絶対天使と死神の話

合同会編 04.最初で最後の?


休日の朝早く、玄関のドアを叩く音に原田が出てみれば、水木が満面の笑顔で立っていた。
「えへへー。待ちきれなくて来ちゃった。まだ寝てた?」
「いや」と答える原田はパジャマ姿ではなく、普段の服装だ。
彼女が来るまで歯磨き怠りなく、身だしなみはバッチリ整えた。
「ベッドの用意は万全だぜ!あとは風呂に入るか否かだが、どっちにする!?」
小島も顔を出して急かしてくるのへは少し考え、水木が答えた。
「昨日お風呂に入ったから大丈夫だと思うけど……」
「風呂ったって、水木は共同風呂だろ?もっかい入ったほうが綺麗になるんじゃないか」
共同風呂が汚いかのような言い分だ。
原田と同居する前は、小島だって利用していたくせに。
「風呂に入ったら、めんどくさくなるんじゃないか」との原田の気遣いに頷き、水木は結論を下す。
「そうだね。早く始めよう!」
何を始めるのか?
決まっている、3Pだ。
ベッドはピシッとシーツが新品に取り換えられていて、この日に対する意気込みを感じる。
「脱がせるか、脱いでからやるか……」
ブツブツ呟く小島を置き去りに、原田は上着を脱ぎ捨てた。
「え、自分で脱いじゃうの!?」
驚く水木へ頷き、「脱がないと始められないだろ」とベッドに乗っかって下も脱ぎにかかる原田を見、小島と水木も、それぞれに服を脱ぎ始める。
「せっかちだなぁ、正晃ちゃん。水木のパンティを自分で降ろしたいとは思わないのかよ」
「もーっ、小島くんが言うとイヤラシイから、やめて」
「なんでだよ?パンツじゃ色気なさすぎだから気を遣ってパンティって言ってやったのに」
喧々囂々やりあいながら水木が原田の前へ回り込み、小島は背後につく。
「気の遣い方が色々おかしいし!」とやり返す水木の胸元へ、原田は視線を注ぐ。
片手で掴めそうな、程よい大きさだ。
乳輪も乳の大きさに併せて小さい。
淡い桃色の乳首は半分中に埋まっており、指で外に出してやりたくなる。
そっと彼女の膨らみに手を重ねると、水木はビクッと体を震わせて原田を見つめた。
「ひゃっ……は、原田くん。触るなら先に言ってくれないと」
「悪い。早く触ってみたかったんだ」
口では謝りつつも、ふにふに握ってみる。
暖かくて柔らかい。
自分の胸では味わえない感触だ。
触り心地を楽しんでいるうちに、原田はゴムボールを思い出した。
海にもらった手首を鍛える用の道具だが、あれと似ている弾力だ。
でもゴムボールと違って、中央に芯があるようにも感じる。
ふにふに無言で胸を揉む原田に、水木からの注文が飛んできた。
「あ、あのね。揉むより……摘まんで欲しいなぁ」
「どこを?」と素で尋ね返して、すぐに答えへと辿り着く。
胸の上で摘める場所など、一ヶ所しかないじゃないか。
「つ、摘まんだり……舐めたり、とか。してほしいなぁ?」
ぽそぽそと視線上向きで囁く水木は、いつもと違ってシャイな雰囲気を漂わせている。
彼女はいつも元気で、そこが可愛いのだが、大人しいのも新鮮で良い。
「お前も乳首で感じるのかよ!」と背後で小島が騒ぎ、「お前もって、小島くんも乳首が性感帯なの?」と水木が聞き返す。
「俺じゃねぇよ、原田が。なっ!」
きゅっと不意討ちで乳首を摘まんでくるもんだから、「ひぅっ!?」と甲高い悲鳴が原田の口を飛び出して二人を驚かせる。
「ば、ばか、いきなりは止めろ!」
「自分だって水木のおっぱいを不意討ちで触ったくせに〜」と、小島は反省の色がない。
「そ、それは、そのっ」
思わぬ反撃には原田も言葉に詰まり、真っ赤になって黙り込む彼を「いい、いいの、原田くんなら。ごめんね、さっきは驚いちゃって」と水木が慰め、そっと原田の手を両手で包み込む。
「凹凸の少ない身体でつまんないかもだけど、いっぱい触ってね」
と、本人は言っているけれど、首筋から鎖骨までのラインは骨がくっきりしていて色っぽいし、腰はきゅっと括れているし、胸は小ぶりで愛らしいし、お尻も小さくてスベスベしている。
何から何まで原田の好みと一致しており、これ以上完璧な女体は地上に存在しないのではないか。
「いや、前にも言ったと思うが胸は大きくないほうがいい」
きっぱり断言する原田を、小島が冷やかしてくる。
「頑とした貧乳派だよな、原田って。だからジョゼりんには見向きもしなかったのか」
それには答えず、原田はまっすぐ水木を見つめて訥々と呟いた。
「……水木の身体は華奢で、綺麗だと思う。口の中にすっぽり入りそうな胸も、それから匂いも俺好みだ」
「匂い?」
首を傾げる本人を余所に、原田はスンスン嗅いで匂いを堪能する。
水木の匂いから感じられるイメージは、道端に咲く小さな花だ。
小さいなれど自己主張はハッキリしており、風に揺れる様は心に響く懐かしさがある。
ずっと嗅いでいたいが、匂いばかり嗅いでいたんじゃ水木も退屈してしまうだろう。
彼女のリクエスト通りに胸の先端、乳首にそっと舌を這わせたら、水木は「ひゃぅっ」と小さな悲鳴を飲み込んで、ぷるぷると体を震わせる。
小動物みたいで愛らしい反応だ。
いつも彼女は可愛いんだけど、いつにも増して可愛く見える。
もはや可愛い以外の言葉が思いつかないほど、原田は水木の反応に打ち震えた。
ちょっと舐めた程度で、この敏感さだとすると、吸ったりしたら、どうなってしまうのか。
見たい。猛烈に見たい。
原田はペロペロと舌で舐めまわして、陥没乳首を掘り起こす。
表に飛び出た乳首はツンと堅く尖っており、吸いつきたい欲求を昂らせてくる。
片方を指で摘まんでクリクリする傍ら、もう一つの乳首へ吸いついた。
「ふぇあぁぁ……っ」と言葉にならない声を出して、水木が両手を原田の背中に回してくる。
「うぁ、原田くん、くすぐったい、くすぐった……ひゃああっ!?」
こそばゆいのが途中で気持ちいいに切り替わったのか大きく仰け反った水木の身体を片手で押さえつけ、なおも夢中で乳首に吸いつく原田を眺めていたが、やがて一人放っておかれた小島は行動に出る。
原田の無防備な尻に両手で掴みかかると、舌を穴に捻じ込んだのだ。
捻じ込んだばかりか舌でレロレロと内部を舐めまわされて、痺れるような感覚が体の奥から昇ってくる。
奇妙なそれは、入口で快感へと置き換わり、身体の自由が奪われた。
「こ、こら、突然何を……っ」
水木にしがみついて快感に耐える原田を、愉快そうな目で見下ろした小島が言うことにゃ。
「二人でばっか楽しんでんなよなー。3Pなんだぞ?俺だって、お前がアンアン言うの見てみたいし?」
「あ……アンアン、って」
現状ではアンアン言う余裕もないぐらい、身体に力が入らない。
ぎゅっと抱きついてくる原田に何を思ったか、水木も手を伸ばして原田の乳首をきゅっと摘まみ上げた。
「ふぁッ!?」
とんだ奇襲だ。
この状態で乳首をコリコリされるのは、尻の快感と相成って到底我慢できるものではない。
「や……ぁっ、だめ、だめっ」
普段クールで口数の少ない奴が、こんなふうに弱々しく喘いで乱れるなんて誰が予想しえるだろうか。
譫言のように呟いて身をよじる原田に、二人とも容赦ない。
水木の指遣いは、ますます激しさを増し、空いた片方の乳首は小島が背後から手を伸ばして引っ張った。
「ひ、ひっぱるのダメ、優しくしてくれなきゃ……やだっ」
身を捻った原田が小島の手を掴んでくる。
両眼に涙を滲ませての哀願は反則級に愛らしい。
普段じゃ絶対に見られない態度だ。
日頃、小島が妄想していた姿とも違ったが、こっちのほうが断然いい。
「お、おう。舐めたり吸ってほしいんだったっけ?」
小島は多少狼狽えつつ、原田の乳首に舌を絡めて根元から先端まで丹念に舐めまわす。
水木も小島に倣って原田の薄い胸に舌を這わせると、原田はビクビク身体を痙攣させて断続的な喘ぎを漏らした。
そっと股座を覗き込んでみると、原田は勃起している。
小島のも準備万端、いつだって突入可能なのだが、しかし原田の尻が万全ではない。
指一本入れるにもキツキツで、もうちょっとばかり準備が必要だ。
「原田、早く繋がろうぜ。ここんとこ、しっかり解しとくから」
再び尻の奥を舐められたばかりか指まで突っ込まれて、ぐちゅぐちゅに掻きまわされる。
息も絶え絶えになりながら、原田は汗ばんだ顔で水木を見やる。
自分ばかり気持ちよくなってしまって、彼女が退屈していないか心配になったのだ。
水木には「原田くん……汗すごいね。大丈夫?」と心配されたが、答える代わりに彼女を促した。
「こ、このままじゃ先にイッてしまいそうだ……水木、俺達も早いとこ繋がろう」
水木のアソコへ突っ込むのは長年の悲願――というのは言い過ぎだとしても、思春期を迎えてからは、したくてたまらなかった行為だ。
繋がる前に達してしまっては元の木阿弥、再び起たせるにも時間がかかる。
何より、昂った気持ちが萎えてしまう。自分は平気だけど、水木が!
小島のやる気は心配しなくても平気だろう。
今も鼻息の風圧が尻と背中にバンバンかかってくる。
男女でするのは、女側に負担がかかると聞いた。
誰にって、今は亡き小島の父親にだ。
なんでそんな話の流れになったのかは忘れたが、六人子作りした男の意見なら信用してよかろう。
水木を疲れさせたり痛い思いをさせるなど、言語道断。男の風上にも置けない。
自分との体格差を考えるに水木は上に跨ってもらったほうが楽なのではと思うが、後ろに小島が控えた状態では、それも難しい。
重たいかもしれないが、水木の上に跨るしかあるまい。
それほど茂っていない丈の短い毛が生えた場所に、ちゅぅっと吸いつく。
またまた予告なしの奇襲に、水木は「ひゃあっ!」と叫んで原田の頭を抱きしめた。
「は、原田くん、やる時は、なんか言ってぇ」
何か言えと言われたって、何を言えばいいのか判らない。
舐めるぞと、わざわざ口にするほうが恥ずかしい。
それより、この味は舌に覚えがあるぞと原田は首を傾げた。
なんだろう。
膝を擦りむいた時に傷口を舐めた時の味か?
所謂、血の味だ。あまり美味しくはない。
だが自分の膝と水木のアソコを比べたら、同じ味でも興奮度が断然違う。
水木のアソコは赤くて瑞々しい。
己の汚い膝小僧なんかとは、比較する自体が間違っている。
それにココは濡らしておかないと挿入時、めちゃめちゃ痛いらしい。
ならば、自分の唾液でビチャビチャになるまで舐めるべきだ。
準備は入念にって背後の小島も言っていたし、濡らしすぎて駄目ということはあるまい。
「はぁう……は、原田くん、私、もうダメぇ」
ハッと我に返って原田が顔を上げると、汗だくな水木と目があった。
小島の舌遣いが気にならなくなるほど、水木を舐めるのに集中しすぎていたようだ。
我に返った途端、尻の感覚が蘇ってきて、肉の疼きに原田はブルッと身震いする。
「くぅっ……そ、それじゃ、水木。入って、いいか……?」
「う、うんっ」
今度こそ事前に予告された水木は、おずおずと頷き、自ら足を広げてきた。
シーツに染みを作る大洪水は、原田の唾液ばかりが原因じゃない。
舌の動きと熱い息に何度も刺激されて、あぁ、今、人には見せられない場所を原田くんに舐められているんだと考えただけで水木はイキそうになった。
だが、まだイクのは早い。繋がってからじゃないと。
穴の場所を先端で何度か突かれた。
続けて、ぐっ、ぐっと二度三度、太いものが入口付近を押し上げる。
「あ、あの……?」
無言での行為に怯えて水木は声をかけるも、原田の真剣な表情を見たら何も言えなくなってしまった。
きっと苦戦しているのだ。初めてだから。
自分で見ても小さい穴だ。
どうやって入れるのか、そもそも入るのか?
呑気に構えていたら、するっと抵抗なく太いものが入り込んできて、思わず水木の口からは「みゃあぁっ!?」とヘンテコな奇声が出てしまい、一人で恥じらっている間にも二度三度と太いものが入口付近を行き来する。
「んっ……」と小さく息を漏らしているところを見ると、原田側はキツイんだろうか。
こちらは全く痛くない、むしろ入口を何度も擦られるのは気持ちがいい。
肉と肉とが擦れあう感触は初めてのはずなのに、いつか何処かで感じたような懐かしさを覚える。
「原田くん、大丈夫……?」と気遣ったら、原田は泣きそうな目で答えた。
「て、抵抗なく、馴染ませないと、いけないんだがっ、ちょ、ちょっと動くだけでもイキそうで……っ」
つらそうに見えたのは、痛みではなく快楽だったのか。
「だ、大丈夫だよ。全然痛くないし」と慮る水木へ原田が問う。
「ほ……ホントに?」
「ホントに。原田くんが注意深くやってくれたおかげだね」
水木の笑みで、ほんのちょっと原田の気が緩んだ一瞬の隙をついて、しばらく大人しくしていた小島が動いた。
「おぅ、なら俺もいっちゃうぞー。突貫ー!」
「え、ちょ、まっ」と、原田がマッタをかける暇もない。
ずむっと尻の穴にぶっといもんが突き刺さり、ぐいっと一気に捻じ込まれる。
乱暴な挿入であるにも関わらず、突き抜ける快感で原田は目の前が白く染まり、パァッと意識が弾け飛ぶ。
何と叫んだのか自分でも判らないまま、水木の中で勢いよく達した。


原田の意識が戻ったのは空が赤々と染まり始めた夕方で、水木と小島は風呂に入って汗を流した後であった。
原田の目覚めに気づいた小島が、ベッドの側へ歩いてきた。
「おっ、原田。やっと起きたか。夕飯できてんぞー、一緒に食おうぜ」
「全部、私が用意したようなもんだけどね!」と、水木が胸を張る。
先ほどから香ばしい匂いが鼻腔に入りこんでくる。
今日の夕飯は焼肉とパン、それから茹った麺の匂いもするから多分つけあわせはパスタだ。
念願の3Pを果たしたばかりか、水木の手料理まで味わえるとは二重のご褒美デーだ。
ぐぅぅ……と原田の腹が鳴り、そういや今日は朝も昼も食べていなかったと思い出す。
「今日の夕飯は焼肉パーティだ!」
ぐっと親指を突き出して、小島が笑う。
「俺の手持ちで買ったから、安心しろよ?」
「いや、そこは心配していない」と呟き、ベッドを下りた原田はクンクン自分の匂いを嗅ぐ。
……非情に臭い。
匂いの成分が汗だけではないように思う。
なんでか尻の穴もムズムズするし、やはり風呂に入ってから食べたほうが良さそうだ。
悪臭に眉根を寄せる原田を見て、小島が言い訳がましく謝ってきた。
「あー、うん。原田はケツん中、よく洗っといたほうがいいかもなー。俺が思いっきし、ぶちまけちまったし」
何を?と尋ねる前に風呂場へ連れていかれた原田は、一緒に入ってこようとする小島を廊下まで押し戻すと「先に食べていてくれ」と断って風呂の戸を閉める。
「ちぇー。中に出したもんを掻き出すまでが一連の流れだろ」
ブツクサ愚痴垂れながら戻ってきた小島を、水木が軽く睨んだ。
「初めてなのに飛ばしすぎだよ、小島くんは。もっと優しく出来なかったの?」
「えー?俺、優しかっただろ。お前と原田が心ゆくまでペロペロしあえるよう待ってやったし、原田がお前ん中で気持ちよく射精できるよう勢いつけてやったんだからよ」
「しゃ……っ!」
直接的な物言いに、水木はカァ〜ッと頬を真っ赤に染めて立ち尽くす。
改めて、思い出したのだ。
原田と同時にイッた瞬間、己の内部へ放たれた熱い感触を。
洗い流すのは勿体なかったけれど、思いきって湯をかけて流した。
これで終わりじゃない。これから、彼とは何回でも出来る。
ただし、今度する時は原田と二人っきりでやりたい。
小島を含めた三人でやるのはムードもへったくれもなくなってしまうし、もう結構だ。
原田が風呂をあがるまで食卓で待ちながら、原田の可愛い顔や喘ぎ声を鮮明に思い出してはニマニマいやらしい笑みを浮かべる小島と水木であった。
21/08/18 UP

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