Devil Master Limited

1-5.最後の一人

Common Evil本社ビルの十三階に、使われていない部屋が一つある。
以前は資料室として利用されていたのだが、二年前、部署の大幅改訂がされた際に資料室の場所も移動した。
空き部屋となった後は、立ち寄る社員もいない。
その部屋に今、灯りがともっている。
扉にもプレートがかけられ、端麗な筆記体で『使用中』と書かれていた。
「ふむ、表通りは全検問設置。結界もルスタ地区まで配置完了か。思ったよりも行動が早いね」
カチカチとキーボードに打ち込みながら、青年が一人呟く。
ショートボブの茶髪に、こざっぱりした白いシャツ。
首からはCommon Evilの社員証をかけている。
「ルスタ方面での抜け道は、と」
素早く手元の資料をめくり、小さく唸ったかと思うと「なるほどねぇ」と、何がなるほどなんだか一人で感心して独りごちた。
空き部屋であったはずの場所には本棚と機材が持ち込まれ、中央に机が置かれている。
青年は、その机でモニターと睨めっこしながら情報検索しているのであった。
『アリューは、どこへ逃げる気なの……?』
どこからともなく、静かな声が尋ねる。
この部屋には青年一人しかいないというのに。
だが、青年は驚くことなく平然と受け応えた。
「たぶんだけどね、海沿いに逃げ道が一本ある。そこを使うと思うよ」
『海沿い……?でも……』
「そうだね、追っ手も馬鹿じゃないから、当然対策は整えるだろうね。その抜け道で勝負をかける気なのかも」
扉をノックする音にも、穏やかに応えた。
「開いているよ。どなた?」
この部屋を尋ねてくる酔狂な社員など居ないはずなのに、青年は落ち着いて振り返る。
そして扉を開けた主が予想通りの人間であった事に内心満足して、柔らかな笑みを浮かべた。
「ようこそ、エイジ=ストロン先輩。いかがですか?僕の作業部屋は」
山と積まれた書類を無造作にどかし、ラングリットが椅子に腰掛ける。
「何が作業部屋だ。社長に無断で勝手に利用しているんじゃない」
傍らではバルロッサも口をとがらし、ぶうたれた。
「まったくよ。おかげで、あなたの居場所を突き止めるのに時間がかかっちゃったじゃない」
カゲロウ=ミスティックは所定の席にいなかった。
故にビル全体を駆けずり回って情報を集め、ようやく、この部屋にいるのを突き止めた次第である。
だが先輩諸氏に苦労をかけさせた張本人は謝りもせず、しれっと言い返してきた。
「失礼ながら、僕程度を探し出せないようでは逃亡者を捕まえることなど出来ませんよ。まぁ、そういう意味では合格ですかね、皆さんは」
ラングリットの片眉が跳ね上がる。
「合格、だと!?」
「えぇ、そうです」
カゲロウは涼しい顔で受け応えた。
「僕が仲間になるのに相応しいメンバーです。そうでしょう?ストロン先輩。あなたは僕を仲間にしたくて、探していたのでしょう」
「あぁ」と頷き、改めてエイジはカゲロウを真っ向から眺めた。
まず彼をパッと見て感じるのは、全身から放たれる若々しさだ。
エイジも童顔な部類に入るが、カゲロウは、それ以上に幼い風貌であった。
青年と言うよりは少年に近い顔つきで、背丈も女性のバルロッサと大体同じか。
小柄な体格だ。十代後半、下手したら前半と言っても通用しそうである。
リストで見た時の写真は俯きがちで暗い男に見えた。
しかし今、こうして向き合ってみると、さわやかな印象を受ける。
人とは、実際に会うまで判らないものだ。
「メンバー集めは君で最後だ。さっそくだが、君の遣い魔を見せてくれないか」
エイジが促すと、カゲロウは床に向かって話しかけた。
「だ、そうだ。姿を見せてやってくれ、パーミリオン」
「なんだ、お前の遣い魔は床下に隠れているってーのか?相当恥ずかしがり屋か、或いは」
ラングリットが茶化すも言い終える前にカゲロウの遣い魔が姿を現し、ぎょっとなる。
なんとパーミリオンはカゲロウの足下、つまりは影の中から姿を現したのだ。
カゲロウの影の中で黒いシルエットが、ぬっと立ち上がって人の形を取る。
見る見るうちに立体を伴い、色をなし、皆の見ている前で黒髪の少女となって会釈した。
「そいつも空間移動が出来るのか!?」
驚くラングリットには首を振り、カゲロウが訂正する。
「違いますよ。こいつは、どこにでも潜れるのが十八番でしてね」
「潜るって、でも」とバルロッサも困惑して、パーミリオンからカゲロウへ視線を移す。
「社員リストには潜水と書かれていた?えぇ、そうですね。普通は水に潜ることを潜水と呼びます。ですが、ただ水に潜るだけなら人間のダイバーにだって出来ます。わざわざ悪魔を使役するまでもないし、悪魔の特殊能力欄に書くほどでもないでしょう。特殊能力とは特殊だからこそ、そう呼ぶのです。こいつの能力みたいにね」
「影の中に潜る以外には、どこへ潜れるんだい?」と聞いてきたのは、それまで大人しくしていたデヴィットだ。
部屋に入るなり積んであった本を適当に読んだり、あちこち眺めていたりしたのだが、それにも飽きたらしい。
「そうですね……細い隙間や、水道管。もちろん水に潜るのも得意ですよ。それから、変わった場所では他人の心でしょうか」
「他人の心?」
首を傾げる面々へ頷くと、どこか誇らしげにカゲロウは続けた。
「そうです。パーミリオンの、もう一つの特技。皆さん、もうご存じでしょうが精神遠隔感応は他人の心と直接コンタクトを取る能力です。精神遠隔感応でつながった心の中にも、こいつは潜ることが可能なんですよ」
もし彼の言い分が全て本当なら、パーミリオンはランスロットにひけを取らない能力の持ち主になる。
その割に、社内の知名度がいまいち低いのは何故か。
彼の現在地を探す際、ビル内の社員に手当たり次第聞きまくったのだが、中にはカゲロウを覚えていない社員までいた。
それをエイジが問いただすと、カゲロウ本人は薄く笑って肩をすくめる。
「僕とパーミリオンは地味ですからね。紅髪のイケメン悪魔遣いに空間を切り裂く鎧の遣い魔。こんな派手なコンビと比較されちゃ、たまったものではありません」
言ってみればカゲロウは、どこにでもいるような顔だちだ。
会社ではなく街ですれ違ったら、覚えていられる自信はない。
それにパーミリオン。
彼女は、先ほどから一言も言葉を発していない。
まるで足下の影同様、主にひっそりと寄り添っている。
ご主人様と同じショートボブの、だがこちらは黒髪で華奢な体を晒していた。
吹けば飛ぶような、か弱い印象を受ける。
なるほど、これでは皆の記憶に残らなくても致し方ないというもの。
イケメンだのといった社交辞令は一切無視して、エイジは頷いた。
「君が俺の予想していた以上に優秀な仲間で良かった」
「そうでしょう」とカゲロウは、清々しいほど謙遜しない。
性格には難のありそうなタイプだが、少なくとも悪魔は優秀なようだし、これでやっと本題に入れる。
エイジは話を切り出した。
「ここで君が調べていたのは、逃亡者の足取りか?」
「察しがいいですね、さすがストロン先輩」
喜ぶカゲロウへ「エイジで構わない」と断ってから、肩越しにエイジもモニターを覗き込む。
モニターの大半を占めるのは、ヨンダルニア全域の地図だ。
地図の上には赤や黄色の線が無数に書き込まれているが、道路や鉄道といった交通機関を示しているのであろう。
画面の四隅には、それぞれ中央へ抜けるルートや海沿いへ抜けるルートなどが表示されていた。
「抜け道が一つだけあるんですよ。検問の手を免れた」と、カゲロウが注釈を入れる。
彼が軽やかにキーボードを叩くと画面が切り替わり、四隅の一つがクローズアップされる。
「ベルベイは多分その道を使うでしょう。そして彼女の追っ手も、当然そこで待ち伏せするはずです」
「追っ手?追っ手が検問を仕掛けているんじゃないの?」と、これはバルロッサの問いに、カゲロウはフンと鼻を鳴らす。
「違いますよ、僕の言う追っ手とは」
「会社に雇われたヒットマンか」と言葉をつないだエイジには、会心の笑みを向けた。
「その通りです。嬉しいな、エイジさんが僕と同等の頭脳の持ち主で」
「くだらん世辞は不要だ」
素っ気なくカゲロウを突き放すと、エイジは考え込む。
敵はベルベイだけじゃない。
彼女を追いかける別口の悪魔遣いとも、場合によっては戦闘になる可能性が高い。
彼らと同じ道で見張っていたら、三つ巴の混戦になるのは必至だ。
それだけは避けたい。
抜け道を使う前に彼女と接触したい。
ベルベイが他に姿を現すとしたら、それは何処だ?
「……俺達には情報が圧倒的に足りないな」
ぽつりと呟くエイジに、ぽかんとしてバルロッサが聞き返す。
「情報って、何の?」
だが間髪入れずカゲロウには鼻で笑われ、さらにはデヴィットにまでも肩をすくめられ、彼女は大いに気を悪くした。
「なんなのよ、あんた達のその態度は!言いたいことがあるなら、はっきり言いなさいよッ」
カッカするバルロッサとは対照的に、二人とも落ち着いたもので。
「何のって決まっているじゃないか。鈍感な僕にだって判るよ、なぁカゲロウ?」
デヴィットに促され、カゲロウも同様にバルロッサをせせら笑う。
「ベルベイ=ナイヴの個人情報に決まっています。少しはご自分の頭を使ってあげたら、どうですか?ルベロ先輩。ですがエイジさん、ご安心を。彼女の個人的な情報なら、僕が掴んでいます」
「そりゃまた、えらく手の早いこったな」
呆れるラングリットへは片目をつぶり、カゲロウは曖昧な返事をする。
「なに、アリューと僕らは、ちょっとした因縁がありましてね。それよりベルベイの何が知りたいのです?素性?それとも性格?何だってお答えできますよ、エイジさん」
「そうだな……」
エイジは少し思案してから、答えた。
「素性と性格は当然として、店の好みや通常で取る行動パターン、その他何でもいい。君の知っていることを全部教えてくれ、カゲロウ」

ベルベイ=ナイヴは、貴族の一人娘として生を受けた。
幼い頃は蝶よ花よと両親に可愛がられて育ったが、彼女がスクールへ入学した時期に状況が一変する。
両親が離婚したのだ。
母親に引き取られたベルベイは経済的にも暮らしが苦しくなり、やがてスラム街へと引っ越した。
片親家族なのが幸いしたのか、ベルベイは誰に虐められることなく最下層の住民と打ち解ける。
上流階級で育ったベルベイは、おっとりとした気質で、誰にでも優しく公平で、そして優雅で、なにより姿が美しく、スラム街の住民は一目で彼女を気に入ってしまった。
彼女を虐めようとする者が現れようものなら、虐める前に、そいつが陰でリンチに遭うほどの人気であった。
勿論、ベルベイには内緒だ。
心優しい彼女を傷つけまいと、誰もが気を遣った。
やがて大人になり、ベルベイにも独り立ちの時期が近づいて。
幼なじみが悪魔遣いへの道を選んだと聞き、彼女も同じ道を決意した。
「アリューはパーミリオンの兄貴分なんですよ。ベルベイの遣い魔になったと聞いた時は驚きました。よりによって、あいつがベルベイの遣い魔に!?――ってね」
涼しい表情を崩し、カゲロウが苦々しく吐き捨てる。
「それが奴とお前の因縁ってわけか」
ラングリットはフゥムと唸り、じろじろパーミリオンを眺める。
眺められたほうは、さも居心地悪そうに身じろぎすると、無言で主の影の中へ逃げようとする。
そうはさせまいとデヴィットが彼女の腕を掴み、意地悪くにやりと微笑んだ。
「愛しのお兄様の話をしているんだぜ?君からも話を聞かせてもらおうじゃないの、パーミリオンちゃん」
「ちゃん付けは不要ですよ」と、すかさずカゲロウがツッコミを入れて、やんわりデヴィットの手を外させる。
「パーミリオンに性別はないんです。今は僕が命じて女の格好をさせているってだけでね」
「ふーん。まぁ悪魔の性別なんか、どうだっていいよ」
デヴィットは本気でつまらなさそうに受け流し、カゲロウの背後に隠れた悪魔を睨みつけた。
「それより僕が聞きたいのはアリューの性格かな。ベルベイが、おっとり貴族なのは判ったけど」
ちらりと己の遣い魔を一瞥してから、カゲロウが答える。
「アリューは残忍で狡猾な悪魔です。能力はパーミリオンと似ていますが、奴は遠慮と加減を知りません」
ふと、エイジの脳裏をアーシュラがよぎる。
ラングリットやバルロッサも同じ事を考えたのか、デヴィットに視線を注いでいた。
皆に注目されたデヴィットが「うちのアーシュラと比較してみたいもんだねぇ、どっちがより乱暴か」と笑うのには首を振り、カゲロウは重ねて言いつのる。
「残忍と乱暴は違います。ボーン先輩、あなたの」
だが「おっと、僕にも敬語は不要だ」と途中で水を差され、言い直した。
「デヴィットさん、あなたの遣い魔は乱暴だが、戦闘においては一貫したポリシーを持っている。アリューとは根本から違うんだ。あいつは殺すまでの過程が楽しいんだ、世に放ってはいけない悪魔なんですよ」
カゲロウの顔色からは苦悩が見え隠れしている。
アリューとの間で、よほど嫌な出来事があったのかもしれない。
「兄貴分なのに?」と、デヴィットに尋ねられ。
カゲロウは、きっぱり言い切った。
「兄貴分だからこそ、です。あんなのが僕のパーミリオンと繋がりのある悪魔だと考えるだけでも、我慢ならない」
憤るカゲロウには、やれやれと肩をすくめ、デヴィットが話を締めくくる。
「君のアリューへ対する憎悪は、よく判ったよ。僕達の追うべき相手が、どれだけ厄介な悪魔かってのもね」
大きく溜息をつき、カゲロウも落ち着きを取り戻す。
「そうでしょうか?言葉だけでは伝えきれなかったと思いますが……まぁ、しかしどうせ、そのうち僕達は嫌でも奴と会うんです。その時に、僕が言ったことをお忘れなきよう」
「努々、肝に銘じておくよ」と、デヴィット。
エイジが口を挟んできた。
「ベルベイの性格と生い立ちは判った。次は彼女の立ち寄りそうな店だが」
「立ち寄りそうな店、ですか」
少し思案し、すぐにカゲロウは顔をあげた。
「彼女はバルホ地区に詳しいですので、そちらに潜伏している可能性がありますね」
「お前ら、バルホ地区の出身だったのか?」
聞き返すラングリットへは穏やかに首を振り、シニカルに笑う。
「違います。バルホにスラム街はありませんよ?寝言は寝てから言ってください、アルマー先輩」
すっかり余裕が復活している。
アリューについて語っていた時の彼とは別人、いや元に戻ったと言うべきか。
「バルホにはベルベイの父親が住んでいるんです。両親の離婚後、彼女しばらく父親の元へ遊びに行っていましたからね。それで地理には詳しいんです」
「しかしバルホは山沿いの地域じゃないか」と、すかさず突っ込んできたのはデヴィットで。
「大陸逃亡するんだったら、海沿いの地区へ潜伏しないと遠回りじゃないか?」
「と、追っ手の皆さんも考えるでしょうね」
予想していた反応なのか、カゲロウは満足げに頷き「でも、それじゃ駄目なんです」と否定する。
「それじゃ、ますますアリューの思う壺です。第一、ベルベイがそうしたいと考えても、アリューがそれを許しません。彼女とアリューの立場は、逆転していると考えた方がいいでしょう」
少し不思議に思って、エイジは尋ねた。
「何故、君はそこまで言い切れるんだ?」
カゲロウがアリューを憎しと思っているのは、言葉の端々からも見受けられる。
しかしベルベイとアリューの仲が上手くいっていたかどうかなんてのは、たかが幼なじみが知り得る情報なのだろうか。
「僕達には判るんです。僕とパーミリオンにはね」
背後の遣い魔へ慈悲の目を向け、カゲロウは断言する。
「お忘れですか?パーミリオンの能力は精神遠隔感応です。アリューとは、つい最近まで心がリンクしていたのですよ。奴がベルベイをつれて会社を逃げ出す直前までね」
「ベルベイをつれて?ベルベイは自分の意志で会社を出たんじゃなかったのか」
驚くエイジに、平然とカゲロウが答える。
「まさか。ベルベイは上手くやっていましたし、悪魔遣いとしての自分にも満足していました。アリューが不満を抱いたんです、悪魔遣いに使役される悪魔の現状にね」
つい最近まで心が繋がっていたというのにも驚いたが、もっと驚いたのはベルベイの逃亡理由だ。
社長はベルベイ自身が反旗を翻したかのように言っていた。
追っ手に殺される前に彼女を保護しろ、とも。
情報のすり替えか、混乱か。
いずれにせよ本当に守らなければいけないのは、彼女の遣い魔からだったとは。
任務へ入る前に、詳しい話を聞いておいて良かった。
もっとも、全てはカゲロウが真実を話しているという前提の元で考えるならばだ。
「アリューが本当に残忍な奴なら、ご主人様の身内がいるような地区へ隠れようとするかねぇ」
現にデヴィットなどは半信半疑だったが、カゲロウは、それにも首を真横に振って否定する。
「狡猾とも言ったでしょう?奴を、その辺の三流悪魔と同類に見ない方がいいですよ」
「それで、どこなの?ベルベイのお父さんが住んでいる家は」
バルロッサの質問に、カゲロウは地図を拡大する。
「バルホ地区三番地、五の四。彼が引っ越したりしていなければ、今もそこに住んでいるはずです」
「さっそく行ってみよう」と張り切るラングリットには、デヴィットが釘を刺す。
「行くのは構わないけどね、重々準備が必要だぜ?何しろ相手は残忍で狡猾だそうだから」
たちまち「お前に言われんでも、判っているわ!」とカッとなるラングリットなど、もうデヴィットは視界の隅にも入れておらず。
馴れ馴れしくエイジの肩へ手をかけて、彼にしてはサワヤカな微笑みを浮かべてよこしてきた。
「まずは捕物帖に必要な道具を買いに行こうじゃないか、エイジ」
その手を荒々しく払いのけると、エイジも皆へ号令をかけた。
「いつまでも、ここで時間を潰している暇もない。必要なものを揃えたらバルホ地区へ向かおう」
捕物帖に必要なものと言ったって、大したものは必要ない。
せいぜい相手を縛るロープ、それと緊急時における通信機の確保、乗り物の用意ぐらいか。
それぞれにかかる費用を頭の中で計算しながら、エイジ一行はカゲロウの隠れ部屋を後にした。