッチだぞ」
フォースがこれまで戦ったことのある怪物は、ヒャクメを除けばプチプチ草ぐらいなもんで、真っ赤に燃えて死ぬ姿を見ても何とも思わなかった。
姿が人間だというだけで、こうも動揺してしまった自分が情けない。
動揺していないのは引退騎士の他に大五郎やベネセも同様で、場数の違いを見せつけられる。
「ジャ……ジャックスさん達は、これまで何回、こういうのを倒してきたんですか?」
突然の奇襲に腰を抜かしたか、コーメイが尻餅をついた格好で尋ねる。
「さぁて、何回だったか……」
鼻の頭をかくジャックスの側でガンツも笑い、「見習い時代は怪物退治を主体としてたかんなァ。数えきれねぇほど倒してきたよ」と答え、ぐるりと一同を見渡す。
「けど、奥地を目指すのは今回が初めてだ。結構ハードなんだよな、ここの探索ってなぁ」
「そ、そんなに?けど一瞬で葬り去りましたよね」と驚くリントへ目をやり、ガンツが溜息をつく。
「そりゃ〜今の襲撃は、たったの一匹だったからな。複数で何度も出てこられんのが厄介なんだよ。だから、こっから先は極力おしゃべりなしで進むぞ」
再び緊張に襲われた見習い達がコクリと頷くのを確認がてら、ジャックスは片目をつぶって妥協を見せてきた。
「けど、まぁ、沈黙に耐えられなくなったら多少は喋ってもいいぞ?ただし、できるだけ小声でな」
「は、はぁい……」と小声でポリンティやコーメイが返事をし、一行は再び北へ道なき藪を突き進む。
激戦区という割に、怪物の気配が少ない。
それに気づいたはずのベネセが何も言わないから、フォースも言いそびれてしまったが、なにかに気づいた時は護衛に報告しろとジャンギ教官は言っていなかったか。
なんとなくモヤモヤした気分を胸に抱きながら、謙吾の後を続いて歩いていった。
25/02/06 UP

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