合体戦隊ゼネトロイガー


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act3 スピリチュアルアタック

薄暗い部屋の中。
薄く汗をかいてベッドの上に横たわる裸体がある。
女だ。
裸の彼女に覆いかぶさるようにして、男が足を大きく広げさせる。
露わになったのは黒い毛と、鮮やかな紅に熟れた果実。
とても直視できず、目を閉じた格好で視線を逸らすが、光景は鉄男の脳に直接映し出された。
シークエンスが想像しているはずなのに、彼女の局部が直視できるのは何故なのか。
カメラワークが映すのは彼女の裸体ばかりではない。
次の瞬間には木ノ下のドアップが迫り、シークエンスの局部へ吸い付き、ジュルジュルと音を立てて啜る。
思わず両耳を手で塞いだが、音は全く遮断されずに鉄男の耳に流れてくる。
駄目だ、こんな状態ではユナに何かするどころではない。
女体を意識するな。自分の思考に集中しろ。
鉄男は歯を食いしばり、両目を閉じて座り込む。
必死で思考を切り替えようと努めたが、己の下腹部が次第に熱くなっていくのを感じていた。
彼の様子をユナは興味深げに、じっと眺める。
童貞だとは亜由美やマリア経由で聞いていたが、これほどまでに慣れていないとは驚きだ。
何にって、もちろん濡れ場にである。
シークエンスが濡れ場を妄想して、ゼネトロイガーのエンジンを動かす。
攻撃はユナの煩悩で賄う為、鉄男が補佐するという手順になっていたが、この様子では彼に補佐は無理だろう。
今頃、鉄男の脳内はシークエンスと木ノ下の濡れ場シーンでいっぱいだ。
別のことを考える余裕もあるまい。
確か鉄男は二十五だか、そこらの年齢だったはず。
それでこの反応じゃ、女性との交際はおろか、エッチなビデオを見た事もないのであろう。
ユナは、見た事がある。
参考資料として散々見たのだ。
男女のセックスシーンを、エッチなビデオテープで。
今じゃもう、局部だろうが濡れ場シーンだろうが何を見ようと全く動じない自信がある。
十代にして無駄な自信がついてしまったのは、多少物悲しくもあるのだが……
鉄男に意識を戻してみると、彼は微かに息を荒くし、落ち着かなさげに手を股間へ当てている。
当てているばかりではなく、自分で自分のものを触っているようにも見えた。
恐らくは、無意識にだろう。
先ほどまでは必死に耳を塞いでいたのに、今は耳を押さえてもいない。
一つの体に二つの意識があるというのはユナにも理解できないが、想像なら多少は出来る。
鉄男の様子を見る限り、シークエンスとの思考はお互いに筒抜けなのであろう。
だから、耳を塞ごうが目を閉じようがダイレクトに伝わってしまう。
そんな状態では、将来好きな人が出来た時に困るのではないか?と、ユナは余計な心配までしてみた。
まぁ、抜け出られるようなこともシークエンスが言っていたし、永遠に一緒ではないのかもだが。
ゼネトロイガー二号機のエンジンは動いている。
操縦方法は教えてもらっているから、ユナ一人で動かせないこともない。
だが、攻撃は?攻撃するにはエネルギーが足りない。ユナの煩悩も加えないと。
煩悩を高めるには、操縦桿から手を離さないと今のユナでは無理であろう。
やはり教官の補佐は必要だ。
「……えっと、辻キョーカン?」
遠慮深げに声をかけてみたが、返ってきたのは小さな「くっ……」という呻き声。
呻きというよりは喘ぎ声に近く、思わぬ声色にユナの胸はドキンと高鳴った。
鉄男は片手で目元を覆い、片手で股間を弄っており、小刻みに体を震わせている。
シークエンスの妄想に、己を重ねているとしか思えない。
重ねるとしたら、どっちに?……順当に考えれば木ノ下に、か。
シークエンスと鉄男の交流状況もユナは詳しく知らないのだが、もし好きになっちゃったら大変だなと考えた。
なにしろ二人は、常に一人しか表に出られないそうなので。
鉄男の股間は盛り上がっている。
元々ここは盛り上がっているのだが、先ほど見た時よりも大きくなっているような?
ごくり、と我知らず唾を飲み込み、ユナは鉄男との距離を縮めた。
先ほどは失敗したが、妄想で身動きできなくなっている今ならチャンスだ。
手に手を重ね、ユナの鼻息も次第に荒くなっていき、大胆な行動に出た。
そっと鉄男の手の上から、膨らんだ個所をモミモミと揉んだのである。
「んっ……ぁっ」と小さく鉄男が喘ぐもんだから、ますますユナの鼻息と心拍は高まっていく。
ヤバイ、木ノ下教官が辻教官に優しくしたくなる気持ちが判っちゃったかも。
相模原が辻教官を『ウブで可愛い』と評していたのもだ。
今ならユナにも、よく判る。ウブで可愛い。
年上を捕まえて投げかける言葉ではないが、しかし可愛いものは可愛いんだから仕方ない。
小さく身じろぎはするものの、ユナの手を振り払うでもなく、むしろ身を摺り寄せてくる。
普段の厳格で堅真面目な鉄男からは、考えられないほどの甘えっぷりだ。
いや、もしかしたら普段の態度はキャラを作っているのかもしれない。
素顔の鉄男は、まだ誰も見ていない領域なのだ。
彼が、こちらに心を開いてくれない以上。
じっとり背中と額に汗をかいていた。
上にジャンパーを着こんでいるが、きっと下のシャツは乳首が透けているに違いない。
目元は手で覆ったままだから、彼が今どんな表情を浮かべているのか判らない。
さすがに手をどけようものなら鉄男も状況に気づいて逃げ出すだろうし、残念だが表情を見るのはお預けだ。
それより剛助も簡単には触らせてくれない箇所が、今なら触り放題だ。
ズボン越しでも判る、鉄男は勃起している。
つまり彼も、女体やセックスを一応は理解しているということだ。
そう考えると案外純情じゃないのではという気もするが、少なくとも、剛助よりは初心である。
剛助は全く動じない。
エロテープだろうとエロ本だろうと、真顔でユナたちに見せてきた。
エッチな認識ありで授業を受ける身としては、そこんとこが少々物足りない。
エッチな名称を口にして恥ずかしがる教官込みで、こちらも恥ずかしがってみたかったのだ。
盛り上がり部分を撫でてやると、鉄男が「ぅん……ん、だ、めっ」と小さく呟いて仰け反る。
剛助なら、絶対にこんな態度は取るまい。
大体あれは触らせてもくれないし、偶然を装って触っても平然としていた。面白みが全くない。
声自体も、鉄男のほうが段違いにエッチだ。
僅かに開いた口元も思わずキスしたくなるほどの艶めかしさだが、本人の承諾なしは後で揉め事になりそうだ。
いつしか熱心にさすさす鉄男の局部を撫でくり回すユナの耳に、剛助の怒鳴り声が聞こえてくる。
『どうした、ユナ!そちらも、もう動けるのだろう、始めるぞ!?』
そうだ、すっかり忘れていた。
これは模擬戦闘なのであった。


ユナになすがまま弄られ放題になっていた鉄男は、思考を完全にジャックされていた。
今や脳内では木ノ下に挿入されたシークエンスがアンアン喘いでおり、時折カメラワークが接合部分を、これでもかとドアップで映し出してくるのだ。
グチャグチャヌチャヌチャと聞き慣れない、肉と肉の擦れあう音が耳の中を占領している。
ユナを愛撫するどころではない。
操縦桿を握って、ゼネトロイガーを安定させるのも無理だ。
何かを考えようとしても、全てシークエンスの妄想で押し流されてしまう。
改めて、自分の中に自分と異なる生き物がいることの厄介さについて鉄男は頭を抱える。
いや、それすらもエロ妄想に押し流されて、鉄男は考えるのを断念した。
木ノ下の舌がシークエンスの肌を這うたびに、自分まで全身を舐め回されている気分になってしまう。
息遣いがリアルだ。木ノ下だけじゃない、シークエンスのも含めて。
だんだん木ノ下の手がシークエンスではなく自分の体を撫でまわしているように感じられて、ハッと木ノ下に目を向けると、間近に彼のドアップがある。
「鉄男……好きだ」
驚く間もなく鉄男の唇に間髪入れず木ノ下がキスしてきて、「あー!ちょっとぉ鉄男、割り込まないでよ!!」と怒鳴る声まで聞こえてきて、木ノ下に唇を塞がれた格好でシークエンスを見てみれば、顔を真っ赤に怒っている。
どうなっているのだ。
これは、あくまでも彼女が妄想した映像で、鉄男が入り込むことなど出来ないのでは?
だが実際問題、鉄男は木ノ下にベッドの上で組み敷かれている。そればかりかキスまで。
いつの間にやら、シークエンスと立ち位置が入れ替わっていた。
「あんたがやるのは進とのエッチじゃなくてゼネトロイガーの操縦でしょ!?」
キーキー脳内で怒鳴られ、木ノ下を勢いよく振り払った鉄男も脳内で怒鳴り返す。
「判っている!だが、お前の妄想が強すぎて無理だ!!」
「妄想なんて言うなよ、酷いぜ鉄男〜。俺は、こんなにお前を愛してるのに」
何故か妄想の木ノ下が調子に乗って鉄男へ抱き着いてくるのを、強く押し返してベッドから転落させると、シークエンスと鉄男は真っ向から睨み合う。
「木ノ下が好きなら好きで、しっかり捕まえていろ!なんで俺に襲いかかってくるんだッ」
「知らないわよ、そんなの!鉄男が妄想するから、そんなんなっちゃったんでしょ!!」
「していない!」
そうだ、するはずがない。
何万回でも言うが、木ノ下となりたいのは親友であって恋人では断じてない。
しかし起き上がった妄想内木ノ下は、すっかり鉄男に夢中で腰から下をペタペタと触りまくってくるではないか。
「鉄男〜ハァハァ、鉄男かわいいよ鉄男」
鉄男でもシークエンスでもないとしたら、一体誰の妄想だというのか。この、錯乱した木ノ下は。
木ノ下の手は鉄男のズボンの中に入り込んで、大事な部分をモミモミさわさわしてくる。
「ハァ〜、鉄男のここんとこ、しゃぶりてぇ〜」
触られるたびに、鉄男の背中を悪寒が走り抜ける。
「や、やめろ、木ノ下……!」
すっぽんのようにしがみついた木ノ下を引きはがすのは困難を極め、シークエンスも助太刀する。
「もーッ。何やってんのよ、鈍くさいわねぇ鉄男」
二人がかりでグイグイ引っ張り、しまいにはシークエンスの強烈な蹴りで妄想内木ノ下は吹っ飛び、壁にぶつかった瞬間消滅した。
「せっかく盛り上がってきたのに、鉄男のせいで最初からやり直しじゃない」
妄想とはいえ、あっさり木ノ下を抹殺したのに驚きなら、あっさり消滅を受け入れたのにも驚きだ。
「し……死んだのか?」
ぽつり呟く鉄男に「死んだっていうか消したのよ」と軽く受け流し、シークエンスが目をつぶる。
再び妄想に入ろうとしたのだが、「随分あっさりしているんだな」とも呟いた鉄男を、苛々した表情で睨みつけた。
「仕方ないでしょ?誰かさんの介入で駄目になっちゃったんだから!」
「だから、俺は妄想などしていない!!」と鉄男も苛ついた目で返し、不意に周囲を見渡した。

――今。
僅かではあるが、何かの気配を感じた。
馬鹿な。ここは自分とシークエンスしかいない、己の脳内であるはずなのに。

静寂が訪れたのも一瞬で、すぐに「きゃっ、ちょ、ちょっと何よコレ!」とシークエンスが、けたたましく騒ぐ。
鉄男にも異変は、はっきりと見えていた。
二人を囲む空間という空間に大量の木ノ下が沸きだしてくれば、気づかないほうがおかしいというもの。
背後から木ノ下が、べったり抱き着いてくる。
「鉄男ぉぉ〜好きだぁぁ〜」
「やめろッ!」と振り払う側から別の木ノ下が鉄男の足を押さえつけ、鉄男は大量の木ノ下に押し倒される。
乳首を吸われ首筋を舐め回され、尻の穴をほじられ陰嚢をしゃぶられる。
それらの感触はダイレクトに脳へ入り込み、全ての行為が未体験であるはずの鉄男を翻弄した。
抵抗しようにも、手足は押さえつけられ身動き一つ取れやしない。
「うっ……くぅ、き、木ノ下……やめろ……ッ!」
嫌がっても無駄だ、鉄男に群がった木ノ下は全員スケベ笑いを浮かべて鼻息を荒くするだけだ。
そのうちの一人が、またもキスしてきて、声すらあげられなくなった。
「あぁん、進、いっぺんに吸っちゃ駄目ぇ〜〜」
木ノ下の陰で見えなくなった、シークエンスのいた方角からは彼女の媚びた声が聞こえる。
大量増殖した時にはシークエンスも驚いていたから、これは彼女の作り出した妄想ではない。
一体誰だ?こんな異常な妄想ワールドを作り出した元凶は!
大勢の木ノ下に凌辱されて涙がにじむ鉄男の瞼に、何者かの姿が浮かび上がる。
黄色く光る体に触覚のような目が二本、飛び出している。
胴体には大きな割れ目が横一文字に開いていた。
人間ではなく、動物でもない、おかしな生物だ。まるで子供の描いた落書きにも見える。
[落書きとは、言ってくれるね]
脳に響く、全く知らない声に鉄男は驚く。
甲高く鳥のさえずりにも似た、それでいて言語は人のものだ。
謎の生き物が割れ目を開閉して、言葉を紡ぎ出しているのであった。
[まったく、お前は面白いよ。こんな機体に乗り込んでいながら、同種の裸体にも性交にも慣れていないだなんて]
生き物がぐるりと周囲を見渡すと、鉄男の視界もぐるりと回る。
[この機体も妙に懐かしさを感じると思えば、あいつの考案じゃないか。煩悩を糧とするんだろう?]
――お前は誰だ。
言葉には出さず、鉄男は思考で呼びかける。
生き物の割れ目が、ぐにゃっと歪んだ。笑っているのだと、脳が鉄男に伝えてくる。
[なんだ、もう忘れてしまったのか?下等生物]
また視界が動き、木ノ下にもみくちゃにされながら嬌声をあげるシークエンスが鉄男の視界に映し出される。
[僕だよ、カルフだ。そういや、この姿で会うのは初めてだったか]
その姿は何なのかと鉄男が尋ねる前に、彼は言った。
[この星へ来る前の姿だ。まぁ、そんなことはどうだっていい。今はお前と同じ種に乗り移っているのだからな]
ならば、何故乗り移った後の姿で来ないのか。
だがカルフは鉄男の脳内質問をスルーし、再び腹の割れ目を歪に曲げた。
[シークエンスがお前を選んだのは偶然のようだが、あいつの寄生木にしておくのは勿体ないほどだ]
何がと聞き返そうとするも、木ノ下の手に陰茎を激しく扱かれて、鉄男は思考が乱れてしまう。
カルフの言うとおり、性交には全く慣れていない。
裸体もだ。見慣れているわけがない。
誰かと交際した記憶はないし、ニケアを出るまで鉄男に娯楽らしい娯楽は一切与えられていなかったのだから。
エロビデオなんてのはラストワンへ来てから初めて見たし、自慰行為が出来るような環境でもなかった。
脳裏に思い浮かべる裸のイメージすら、持っていない。
それでも裸を見れば恥ずかしいと思うし、体を弄られると気持ちいい感覚が脳に浮かぶのは我ながら不思議だ。
きっとどこか心の奥深くで、そうした行為を期待する自分がいたのだろう。
[可愛いな。僕がお前の番になってやってもいいぐらいだ]
唐突にカルフの珍発言が割り込んできて、鉄男は自己分析を中断する。
[シークエンスはキノシタと番になりたいようだが、僕から見れば、こんな雑魚と番になりたい奴の気が知れない]
こんな雑魚とは、なんだ。失礼な。そもそも番とは何だ?
鉄男の脳内疑問に、今度はカルフも答えてくる。
[番は番さ。お前らの言葉だと、結婚ってやつか?余計なごみさえくっついてなけりゃ、お前を僕の元につれていきたかったよ]
余計なごみとは?と視線で尋ねる鉄男に、カルフが目線でシークエンスを示す。
彼女は大量の木ノ下にもみくちゃにされて、あられもない嬌声をあげ、汗だくになりながら腰を振っていた。
両足で木ノ下の体を挟み込み、両手でもしっかり抱きついている。
何人もの木ノ下が入れ替わり立ち代わりシークエンスにキスをお見舞いしては、至る場所を舐め回す。
[ここまで激しく求めたくなるほど、優秀な種とは思えないんだけどね。だが、僕には判らない魅力がキノシタにはあるんだろう]
木ノ下の魅力であれば、鉄男も充分知っている。
優しいし、明るいし、親切だし、思いやりだってあるし、人望も備えている。
何処をどう見ても完璧ではないか。
木ノ下の良さが理解できないカルフこそ、哀れな存在だ。
[ふん、今度は哀れと来たか。価値観の違いだと言って欲しいね。だが……そんなところも可愛いよ、お前は]
さっきから黙って聞いていれば、可愛い可愛いと連呼してくるのも何なのだ。
知り合いでも何でもない、ましてや人間でもないような奴に可愛いなどと言われる筋合いはない。
それに、男同士だ。男が男を可愛いと言い張り、結婚したいとまで言ってくるのは気味が悪い。
[僕らに性別は関係ない。器の性別で如何様にも変われるからな。それに、それを言ったらキノシタなんてどうなるんだ?]
鉄男が黙って首を傾げるのを見て、割れ目は小さく空気を漏らす。
呆れの溜息といったところか。
[お前は本当に変わっている。ラストワンの中でも随一の変わり者だ]
なおも黙っていると、カルフは鉄男に視線を定めてきた。
[この機体を通してなら、お前とのコンタクトが可能だと判った。なんだ、驚いているのか?驚くには値しないだろ。なんたって、こいつはクローズノイスの考案したブルットブルブックと同じ発想なんだからな。だが……動かすのが無理ってのは癪だな。こいつを作った奴は、ブルットブルブックにはない余計な機能を付け加えたらしい]
最後のほうは何を言っているのか、鉄男には、さっぱり判らなかった。
彼に判ったのは、ゼネトロイガーのモジュールボックスをシークエンスと接続すると、ここを通してカルフにこちらの動きが筒抜けになってしまう――という危険性だけであった。
それだけ判れば充分だ。今すぐ模擬戦闘は中止にしよう。
[おっと、教えすぎたかな?まぁ、いい。シークエンスを迂闊に利用する愚かさが判ったようだしね。そうだとも、あいつは僕たちの仲間だった。こいつを使えば、お前らにもデメリットが発生する。よく考えて使うことだ]
瞼に映る、カルフの姿が徐々に薄れてゆく。
[じゃあな、辻鉄男。次に会う時は、可愛い美少女の姿で会いに行ってやるよ。すり寄ってキスして陰部を撫でてやるから、今日みたいに可愛い声をあげてみせろ]
最後まで小馬鹿にしてくるカルフへ脳内なんだか、それとも声に出してか「馬鹿にするな!」と叫んだ直後、極至近距離に迫ったユナと、ばっちり目が合って、鉄男は思いっきり拒絶の悲鳴をあげた。


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