2.魔導帝国ザイナロック

魔導帝国ザイナロック。
西大陸――そして、この世界においても最古の歴史を誇る魔術の国。
だが門をくぐろうとした際、ティルは門兵に呼び止められる。
「え〜、何よぅ。私は冒険者なのよ、冒険者っ!」
今の私はロイス王国の戦士ではない、一介の冒険者に過ぎないんだ。
とばかりに冒険者カードを見せびらかすティルに対し、門兵の態度は渋かった。
あからさまに嫌そうな顔を向け、声を荒げる。
「たとえ貴様が冒険者になったとしてもだ、我が国とロイス王国は冷戦中である。ロイスの人間と判っている者を通すわけにはいかん!」
融通の利かない言い分に、ぷーっと頬を膨らませたティル。
なおも憤って口論しかけるも、背後からウォーケンに腕を引っ張られた。
「ちょ、ちょっとティル様、ソロンも、こっちこっち」
門兵の目から逃れるように二人を壁際の死角まで引っ張っていくと、ウォーケンは声を潜めて提案する。
「ここで押し問答するのはマズイですよ。奴らに警戒を与える事にもなりかねません」
「だからって」と、まだティルは怒っている。
「国に入れなかったら、調べることもできないのよ?」
ちらっと門兵の様子を伺ってから、ソロンも会話に加わった。
「……つまり、だ。俺とウォーケンの二人で行きゃァいいンじゃねェか?」
「そういうこと」
ウォーケンも頷き、ティルは、ますます膨れっつらになった。
「なによ。私一人、こんなところで置き去りにするつもり?」
むくれる彼女を宥めようと、ソロンはティルの肩を抱き寄せる。
「こッからロイスまで、一人で戻れねェッてワケでもないンだろ?ロイスで待ってろよ」
「そりゃあ、まぁ。でも、あなたを一人でザイナに放り込むのは心配だわ」
まるで母親みたいな過保護っぷりである。
「何言ッてンだ。お前が一人でザイナに行くワケじゃあるまいし、俺なら平気だぜ」
自分の身ぐらい自分で守れる自信はあるし、そもそもソロンはザイナロックの生まれである。
正確にはザイナロック地下の生まれだが。
王宮育ちのティルと比べたら、ダークな世界にも免疫がある。
地上の知識には疎いものの、ソロンには闇業界の知識があった。
途端に「ナニヨ、それ。どういう意味!?」と、ぷりぷり怒り出したティルのホッペにキスすると。
「とにかく、ウォーケンも一緒なンだ。調べられる事は全部調べてくるから心配すンな」
ソロンは軽く受け流す。
まだティルはむくれていたが、ソロンが頬、口、額と次々にキスしてやったら、真っ赤になって身を離した。
「ちょ、ちょっとダメ、ソロンってば、も、もう……う、ウォーケンも見てるっていうのに」
口では嫌がってみるものの、潤んだ上目遣いでソロンを見つめちゃったりして甘える気は満々のようだ。
ソロンは彼女の頭を軽く撫でてやり、にっこりと微笑んでやる。
「ロイスで大人しく待ってろよ?俺がいない間、浮気なンかするなよな」
それだけでティルは、すっかり機嫌を直して大きく頷いた。
「判ったわ。じゃ、王宮で待ってる。早めに迎えに来てね!」
言うが早いか彼女は駆け出し、あっという間に小さな背中は森の中へと消えていった。
「……ふぇ〜」
背後の溜息に振り返れば、ウォーケンが尊敬と羨望の眼差しを、こちらへ向けている。
「あんたホントに、あの人の恋人だったんだな」
「まァな」
短く答えて門兵の処へ戻る間にも、彼は色々とソロンへ質問を浴びせてよこした。
「やっぱ最後までしちゃってる仲なのか?あ、いや、これはプライベートな話だったな、答えなくていいや。あんたはあの人と、どこで知りあったんだ?あんたの名前、俺は聞いたことがないんだけど。あぁ、もちろん12の審判の話は別として」
くるりと振り返ると、ソロンは新米盗賊を疎ましそうに睨みつける。
「何だッていいだろうが」
詮索されるのは嫌いだ。
例え、それが自慢したいような内容であったとしても。
あまりにも目つきが険悪に見えたのか、それっきりウォーケンは大人しくなった。
「……やっぱ脅迫かなァ。ティル様の弱味を握ってて……」
いや、まだ背後でブツブツと何か呟いてはいたのだが。
二人が戻ってくると、門兵は訝しむような目を向けてくる。
だが冒険者カードを提示した後は特に何を言われるでもなく、二人は無事に入国できたのであった。

門を抜けてすぐの場所に立てられた案内板を見て、二人は一旦酒場へ落ち着くことにした。
そこで『メイジ』の情報を集めてから、王宮図書館を巡る予定だ。
「けどよ、王宮ッて名前がつくからには城の中にあるンだろ?一般人でも入れるのかよ」
極めて一般人な質問をソロンがすれば、ウォーケンは肩を竦めて答えた。
「ザイナ宮廷は寛大でねェ。闇属性あるいは人間が相手なら、誰でもお入り下さいって開放してるのサ」
こんな当たり前の常識すらも知らないの?
とでも言いたげな言い方に、ソロンは少しムッとしたものの。
戸を開ける彼に続いて、むっつりしながら酒場へ足を踏み入れた。
薄暗い。
最初に感じたのは店内の照明、それの暗さであった。
それでも徐々に目が慣れてくると、バラク島の酒場とは全く異なる情景が見えてくる。
ゆらゆらとゆれる蝋燭の炎に照らされて、羽の生えた魔族や獣人が酒を飲み交わしている。
カウンター席では、泥酔した髭親父がマスターに絡んでいた。
奥の席で革袋を手にヒソヒソと話しているのは、盗賊の一団か。
明るく開放的だったバラク島の酒場とは違って、どことなく陰気な雰囲気の漂う店だ。
ざわめきも、陽気な歌声も聞こえない。
「ザイナじゃ、どの店入っても大体こんなもんだよ。ま、キョロキョロしてないで腰掛けなって」
ウォーケンはあっさりしたもので、ソロンへ席を勧めてから自分も腰掛ける。
際どい格好のウェイトレスが歩いてきたので、二人は軽く喉でも潤そうとエールを二杯、注文した。
ウェイトレスが去った後、メニューを広げながら軽い調子でウォーケンが本題に入る。
「さて……と。どいつに話を聞いてみたい?できれば魔族は止めといたほうがいいな」
「どうして?」と尋ねるソロンへは片目を瞑り、彼は至って軽々しく答えた。
「だって、怖いもの。それに」
言いかける彼の言葉を遮るように、突如隣のテーブルから甲高い悲鳴があがった。
声からして、まだ若い女の子のようだ。
こんな陰気な酒場へ若い子も来るとは驚きである。
驚いて立ち上がるソロンの目に入ったのは、テーブルの上に乗せられた小さな少女――
少女というにしては小さすぎる。
なんと少女は、四人がけテーブルの四分の一にも満たない大きさであった。
背中には青白くて薄い羽根が生えていたが、その羽根は無惨にもビリビリに破かれていた。
「何?」
驚くソロンをジト目で見つめ、ウォーケンが小さくツッコミを入れる。
「何ってフェアリーだけど。もしかして、あんた妖精を見たことないのか?」
違うと慌てて首を横に振り、ソロンは言い直した。
「俺が驚いたのはソコじゃねェ。あいつの格好だ!なンで、あんな目に遭ってるンだ?あいつァ」
妖精ならティルの部屋で見たことがある。
テーブルの上に乗っけられている少女は、彼女の召使い・ライムの姿とよく似ていた。
ただしライムは服を着ていたのに対し、テーブル上の少女は素っ裸である。
だが、それだけならソロンも素っ頓狂な声をあげたりしない。
驚いたのは、少女の股間だ。
彼女の前方にはパセリが突っ込まれ、お尻にはニンジンスティックが突き刺してあった。
無理矢理突っ込まれたのだろう。
相当痛いのか、妖精の少女は涙を流して泣き叫んでいる。
そいつを大の男が四人で囲んでゲヘラゲヘラ笑っているんだから、異常と言わずしてなんと言おう。
「あぁ、きっと彼女は迷いフェアリーだよ。捕まって、ああして玩具にされてるんだ」
あっさりとウォーケンには受け流され、地上の文化に疎いソロンは目を丸くする。
「そ……そういうモンなのか?」
かつて彼が所属していた闇組織も、一般常識から見れば非常識であったかもしれない。
だが、そこにだって最低限の暗黙ルールぐらいは存在していた。
例えば、奴隷を無下に扱わない、捕虜の扱いは丁重に、ショーはお客を楽しませる趣向で……ナドナド。
ボスは絶対に無益な殺戮を許さなかったし、命令と違う女をさらってきた奴は重い刑に罰された。
それと比べたら地上のほうが、よっぽど無秩序である。
迷子になったというだけで、何故よってたかって虐待されなくてはいけないのだ。
「……で、なンでザイナに迷いフェアリーが?フェアリーって、方向音痴なのか?」
「いやぁ?俺に聞かれても……って、オイ!」
確かにウォーケンに聞いたって、判るわけもない。
ソロンは質問も途中に立ち上がって、問題のテーブルへと近づいた。
ノコノコ近寄ってくるソロンに男達はギロッ!と鋭い視線を飛ばしてくるが、ソロンは全く気にせず愛想良く話しかける。
「よォ、お前らが弄くってるソレ。ソレ、どこで手に入れたンだ?」
すると男達はソロンの指さす方向へ視線を落とし、下品な笑いに口元を歪める。
「こいつか?こいつは、依頼の戦利品さ」
「戦利品?迷いフェアリーじゃねェのか」
首を傾げるソロンへ、男達の一人がご丁寧にも説明してくれた。
それによると、こんな経路らしい。

前々より、この酒場では不思議現象が頻繁に起きていたらしい。
風もないのに瓶が床に落ちたり、誰もいないのにドワーフのおっさんが髭を毟られたり。
そこで客の苦情に困り果てたマスターは、冒険者ギルドに依頼した。
男達は依頼を引き受けて調べているうちに、原因がフェアリーのいたずらであることを突き止めた。
そして犯人である、この妖精をとっつかまえ、マスターに見せたところ――

「報酬と一緒にもらったってわけさ。だから、こいつは俺達が好きにしていいオモチャってワケよ」
男の一人は得意げに胸を張ると、少女のお尻に二本目のニンジンスティックを突き立てる。
途端に妖精がビクゥッと弓なりに体を反らせて「ぁはぅッ!」と苦しげな悲鳴を漏らす。
その様子をニヤニヤ眺めながら、男はスティックをグリグリと回した。
「痛いか、痛いよな。だが、お前は酒場の営業妨害及び客に迷惑をかけたんだ。殺されなかっただけマシだと思えよ?」
生きて玩具とされるぐらいなら、いっそ殺された方がマシに思えるのだが。
憮然とするソロンに、別の男が忠告してくる。
「ってわけだ。お前がつまらん正義に酔って余計な節介しようってんなら、お門違いもイイトコロだぜ」
彼らの言い分だけを信じるならば悪いのは妖精であって、捕らえた罪人を彼らがどう扱おうが他人には関係ない。
しかし片方の言い分だけで全てを信じられるほど、ソロンは純粋な青年ではなかった。
何より女の子を趣味で虐めるような輩の言うことなど、信じられない。
趣味で女の子と遊ぶなら、虐めたりせず喜ばせてやるのが一番だ。
「お前の名前は?」
苦しげな少女へソロンが尋ねると、彼女は涙を浮かべて応えた。
「……あ、アナ……」
「アナだけにケツに二本差ししてみましたッ!」などと調子に乗る男達をジロッと睨みつけると。
ソロンは、さっそく思いついたことを行動に移した。少女アナを救うために。
「あァ?なんだよ、その目つきは。余計なお節介は怪我を生む――」
髭の濃い男が何か言いかけたが、言葉は途中で途切れた。


ボトッ、と重たい音をたてて、何かが床に落ちる。


続いて髭の濃い男のくちから飛び出したのは、尾を引くほどに長い悲鳴。
手首を押さえる掌が、彼のズボンが、床が瞬く間に赤く染まってゆく。
ウェイトレスが盆を落とし、甲高い悲鳴をあげる。
店内の奴らに襲いかかられるよりも先にウォーケンはソロンの首根っこを掴んで外へ逃げだした。


どこをどう走ったのか。
二人、いや三人は、路地裏まで走ってきたところで、ようやく足を止めて息を整えた。
「はぁーっ、はぁーっ、あぁったく!いきなり、何やってんだよ、もぉ!」
ゼェゼェ息を切らせつつもウォーケンが文句を言えば、ソロンだって負けちゃいない。
同じく息を切らせつつ反論した。
「あいつらが悪ィんだ!冒険者のくせに無抵抗なヤツをいたぶりやがッて」
その無抵抗なヤツこと妖精のアナは、今やすっかりリラックスしてソロンの肩に座っている。
お尻と股間に刺さっていた野菜をソロンに抜いてもらったおかげだろう。
「全く、かぁいい女の子のお尻ににんじんを入れるなんて、モテないおっさんの考えそうな事ですぅ。どうせ入れるなら、太くて堅いものを挿れて欲しいですぅ……きゃっ、言っちゃった。恥ずかしいですぅ!」
一人で興奮しては、キャイキャイと騒いでいる。リラックスしすぎだ。
そんなアナとは対照的に、ウォーケンは落胆しながら呟いた。
「ダメだぜ、こりゃあ……こんな騒ぎ起こしたんだ、俺達の顔は警備隊にも通報されちまったに違いない。あぁっ、たくチクショウ、まだ何もしてねぇってのに、いきなり賞金首かよ。ツイてねぇなぁ、俺も……」
「そンな早く、手配されるモンなのか?」
世間に疎いソロンがすっとぼけた質問をしてきたので、その頭をウォーケンは思いっきり張り飛ばしてやった。
「あだァッ!」
悲鳴をあげる彼に、新米盗賊は八つ当たりとばかりに怒鳴り散らす。
「ザイナ警備隊は探知魔術を使うんだよッ!それぐらい事前に知っとけ!!」
「そンなの知るかァ!だッたら、先に教えとけッてんだ!!」
ソロンも負けず劣らずな大声で怒鳴り返すものの、聞こえてきた足音に二人してハッとなり息を潜める。
やがてコツコツと立ち去っていく足音に「ふぅ」と溜息をついたウォーケンは、ソロンを振り返った。
「とにかく、王宮図書館で調べるどころじゃなくなった。一旦ザイナを出てティル様と合流しよう」
「だな」
警備兵と追いかけっこするなんて、めんどくさいにも程がある。
それにソロンが腕を切り落とした男。
あれも一応冒険者らしいし、このまま此処に留まっていたらギルドのほうにも手配が回りかねない。
いくら悪の組織出身とはいえ、一方的な悪人に仕立て上げられるのはゴメンだ。
一旦ロイスへ戻り、権力者か知名度の高い英雄に頼んで、ソロンの無実をギルドに掛け合ってもらうしかない。
つまりはロイス王か――或いはティル、ワルキューレ、姫様のうちの誰かの後ろ盾が必要だ。
世間に疎いとはいえ、そこは元闇組織の人間。
ソロンは小賢しい策に頭がよく回る人間であった。
「無実と言い切るのは難しいかもしれんが、要は奴らを逆に悪人に仕立てあげちまえばいいんだよな?」
ウォーケンも悪者みたいなことを言っている。
「悪人なのは間違いないのですぅ。マスターを脅して、アナを無理矢理引き取ったですからぁ」
思いがけぬ真相に、男二人は驚きのあまりアナへ聞き返した。
「なんだって!?」
「その話、ホントなのか?」
妖精は、こっくりと大きく頷き、ソロンの首へしがみつく。
「ホントですぅ。マスターは逃がしてやってもいいって言ったのに、あいつら言うことを聞かなかったですぅ」
「よし、アナちゃん。君も協力してくれ。まずは、この国を無事に――」
「危ねェッ!」
ドーンと激しくソロンに突き飛ばされ、ウォーケンは最後まで言えずにゴミ箱へと突っ込んだ。
だが「いってぇな!何するんだよっ」と怒鳴る途中で何故突き飛ばされたかを知り、彼は真っ青になる。
寸前まで彼が立っていた場所、そこが大きくえぐれていた。
どう見ても魔法の爆風らしい衝撃で。
「だぁぁッ!しまった、長話してる場合じゃなかったァァァッ!」
立ち止まって話していたせいで、ザイナの警備隊とやらに追いつかれてしまったらしい。
姿は見えずとも、周囲は殺気ビンビン。
あちこちに人の気配を感じ取り、ソロンは油断なく剣を構えた。
「け、剣なんかで何ができるんだよォ!もうダメだ、俺達死んじゃう!殺されちゃうっ!!」
情けなく泣きわめくウォーケンをソロンは叱咤する。
「うるせェ!ダメ元でも、やるだけやるんだッ」
しかし同じ初心者マークの冒険者でも、ソロンとウォーケンでは場数に違いがありすぎた。
いきなりの魔法攻撃に、すっかりウォーケンはパニックに陥っている。
このままでは、彼は足手まといにしかならない。
首筋にしがみついたアナを、そっと引きはがしてウォーケンの肩へ乗せ替えると、ソロンは彼女に小声で頼んだ。
「ウォーケンを頼むぜ。ここは俺に任せろ。ロイスについたら、こいつを門兵に見せるんだ」
ソロンが懐から取り出したのは、真新しい冒険者カードだ。
目つきの悪い似顔絵が、こちらを睨みつけている。
それを受け取り「わかったですぅ」と素直に頷くアナの横で、ウォーケンのくちが唾を飛ばして騒ぎ出す。
「な、なっ、何バカ言ってるんだよバカ!バカ!お前一人でザイナの警備隊を全部相手にできるわけねぇだろバカ!」
「足手まといにバカバカ言われる筋合いはねェよ!いいから、さッさとアナを連れて逃げろッてンだ!」
「これだからバカは嫌なんだ!どこへ逃げるっていうんだよ!こっちゃ袋小路なんだぞ!?」
ウォーケンの示すとおり路地裏の突き当たりは袋小路、どこにも逃げ道はない。
「袋小路?だッたら壁なンざ、ぶっ壊せばいいッ!」
ソロンはニヤッと笑うと、いきなり袋小路へ向けて走り出す。
「ちょ!まっ、待てよ!そっちは行き止まりって言って」
慌てて追いかけるウォーケン、そしてザイナの警備隊は、しかし次の瞬間とんでもない光景を目にする。
袋小路に到着したソロンが剣を一閃した直後。
壁は、まるで豆腐でも切ったかのように真っ二つに割れて、新たな道を彼の前に示したのであった――!
「さァ行け、こッから逃げろ!」
促されるままに、肩に妖精を乗せたウォーケンは壁を乗り越える。
「ソロン!絶対だ、絶対にロイスで落ち合おう!だから、絶対に死ぬなよッ!」
彼は最後に大声で叫ぶと、後は後ろも見ないで一目散に駆けだしていった……

Topへ