絶対天使と死神の話

英雄編 03.天命


風呂が沸くや否や「一番風呂いただきぃっ!」と叫んで小島がリビングを出ていき、「待てよ、俺もいく!」と飛び出したのは神坐と、それから「待てェイ!湯が清らかなうちに俺も入らせてもらおうか」と怒鳴って出ていったのはヤフトクゥスもであった。
原田はリビングに置いていかれ、立ち上がりかけた腰を、もう一回降ろす。
一番風呂など、どうだっていいが、彼らが自分を誘っていかなかったのは意外に感じた。
忙しなく出ていった三人を見送り、ジャンギが苦笑する。
「一番風呂にこだわるほど潔癖症だったんだね、あの三人」
「変態天使はともかく、小島くんは早く寝たいだけだよ」とは水木の推理だ。
「神坐先生も疲れているだろうし。私達は、あとでいいよね?」と、これはジョゼに聞いたもので、ジョゼも素直に頷く。
「私は誰の後でも構わないわ。湯が汚れていたら、沸かし直せばいいだけだし」
いかにもセレブらしい発想に、水木は思いっきり動揺を表に出して小声で制する。
「お湯は勿体ないから、そのまま使わないと……ここはジョゼちゃんちじゃないよ?忘れないで」
「構わないよ。貯水タンクは常に満タンにしてあるんだ」とジャンギに笑顔で言われて、ようやくジョゼにも水木の心配が伝わったか、彼女は俯きがちに謝った。
「す、すみません。つい、自宅にいるような気分になってしまって」
「この家、居心地いいもんね〜」と水木も付け足して、フォローに回る。
居心地がいいのは確かだ。
広々としている割には室温が一定に保たれていて、寒くも暑くもない。
原田が腰を下ろしている布団も、納戸に仕舞ってあったにしては、ふわふわで柔らかい。
この家はジャンギが一人で暮らしているにも関わらず、掃除は行き届いている。
外通いの下男下女を雇っているのだろうか。
部屋の隅々まで目を通す原田にジャンギが尋ねる。
「布団の寝心地は、どうだい?もし背中が痛いように感じるんだったら俺の部屋と交換しようか」
「いえ、大丈夫です……」
ジャンギの寝室を思い出すと、頬が熱くなってくる。
以前、あそこで黒歴史級の恥をかいてしまった。二の舞は御免だ。
「ねぇねぇ、ジャンギさんは寝室で寝るの?どうせだったら、一緒にリビングで」と言いかける水木を遮ったのは、仏頂面のソウルズだ。
「ベッドがあるのに床で寝る必要が、何処にある」
かくいうソウルズはリビングで一緒に雑魚寝するのだが、夜中、ジャンギの寝室に偲んでいきやしないか心配だ。
五分後には廊下が再び騒がしくなり、ドタドタと小島たちが戻ってくる。
「風呂あがったぜー!原田、お前もくりゃよかったのに」
誘ってもくれなかったくせに、そんなことを小島が言う。
「すっげーでかかったぞ!三人入っても、まだ余裕があってさぁ。共同風呂よかぁちっせぇけど、個人の自宅風呂にしちゃ〜でっけぇよな」
以前ジャンギと二人で入った時も余裕を感じたが、三人でも平気だとは。
原田が驚いていると、続けて戻ってきた神坐が口を尖らせる。
「いや、そこまでは大きくなかっただろ。お前らが釜ん中で暴れるから圧し潰されるかと思ったぜ、俺ァ」
「なんで一緒に入ったの?」との質問を水木が浴びせ、神坐はコキコキ肩を鳴らす。
「そりゃ〜風呂ってのに興味あったからな。正常な状態のうちに見ておきたかったんだ」
「俺は綺麗な湯のうちに入っておきたかったのだ」とヤフトクゥスまで答えるのを水木はチラリと見上げて、ぽつりと突っ込んだ。
「ふぅーん。一番風呂のほうが、原田くんと一緒に入るのよりも大事だったんだ」
さりげない指摘は、ヤフトクゥスと小島の双方に大ダメージをもたらす。
「し、しまったァァ!正晃と二人きりになれるチャンスを逃してしまった、だと!?」
「だから原田、お前も来ればよかったのにー!なんでついてこなかったんだよ!」
文句を言われたって、原田の知る処ではない。
誘ってくれなかったから、一緒に来ては駄目だと判断したまでだ。
そう答えると、小島にはブー垂れられた。
「ちぇーっ、変なトコで慎み深いんだから、正晃ちゃんは。俺相手に遠慮なんてすんなよな」
「次は誰がお風呂に行くの?」と、水木に問われて間髪入れずにジャンギが先を譲る。
「水木さん、ジョゼさん。君達も今日は疲れているだろうし、お先にどうぞ」
立ち上がった女子二人を見送りながら、原田は考え込む。
残る人数は、あと三人。
だがソウルズは恐らく、ジャンギと二人だけで入りたいだろう。
いざとなったら、風呂抜きで寝るのも覚悟しておかなければ。
豪快に鼾をかいて眠る小島と、真っ直ぐな姿勢で熟睡するヤフトクゥスを見渡してから、ジャンギが原田の耳元で囁く。
「原田くん、原田くんは俺と一緒に入ろう」
「待て!俺は、俺はどうなる!?風呂抜きかッ」とソウルズが騒いでくるのへは「君は一人で入ればいいじゃないか。風呂を独り占めだぞ」と、すげない。
「風呂など独り占めして嬉しいと思うか!?」
憤るソウルズを、まだ起きていた神坐が宥めに回る。
「ちったぁ気を利かせてやれよ。ジャンギ、お前は原田と内密の話をしたいんだろ?」
「その通りだ」とジャンギも頷き、ソウルズを見つめた。
「申し訳ないけど、君は一人で先に入ってくれ」
「何を話すつもりだ」と食い下がってくるのへは「個人的な相談だよ」と答えて、原田に視線を移す。
「これは俺個人に深く関わる話でね。悪いが、他の人には聞かれたくない。たとえ君が俺の親友だったとしても」とまで言われては、これ以上食い下がるわけにもいかず、ソウルズはムッツリ不機嫌に黙り込む。
親友にも聞かれたくないとは、一体どのような内容なのか。
相当深刻な、心の闇を話すつもりか。
重たい人生相談をされたって、たった十七年しか生きていない自分には解決できそうにない。
原田は不安になってきたが、ソウルズが隣にいてはジャンギに聞き返せもせず、やがて水木とジョゼが「気持ちよかった〜!次、どうぞ」と戻ってきた。
「もう、水木さんったら大騒ぎしちゃって……騒がしかったでしょう、こちらまで声が聞こえていなかった?」
ジョゼに尋ねられて、原田は「いや、全然?」と首を振る。
水木が風呂場で大はしゃぎしていたようだが、こちらにまでは聞こえてこなかった。
「うちは、どの部屋も防音完備だから音は漏れないよ。その代わり、誰かが風呂場でコケても気づいてあげられないけれど。大騒ぎってことは、水木さんが転んだのか。大丈夫かい?」
気遣うジャンギにジョゼが「そうなんです、水木さんがタイルで足を滑らせて、お尻を」と言いかけるのを、当の本人が「あ、でも大丈夫だよ!打った場所には回復魔法をかけておいたからね」と言い繕う。
「大事にしろよ」と原田にも気遣われて、水木は笑顔で頷いた。
「うん、心配してくれてありがとう。次はジャンギさんと原田くんとソウルズさんの三人で入るの?」
「いや、ソウルズが先に入って、俺と原田くんは一番最後だ」
テキパキとジャンギに仕切られては、ソウルズが口を挟む暇すらない。
眉間に縦皺を、これでもかというぐらいに寄せたソウルズは無言でリビングを出ていった。
「……どうしたの?喧嘩したの?」
小声で尋ねてくる水木の耳元で、原田も小声で答える。
「俺とジャンギさんが入ると決まった瞬間から機嫌が悪くなったんだ。ジャンギさんは俺に話があるらしい。ソウルズさんに聞かれたくないと言っていたから、それも不機嫌の原因になったんだろう」
「ふーん……輝ける魂に関する話かな?」
水木は首を傾げて考え込んだものの、割合すぐに考えるのをヤメにした。
「ま、いいや。ソウルズさんって、ちょっとジャンギさんにベッタリすぎだもんね。あれじゃジャンギさんも疲れちゃうよ。原田くんと一緒に入るって断ったのは、ソウルズさんを遠ざけたかったのかもね」
小声での悪口に苦笑して、原田も会話を切り上げる。
「それもあるかもしれないが、それだけじゃなさそうだ。実際に話を聞かない事には何とも言えないが」
ソウルズの唐突な不機嫌はジョゼも気になっていたようだが、それとは別の話題を原田たちに振ってきた。
「アーステイラを見つけたら、私達は、どう動けばいいのかしら」
「どう動くかって、そんなの決まっているじゃない。ピコくんを取り戻す!」
ガッツポーズで大雑把な意見を吐く水木の横では、原田が細かな答えを出す。
「まずは話しあいだ。ピコを人質に取られたままじゃ戦うにも戦えない。どんな手段を使ってでも、ピコをアーステイラの側から切り離すんだ」
「ピコくんに合図を送って前後で挟み撃ちにするってのは、どう?」
ジョゼの案に、原田は少し考え却下する。
「事前に合図を決めてあったなら、それでも良かったんだが……あいつはアドリブ作戦が苦手だ」
左の曲がりを左回りと解釈するような頭脳の持ち主だ。何の合図でも、誤読されるであろう。
それに――ピコは性行為の相手として連れ去られたのだ。
あれから、かなりの時間が経っている。衰弱している可能性のほうが高い。
「ピコくんを助ける方法、皆で頑張って考えないとね」と言っている側から、ふわぁっと大きく欠伸して、水木は布団に潜り込む。
「んん、でも眠くて頭が働かにゃい」
「あぁ、今日は、さっさと寝たほうがいい。俺も、お先に眠らせてもらうぜ」
神坐とジョゼが布団に入るのを見ながら、ジャンギが立ち上がる。
「原田くん、ソウルズが風呂をあがるまで俺の寝室で話すとしよう」
まだ原田と話したかったのか「あっ……」と小さく声をあげたジョゼにも「明日も早くに出るんだ、早く寝ないとね」とジャンギは微笑んで寝かせにかかり、原田を連れてリビングを出た。

寝室へ入るのは二度目だ。
ジャンギの匂いが充満しており、一人でいるとイケナイ気分になってしまう。
が、今は家主と一緒だし、興奮している場合ではない。
「アーステイラだけど、ピコくんを人質に取ったりはしないと思うよ」
部屋に入ってすぐ、切り出されたジャンギの見解に、原田は首を傾げる。
「でも、今のあいつは怪物ですよ。人間の道理が通じる相手じゃない」
「そうかな?彼女は明確な理由でピコくんを誘拐していったじゃないか。作戦が効かない場合のリスクを考えたら、大切な恋人を巻き込む真似はしないはずだ」とジャンギは反論し、ベッドへ腰かけるよう原田を促した。
「誰でもよかったんじゃない。ピコくんじゃないと駄目だったんだ。アーステイラには理性が残っている。相手を選ぶ程度には、ね」
公で性行為したいだのと抜かす破廉恥な彼女を見た後だと、とても理性が残っているとは言い難いのだが、怪物として捉えた場合、相手を限定するのは確かに不可解だ。
「ヤフトクゥスに見つかる覚悟で誘拐したんだ。返せと言われて素直に返すとは思えないし、戦わざるを得ない状況へ持ち込むにはピコくんをかけた決闘を突きつけよう。ピコくんを安全圏へ逃がす案には俺も賛成だが、そうするにはアーステイラに彼を守らせるよう誘導しないと難しいだろう」
「守らせる?」とオウム返しな原田へ頷き、話を締めた。
「そうだ。ピコくんを万が一にでも巻き込まないよう、安全な場所へ逃がしてもらうんだ。結界は駄目だ、戦闘中に破れる可能性が無きにしも非ずだからね。ピコくんさえ無事なら、お互い存分に戦えるだろ?」
ピコを守るのは当然として、アーステイラと戦うのも当然なのか。
ずっと迷ってきたが、もう覚悟を決めるしかない。
危害を加えられた以上、ピコだってアーステイラをぶん殴る原田を理解してくれよう。
静かになった瞬間を狙ったかのように、扉がドカッ!と蹴りつけられる。
ビクつく原田に苦笑して、ジャンギが言った。
「ソウルズがあがったみたいだね。じゃ、風呂に入ろうか」


タイルの上で体を洗いながら、それとなく原田はジャンギに尋ねた。
「ソウルズさんとは……長いのですか?」
「長いって何が?交流関係かい」と尋ね返されたので、重ねて問いかける。
「恋人……ではないんですよね?」
「まぁね。そもそも、愛しているって言われた記憶もないし」
過去に散々繰り返された質問なのか、ジャンギの答えに淀みはない。
「ソウルズはね、スクールじゃ女子に大人気だったんだ。ストイックでクールなのが格好いいって言われて」
くすっと笑い、身体の汚れを湯で流す。
「本当は短気で焼きもちだったんだけどね。俺が他の同級生と少しでも仲良くすると、すぐふてくされちゃって」
先ほどの扉ドカンも、学生時代じゃ、ままある日常であった。
言葉ではなく態度で示すことが多く、ジャンギと同じチームになる前は浮いた存在だった。
浮いていたのは、ソウルズだけではない。
ジャックスもミストもファルもガンツも、最初に組んだチームでは上手くいっていなかった。
「俺が最初に組んだチームは事実上解体されて、教官が厄介な連中を全部俺に押しつけてきたんだ。なんで俺に?って当時は思ったりしたけど、必死になって彼らを理解しようとしているうちに卒業を迎えちゃったよ」
「それはきっと、教官が見抜いたんですよ。ジャンギさんなら彼らを上手く導いてくれると」
勢い込む原田を横目で眺めて、ジャンギは肩をすくめる。
「そうなら、いいんだけどね。おかげさまで波乱万丈な学生時代になったよ」
風呂釜に身を沈めて、原田くんは、と逆にジャンギが話を振ってくる。
「最初に決めたチームのままで卒業できそうだよね。まるで十年来の親友みたいに息がぴったりだ」
「水木と小島は幼馴染ですが、ジョゼとピコは違います」と呟く原田を見つめて、満面の笑顔で頷いた。
「うん、だけどジョゼさんとピコくんも君を信頼しているじゃないか。一年目の合同会でチームメイトの息が合うってのは、実は珍しくてね。普通は三年通して、ようやく互いを理解できてくるんだ」
あの、めちゃくちゃ統制がとれていなかったグダグダな試合展開を見た上で言っているんだとしたら、どの辺に息ぴったりな部分が?と原田は首を傾げずにいられない。
だが、そういうことを言っているのではないのだろう、ジャンギも。
自分の一年目が上手くいかなかったと思っているからこそ、原田たちが仲良しチームに見えるのだ。
ソウルズ一人を見ただけでも苦労の程が偲ばれる。
「短い期間なんだ、スクールで培った友情は大切にするといい。きっと一生の力になってくれるから」
どこか遠い目で締めたジャンギは少々考える素振りで黙り込み、一旦会話が途切れる。
だが、すぐにジャンギのほうから再開した。
「前から聞きたかったんだが、原田くん。君はどうしてスクールへ入ろうと思ったんだ?」
「え?」と驚く原田の顎に触れて、ジャンギが、じっと見つめてくるもんだから。
急激に頬の火照りを覚えた原田は、ふいっと視線を外しながら風呂縁を跨いでジャンギの隣に座り込んだ。
「その、小島がなると言い出して、水木もなると言い出したから、それで」
「なるほど。両親の失踪が原因ってわけじゃないのか……」
何事か小さく呟いた後、ジャンギは笑顔を浮かべる。
「ぶしつけな疑問に答えてくれてありがとう。幼馴染が全員なるってんじゃ、なるしかないよな」
「あの、ジャンギさんは何で自由騎士に?」
原田の質問返しにも、ジャンギは即答する。
「短い人生だからね。誰かの役に立って、ずっと俺のことを覚えていて欲しかったんだ」
短い人生というのは、アーシスの大人が多用するフレーズだ。
しかし平均寿命五十年は、そこまで短いとも思えない原田である。
ジャンギは老い先の短さをアピールしてくるけれど、原田から見た彼は老いているように見えない。
「だから、生涯現役を目指したんだけど……このザマだ。上手くいかないもんだね、人生ってのは」
なくなった側を見下ろして自嘲するジャンギに、思いきって尋ねてみた。
「ジャンギさんって、まだお若いですよね?どうして老い先が短いと思うんですか」
ジャンギは一瞬言葉に詰まり、ややあって弱々しく笑った。
「……まぁ、そうだね。子供がおらず、結婚もしていない。そんな奴が老い先短いって言うのは不思議に感じるか。まだ若い、死ぬまでには何十年もあるはずだと」
けど、と付け足して原田を真っ向から見つめる。
「人には、それぞれ天命ってのがあってね。誰もが同じ年齢を生きられない」
天命?と首を傾げる相手に言い直した。
「簡単に言うと寿命だ。人間は誰しも生まれつき、生きられる年数が定まっている。病気や怪我がもとで天命通りに生きられない可能性だってある」
ジャンギも怪物に移された病気があって、それで老い先が短くなったのか?
それとも、天命が他の人より極端に短いのだろうか。
いつかは先に死ぬとしても、数日後に死なれたらと考えると、原田の心は深い悲しみに包まれてしまう。
瞳を涙で滲ませて黙りこくった原田の耳に、ジャンギの声が入り込む。
「さすがに、今日明日で死ぬほどには短くないから安心してくれ。それに――文献によると短い天命を修正する方法も、あるようだしね」
ハッとなって原田が顔をあげると、ジャンギは確信に満ちた表情を浮かべている。
「俺も最初は天命を受け入れるつもりでいたんだが……原田くん。君が俺の前に現れたことで、もっと長生きしたいと考えるようになった。これまでは無駄なあがきでしかなかったけれど、輝ける魂が覚醒したんなら話は別だ。君に頼みがある。俺の天命を、書き換えてくれないか?」
原田はポカンと呆ける。
いや、彼の言わんとする事は判るのだが、具体的にどうすればいいのかが判らない。
天命が生まれつき定められた寿命なら、何をどうやろうと変えられないのではないのか。
なのに寿命を延ばすって、どうやって?輝ける魂にしか使えないという魔法でか?
神坐は自信満々使えると言いきっていたが、頭の中に呪文なんぞは一つたりとも浮かんでこない。
本当に使えるんだろうか、魔法なんて。
魔力だって、入学前の測定じゃ平均値以下だったのに?
うんともすんとも返事が出来なくなった原田を、ジャンギが抱きしめる。
「具体的なやり方は俺が調べておく。君はアーステイラを元に戻した後も輝きを保っていてくれれば充分だ。輝ける魂を維持することで、君には辛い人生を選択させてしまうかもしれない。だが……俺は一日でも多く、君と一緒に生きていたいんだ」
ジャンギには覚醒する為の御膳立てを多々してもらった。
できることなら、彼の望みをかなえてあげたい。
英雄が一日でも長生きしてくれるなら、こちらとしても願ったりかなったりだ。
ぽっぽこ頬を赤く染めつつ、明日、神坐に輝ける魂の能力詳細を訊いてみようと原田は考えたのであった。
22/01/24 UP

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