BREAK SOLE

∽84∽ この光をくれたのは、あなた


激しく泣きじゃくっていたナクルも、睡眠薬を飲んで今は眠っている。
彼女を寝かしつけて、ようやくホッと一息ついたドリクソンは、ふと机の上で光る物に気がついた。
なんだろう?手にとって見れば、ナクルの携帯電話であった。
メールが一件入っている。
相手の名前は『ケイイチ・タニオカ』――東洋人のようだ。
純黒人のナクルに東洋人の、しかもシャイな彼女に男友達がいたとは意外だ。
人の電話を勝手に覗き見るのは失礼と判っていたが、興味が沸いて艦長は蓋を開けてみる。
メールには、こう書かれていた。


ナクル。

君には、謝らなければいけない。
俺はずっと君に隠していた事があるんだ。
だが、君のメールを読んでから、話す決心がついた。

君はずっと自分を責めてばかりいたけれど。
インフィニティ・ブラックの連中を殺した事を、悔やんではいけないよ。
むしろ、彼らを倒してくれたことを、俺は感謝している。

何故俺が感謝するのか、君は不思議に思うだろうね。
でも、種を明かせば何てことはない。
俺もインフィニティ・ブラックの一員だったからさ。

さっき、Kから最後のメールが届いた。
死を覚悟した内容だった。
「今まで、色々とありがとう」とも書かれていた。
きっと彼は君達に倒されることで、開放されたんだと思う。

だから、俺もありがとうと君に言わせてくれ。
Kや、インフィニティ・ブラックから、俺を解放してくれて
ありがとう。

Kがいなくなり、インフィニティ・ブラックが消滅したことで
本当に大切なものが何なのかを、見失っていた事に気づいたんだ。
だから、その人の元へ行こうと思う。
今まで俺の心の支えになってくれて、本当にありがとう。
そして、さようなら。
このメールを君が読む頃には、俺の携帯は破棄されている。
君と俺を繋ぐものは、もう何もない。
君も、俺という束縛をとかれて、自由になるといい。
地球が平和になれば、もっといい人が、君を幸せにしてくれるはずだ。

さようなら、ナクル。お元気で。

谷岡 敬一


一方的且つ、自分勝手にも思える別れのメールだ。
こんなものを今のナクルに読ませたら、自殺してしまうかもしれない。
ドリクは即座に削除のボタンを押した。
谷岡敬一の携帯は解約されているそうだから、ナクルが彼に電話をかけても繋がるまい。
最初は訝しく思うかもしれないが、そのうち時間が経てば彼女も新しい恋人を見つけるだろう。
すやすやと寝息を立てているナクルを一瞥してから、ドリクは部屋を出た。
途端に廊下でアイザと鉢合わせ、ナクルの様子を尋ねられる。
「彼女の様子……どう?」
「大丈夫だ、今は落ち着いている。睡眠剤を飲ませて眠らせた」
「そう……やっぱり、無理だったのかしらね。彼女に砲台を任せたのは」
大人しいナクルに砲撃を任せるというのは、ドリクにとっても疑問であった。
彼女を砲撃役に決めたのはR博士だ。
博士の事だから、能力で見て決めたのだろうが……
たまには相手の性格も見てあげてほしい、とドリクソンは切に願った。
彼とて、艦長の役目が重荷と感じなかったわけではない。
クレイが命について高説を垂れた時、ナクル同様、叫びだしたかったのも内緒だ。
それでも、自分が潰れるわけにはいかない。自分は艦長なのだから。
シュミッドやジョンが羨ましい。
彼らのように機械いじりだけをやっていられたら、どんなに精神的負担が減っただろうか。
不意に肩を叩かれる。アイザが優しい眼差しを向けていた。
「あなたも疲れているようね。ソルを修理する間、休んではどうかしら」
「あぁ」
ドリクも彼女の顔に薄い隈を見つけて頷いた。
「そうさせてもらう。君も休んでおけよ」

司令ブースでは、五分おきにミクがレーダーの反応を答えさせられていた。
いつ蜘蛛型が襲ってくるか気が気ではないのか、T博士もR博士もピリピリしている。
反対にU博士やQ博士は案外リラックスしている。
「どのみち、こちらのシールドは向こうに効かないんじゃ」
Q博士の提案により、今はブレイク・ソールの対レーダーシールドを外した状態で走行中である。
省エネで、その分速く基地へ戻るつもりらしい。
「私の予想では」と、U博士も言う。
「彼らが襲撃してくるタイミングは、我々が基地に戻り戦艦を収容した後でしょう」
この予想にはR博士が異議を唱える。
「どうかな。奴らの狙いは、この戦艦じゃろう」
「戦艦がドッグに入ってからでは、奴らの信条通りには戦えんじゃろうが」
T博士も口添えした。
「信条?」と聞き返すU博士へT博士が頷く。
「正々堂々、というやつだ」
「――なら」
扉が開き、全員がそちらを見やる。ドリクソンが戻ってきたようだ。
「なおのこと、奴らは途中で奇襲をかけてきたりしないのではありませんか?」
「そうですね。奇襲は正々堂々とは言えませんものねぇ」
メディーナも同意し、艦長の背後へ目をやった。
「ナクル、ちゃんと眠りましたか?」
「あぁ。今はぐっすり眠っている。彼女は蜘蛛型との交渉でも休ませておこう」
「それがいいです」
「じゃあ」
カリヤが立ち上がり、ナクルの席に腰掛ける。
何をするんだ?と目で問う艦長へ振り向くと、彼は陽気に言った。
「ナクルの代役は俺がやりますよ。一度撃ってみたかったんですよね、こいつを!」
まだ大豪寺博士との交渉だって始まっていないのに。気の早いラテン男に全員が苦笑した。

基地に戻り次第、AソルとCソルはドッグに入って急ピッチで修理。
Bソルだけは警備体制で待機。
蜘蛛型が出現した時に備えて、助スタッフも戦闘機で待機しろ――
との命令に、晃達は俄然沸き立った。
初めて正義の組織っぽい仕事を回されたのである。
機械技師の手伝いなど比にもならない。
AソルとCソルの修理を優先するためか、整備班の連中はドッグへ回される。
だから戦闘機で待機するのは、普段は調理室で御飯を作っている生活班の面々だけであった。
「できるかなぁ、できるかなぁっ。あ、あたし、キンチョーしてきちゃった!ど、どうしようっ」
先ほどから瞳は全く落ち着かず、発着ブースをウロウロしている。
有吉も落ち着かないのか、何度も足を組み替えているのを春名は見た。
「できるかなぁ、じゃないの。やるの!ったく、あんた達は、最後まであたしの足を引っ張るつもり?」
彼らをチラリと横目で睨みつけ、ヨーコが吐き捨てる。
しかし彼女の嫌味も、浮き足立っている子供達には通用しない。
「そんなこと言っても、僕達戦闘は未経験なんだ。判るだろ?緊張したり、怖くなったりするの」
キョドッた顔で晃が言い返せば、ヨーコはピシャリと言い返す。
「そりゃ、判るけど。でもやるって言い出したのも、あんた達なんでしょ?だったら騒がない!」
普段は高飛車だけど、こういう時は頼りになる。
などと考えていると、ヨーコは春名のほうにも振り向いた。
「あんたもよ!あたしの足を引っ張る真似だけは、するんじゃないわよ?」
作戦時、春名はヨーコの駆るBソルへ搭乗する。
蜘蛛型が戦闘を仕掛けてこないよう、Bソルから更に宇宙服で飛び出す予定であった。
「う、うん。わかってる」
最初その作戦をQ博士に耳打ちされた時は驚いたけれど、ヨーコだってクレイだって、それにミリシアだってボロボロになって戦っている。
私だけが、安全な場所で見ていちゃ駄目なんだ。そんなのは、一緒に戦っているなんて言えない。
そう考えたら、宇宙に飛び出す決心もついた。
でも、お爺ちゃんは私のこと……気づいてくれるかな?いきなり撃たれたら、どうしよう。
不安になる春名の肩を、晃がポンと叩く。
「大丈夫。お爺さんを信じよう。可愛い孫だもの、必ず気づいてくれるよ」
何も言っていないのに、晃には春名の考えることが判ってしまったようだ。
もしかして、顔に出ていたんだろうか?
まったく根拠のない励ましだが、今は何でもありがたい。
「うん、そうだよね。きっと、そう」
自分にもそう思いこませる為に、春名は何度も頷いた。

春名が危険な作戦に出ることなど、もちろんクレイは聞かされていない。
いや、そればかりかAソルが完全に直るまで、自室謹慎を言い渡されていた。
あんな大騒ぎをやらかしたのだから当然だ。謹慎だけで済んだのは意外といってもいい。
ベッドに置かれたクマのぬいぐるみに、じっと視線を注いでいると、扉がコンコンとノックされる。
「少し時間いいか?君と話したい人いるんだが」
この声はスタッフだ。
確かいつも厨房で料理を作っている東洋人の、名前は崔梁郭という男だ。
彼とは個人として話したことがなかったから躊躇したものの、クレイは無言で扉を開けた。
「……あぁ、良かった。君に会わせたい人いる。ついてきてくれ」
クレイより年上のスタッフはホッと溜息をつき、廊下で手招きする。
『しかし俺は、自室で謹慎しなければいけません』
丁重に断ると、彼はシーッと指を口元に当てて、クレイの腕を掴んだ。
「知ってる。知ってるからこそ、今、連れ出しにきた。いいから来る」
スタッフなのに命令違反とは。一体、何がどうなっている。
インフィニティ・ブラックを倒したことで、皆、気が緩んでいるのではなかろうか?
不審に思いながらも、クレイは素直に従った。
誰が自分に会いたがっているのか、彼とて気にならないわけではなかったので。
「誰かに見つかっても心配無用。私、責任とる」
早口かつ小声で言いながら、崔が案内してくれたのは緊急脱出用の通路だ。
ここから入ると、発着ブースの倉庫裏に出るらしい。
誰にも見つからず倉庫まで行くには、この道をつかうのが一番だと崔は教えてくれた。
「通話機の電源切れ。逆探知されるは面倒」
言われたとおり、通話機の電源を切る。
彼が誰とクレイを会わせたがっているのかが、大体予想できたからだ。
十中八九、インフィニティ・ブラックの連中であろう。恐らくはメリットあたりに頼まれたか。
通路を抜けると、なるほど本当に倉庫の真裏に出た。
しかし、いつも厨房に籠もっているような男が何故この近道を知っていたんだろう。
訝しがるクレイに、崔が種明かしをする。
「私、得意は料理だけないね。元は設計屋。この戦艦の設計も手伝ってるよ。この道、私考案した」
手早くノックし、倉庫にするりと入り込む。
ただの設計屋ではない身のこなしを感じた。
「ありがとう。つれてきてくれて」
クレイを待っていたのは、予想通りメリットであった。
メリットの他にも何人かが同室だが、彼らはクレイ達から視線を外している。
捕虜達は何人か組になって、幾つかの倉庫に入れられているようだ。
この部屋にアリアンの姿はなかった。
「あなた助けるは私の勝手。あなた礼を言う必要ない」
そっけない返事の割に、崔の顔は紅潮している。内心では嬉しいのかもしれない。
いつ見つかるか判らない不安で、クレイは早口に尋ねた。
「メリット、俺に用事とは何だ」
「あなたに、これを渡しておきたくて。Kの残した遺書よ」
「遺書?」
すっと差し出されたものを受け取って眺めた。
茶封筒だ。組織を率いるリーダーが残したにしては、ずいぶんと簡素な遺書だ。
「それと、私からも礼を言わせて。ありがとう」
「ありがとう?」
意外な言葉に驚くクレイへ、メリットも驚いた顔で聞き返す。
「何故驚くの?崔氏から聞いたわ。あなたが私達を助けようとしてくれたって」
発着ブースでの騒ぎを、崔が話したらしい。
それで礼を言うということは、彼女がまだ生きていたいという意志の表れに他ならない。
博士達に反旗を翻してまで捕虜開放を叫んだのは、けして無駄ではなかったのだ。
もう一度遺書に目を落とし、クレイは率直に尋ねる。
「メリットは中身を読んだのか?」
「えぇ」
彼女は短く答え、じっとクレイを見つめた。
「あなたにも読んで貰いたいの」
「判った」
封筒から一枚の紙を取り出し、クレイは読み始める。
綺麗な文字だった。
遺書は親愛なる者達へ伝える言葉から始まり、長年感謝の気持ちが書き連ねられている。
続いてKの本名と国籍などが書かれ、最後はアストロ・ソールのクレイに名指しで宛てたメッセージが記されていた。
敵が自分の名前を知っていたことに驚きながらも、クレイは全て読み終える。
「……どう?」
メリットに聞かれ、クレイはポツリと呟いた。
「Kは、本当に兄さんのことが好きだったのか。だが」
「えぇ」
続きを言う前に彼女が頷き「でもリュウのいるべき場所は、Kの隣じゃなかった」と締めくくる。
「Kはリュウの未来を、あなたに託した。そして、あなたは私達を含めた全員の未来を確保してくれようとした」
残念ながらクレイの命がけの反乱は、インフィニティ・ブラック全員の裁判行きを食い止めることはできなかった。
リュウは次の戦闘では戦場へ駆り出され、ピートもミリシアと交替しての強制出撃が決まっている。
先の戦闘で精神的にも肉体的にもダメージを受けているピートは、殆どまともに戦える状態ではあるまい。
二人とも裁判を免れる代わりとして、戦場で死ねと言われているも同然であった。
自分が余計な真似をしたせいで、二人の死期を早めてしまった……
そう考えると、クレイの心は暗く沈んだ。
だが、メリットはクレイの行為に感謝していると言う。
「Kを失った今、私達は残された運命を受け入れるつもりでいた。この中には、あなたが余計なことをしてくれた――そう思っている人も何人かいるわ。でも」
メリットはまっすぐクレイを見つめ、そして微笑んだ。
「私は感謝している。生きる、生き延びるという意味を改めて教えてくれた、あなたに」
「生きること、諦めてない子は他にもいるね」
崔が口を挟む。
顎で別の倉庫を示し「アリアンいう子、あれも生き延びる気満々よ」と、ニヤリと口元を歪める。
「私は、裁判で戦うわ。例え終身刑を免れないとしても、なんとしても死刑だけは退けてみせる」
強い眼差しのメリットに、クレイも力強く頷き返す。ポンと崔に肩を叩かれ、慰められた。
「君の行為、無駄じゃなかった。良かったな」
「はい」
崔にも頷いてみせ、ふと手の中の遺書に気づく。
「これは――」
「あなたが持っていて。私が持っていたら取り上げられてしまうかもしれないから」
その上で誰かに見せるならば、それはクレイの自由だともいわれた。
Kの友達だったメリットが許すのだ。ならば、クレイがコレを持っていよう。
いや、預かっておこう。
彼女が裁判を終えて再びクレイの元へ現れる、その日まで……


クレイが部屋へ戻ってきた頃、医療室ではCソルのパイロット同士が対面していた。
まだベッドから起き上がることはできないまでも、ミリシアの意識が回復したのだ。
春名が玄也の説得に失敗した場合、次の戦闘ではCソルに乗るのはピートだと決まっていた。
この決定には反発されるかと思いきや、ピートは案外素直に頷き、博士達にも頭を下げる。
「迷惑かけてごめんなさい」との意外な反応に、これには却って博士達の方が萎縮してしまう。
そこで三十分ほど謝罪大会が繰り広げられたのは余談である。
ミリシアのベッドには、カルラが付き添っている。
彼女が八人目のオペレーターだと告げられても、ピートには何の感情も沸かなかった。
それよりも、彼の視線はミリシアの格好に釘付けとなっていた。
痛々しい。
ヴィルヴァラから降ろされた時、ピートもだいぶ怪我を負っていたのだが、ミリシアの怪我は彼の比ではない。
真っ白な包帯が頭と、それから両腕を覆っている。両方の腕と足を骨折していた。
顔もぶつけたかして、眼帯をつけていた。パジャマの下にも包帯が見え隠れしている。
彼女の体は包帯の巻かれていない場所など、ほとんどないように見えた。
ミリシアはピートの姿を目に留めると、弱々しく笑い起き上がろうとする。
『無理をしてはいけません』
すぐカルラに止められ、彼女はベッドに身を横たえた。
自分が勝手な理由を盾に失踪したせいで、この可憐な女性に大怪我させたのかと思うと、ピートの胸は、ぎゅっと締め付けられる。
ベッドに横たわったまま、ミリシアが呟く。
「……ごめんなさい。あなたのCソル、壊してしまいました」
まさか第一声が謝罪とは、あまりにも予想外で、ピートは思わず怒鳴り返してしまった。
「ごめんって、なに謝ってんだよ!それに、あなたのCソルってCソルのパイロットは、キミだろ!?」
「いいえ。ミグさんと……それから、クレイさんも言っていました。Cソルのパイロットは、ピートくん。あなただと。あなたしか、いない……と」
またクレイの名が出た事に、ピートは動揺する。
彼の動揺を知ってか知らずか、ミリシアが小さく溜息をつく。
「初め、それを聞かされた時は悲しかったし、悔しくもありました……ピートくんがいないから、私が任されたのに。どうして二人は私を認めてくれないんだろうって」
そりゃそうだろう。
本部で待機していた処を博士直々に召集されたのだ、張り切らないわけがない。
なのに仲間の二人は認めてくれない。ミリシアでなくても、憤るのは当然だ。
「でも……戦えなくなった時、判ったんです。Cソルが選んだのは、私ではなかったんだ……と」
Cソルが、選んだ?
Cソルのパイロットは博士が選出した人物であり、Cソルが自ら乗り手を選択したわけではなかろう。
「Cソルは……ピートくん。あなたを基本として設計されたロボットだったんです。あなたの体力、そして念動力を基本として設計されている……私が乗りこなせる代物では、なかった」
話すのに疲れたのか、ミリシアはがくりと頭を垂れて一息ついた。
だが寝かせようとするカルラには抵抗し、ピートを見上げる。
「あの機体は、あなたの成長能力を見越した上で設計されています。それ故に私のような凡人では……Cソルの反応速度に、ついていけませんでした」
彼女がボロボロになったのは、Cソルの動きについていけず、中でバランスを崩したせいだ。
中央でバランスを維持できないのでは、操縦もへったくれもない。
一人だけ下手くそな射撃をしているのは妙だと思っていたが、そういう理由だったのか。
「せっかく持ち主が戻ってきたのに、Cソルを壊してしまって……本当に、ごめんなさい」
涙ぐむ彼女を慰めようと、ピートは努めて明るく応えた。
「べ、別にCソルがなくても、オレにはヴィルヴァラがあるし!そこまで悩む必要もないんじゃない?」
そうだ。
オレには、ヴィルヴァラがあったんじゃないか。
Cソルは完膚無きまでボッコボコのスクラップになったが、ヴィルヴァラのダメージは軽微といったところだろう。
次の戦闘、皆が蜘蛛型とか呼んでいるナンタラ星の奴ら、それにはヨーコが一人で対応するらしい。
彼女一人では不安だ。だが、一人では不安でも二人なら?
自分の思いつきに満足したピートは、挨拶もそこそこに医療室を飛び出した。

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