act3 あなたが幸せでありますように
かつて、人工的に遺伝子を組み替えて優秀な頭脳を残す研究が行われていた時代があった。その研究を行っていた場所こそが、中枢回路研究所であった。
巨大ロボットの開発に辿り着くまで、実に様々な研究が行われた。
全ては空からの来訪者に勝たんとするが為に。
やがて世間に存在が知られると、差別に繋がるといった批判を受けて、研究は廃止された。
研究所は廃棄されて久しいが、近場の町には、そこそこの数で住民が残っている。
地元の住民曰く、自給自足の他に月一で政府からの配給車が来るのだそうだ。
かつては、ここら一帯を大きな都市に開発する計画もあったらしい。
しかし予算の都合で打ち切られ、長期滞在していた開拓者一団も首都へ戻っていった。
駅が遠くて不便では?と香里が尋ねると、住民は声を揃えて言った。
無理して他所の町へ行かなくても、生活できるから問題ない。
ここでの暮らしは穏やかでのんびりしているし、爆撃も来ないから安全だ。
地平線まで続く平地は、春先には一面の緑で染まる田園になる。
山の斜面は見渡す限りの果樹林。
遠目には海も広がり、海の幸と山の幸、どちらも楽しめる。
「自給自足生活かぁ。なるほど、ここで余生を過ごすのも悪かない」
ぐるりと町周辺を見渡して、ぽつりと四郎が呟く。
「そうだね、政府の配給ってんだったら単価も安そうだし」
香里も頷いて、新鮮な空気を胸いっぱい吸い込んだ。
「さて……写真の角度でいえば、このあたりに日記主が住んでいたわけだけど」
指で枠を作り、御劔が研究所跡地を枠に納めた後、町へ振り返る。
「今も住んでいるとは書いてあったが」と四郎も首を傾げ、辺りを見渡した。
研究所が建っていた場所は、町のはずれだ。
今は建物すら残っちゃおらず、更地になっている。
曰く付きの建物があった場所だ。
近くに建つ家も三軒しかない。
「軒並み訪問といくか」
誰に言うともなく呟いた四郎に、二人も頷いた。
日記の主は最後に訪問した一軒に住んでいた。
ネットで見たと伝えると相手は大層驚き、家にあがれと招待され、リビングに落ち着く。
「いやぁ、ただの個人日記なんですけど、反応があると嬉しいもんですね」
老家主は改めてアルヴィド=スフィードと名乗り、軽く頭を下げた。
彼の妻がカチャカチャと並べるカップに恐縮しつつ、香里と四郎も会釈する。
「いきなり訪ねてしまって申し訳ありません」
御劔の微笑みにスフィード夫婦は、しばし目が釘付けとなり、ややあって我に返ったアルヴィドが照れたように白髪を撫でつける。
「いやいや、私の日記を見て、いてもたってもいられなくなったのでしょう?そこまで読み込んでもらえるとは光栄です。それで、記事にあった人物について何をお聞きになりたいのですか」
「はい。我々が、お尋ねしたいのは掲載写真の人物、イーシンシアさんの行方です。昔、この町に住んでいたとのことですが」
単刀直入に用件を切り出した御劔へ、アルヴィドが答える。
「あぁ、はい。彼女でしたら今も、この町に住んでおりますよ。住所も変わっていません」
たったの一問答で、知りたかった情報を得られた。
死んでいても、何かの手掛かりがあれば――と思っての小旅行である。
それに該当の日記は古い写真でアップしてあり『目もくらまんばかりの美人が住んでいた』と過去形で書かれていたから、とっくに死去ないし移住したのだとばかり思っていた。
まさかの在住で御劔も咄嗟には言葉が出てこず、茫然となる。
言葉を失う彼を見てアルヴィドの妻、ブレンダが穏やかな笑みを浮かべた。
「自給自足で暮らせていける町ですからねぇ。一度ここに家を構えたら、滅多に引っ越したりしませんよ。ここ数十年で引っ越していったのは、首都から来ていた開拓団ぐらいで」
用件は済んでしまったが、だからといって、すぐ出ていくのも失礼ではなかろうか。
少し考えた三人は、ひとまず紅茶をご馳走になりつつスフィード夫妻と昔の思い出を存分に語り合ってから、教えてもらった住所へ直行した。
「あの二人」と香里が呟いたので、二人も耳を傾ける。
「タカさんを見ても無反応だったね。イーシンシアとは結び付かなかったのかな?」
「パッと見、それも初めての対面ってんじゃ、そんなものじゃないか。微笑みの天使っぷりには目を惹かれたようだけど」
唐突な四郎の誉め言葉に苦笑し、御劔は来た道を振り返った。
何故あの写真をネットにあげたのか?
アルヴィドは『ほんの気まぐれ』だと称していたが、彼の妻ブレンダによると今年で四十五周年なのだそうだ、この町――ダウィヨールが設立されて。
それで、アルヴィドも懐かしくなったのだろう。昔の出来事が。
イーシンシアが引っ越してきたのは、開拓団が住んでいた頃と重なる。
引っ越してきた時、彼女は一人だった。
クローズノイスの名を出しても、夫妻は首を傾げた。
イーシンシアから、その名を聞いた記憶もないという。
伴侶であったはずのクローズノイスとの間で、何が起きたのか。
何故彼女だけが辺境の町へ移住したのか。
それらの謎も、本人に尋ねれば判るだろうか?
教えてもらった家が見えてきて、緊張に唾を飲み込んだのは誰であったか。
全員だったかもしれない。
表札には、名前が書かれていなかった。
「シンクロイスだもんね。苗字、ないんだ」
「けど、これじゃ郵便配達だって困るんじゃないか?」
他愛のない雑談を伊能夫婦が交わし、御劔はチャイムを押した。
沈黙。
――十秒ほど間をおいて、返事。
『どなたですか?扉は開いています。どうぞ、お入りになって』
インターホン越しに感じたのは、涼やかな声であった。
記憶にある彼女の声と同じだ。
「おじゃまします」と応え、御劔を先頭に三人は足を踏み入れる。
まっすぐな廊下を突き進むとダイニングへ続く作りだ。
ダイニングへ入った三人を迎えたのは、髪の長い女性であった。
透き通りそうなほど青白い肌と華奢な体つきはそのままに、やや小じわが目立ち老けたようにも見えるが間違いない、皆の脳裏に残る面影と重なる。
イーシンシア本人だ。
御劔を見た瞬間、彼女はハッと息を飲む。
何分、無言で見つめあっただろうか。
一番最初に我に返ったのは、香里だった。
「あっと、すみません!お、お久しぶりです……?私達のこと、覚えておいででしょうか」
彼女の声をきっかけに他の面々にも時間が戻ってきて、イーシンシアは香里を飛び越して御劔へ直接話しかけてきた。
「違ったら、ごめんなさいね。あなたはもしかして、タカシ……なの?」
「えっ!?」と驚く四郎や香里を横目に、御劔が頷く。
「はい、御劔高士と申します。以前ベイクトピア軍の研究室で、お会いしました」
「そう……そう、よね。御劔高士、えぇ、タカシ、覚えがあるわ、覚えて……いるわ。あの人、クローズノイスに頼まれて軍の研究室へ行った……」
ぶつぶつ呟くうちに涙が一粒、イーシンシアの頬を伝って落ちる。
様子のおかしさに、三人は首を傾げた。
御劔の名前を憶えていたのは、彼の容姿等が印象深かったのだと考えられる。
だが、何故それで泣くのか。
彼女が研究室に来たのは空襲もない、ひと時の平和な日であったはず。
クローズノイスと現在一緒ではないから、昔を思い出して悲しみが押し寄せたのか?
「……クローズノイスさんは、ご一緒ではないんですね」
四郎が探りを入れても、無反応だ。
イーシンシアは心ここにあらずで、なおも独り言を呟いている。
「そうよ、あの人が教えてくれたんだわ……ここで働いているからって。君にも見せたいって、言ってくれたんだわ……あの人は、全部許してくれた。あの人が、わたしを叱ったことなど一度もなかった。そんな、あの人を、わたしは、あぁ、わたしは……っ!」
かと思えば勢いよく泣き崩れ、床に伏せるものだから、慌てて香里が慰めに回った。
「あ、あの!どうかなさいましたか、大丈夫ですか!?」
「た、タカシ、タカシ、知っているわ、よく覚えている……いいえ、忘れるはずもない」
「え?何をです」
溢れる涙を拭おうともせず、イーシンシアは、すっくと立ちあがると御劔に迫る。
彼の頬に両手をあてて顔を覗き込む。
距離の近さにギョッとなる香里や四郎などお構いなく、涙に震えた声で囁き続けた。
御劔高士、彼一人へ向けて。
「あぁ、タカシ、あなたは覚えていないかもしれない。あの人は、クローズノイスは慰めてくれたけれど、わたしは自分が許せなかった……許せるはずもなかった。御劔、磯司。あの男が、わたしに与えた罪を。わたし自身が犯した罪を。それでもタカシ、あなたに罪はない」
イーシンシアの口から飛び出た名前に、伊能夫婦と御劔は仰天する。
御劔磯司とは、高士の父親だ。
すると、この涙は御劔家にあてた恨み節なのか。
御劔家が原因で、イーシンシアはクローズノイスとの別れを余儀なくされたのか。
彼女が何を言わんとするのか見極める為、御劔は次の言葉を待った。
だが――ぎゅっと抱きしめられ、目を丸くする。
「あぁ……タカシ、わたしの大切な息子、二人目の子供。二度目の再会に祝福を」
いきなり抱きつかれたのには驚いたが、それよりも今、なんと言った。
「息子だってぇ!?」
四郎が素っ頓狂に声をあげ、香里も驚愕に目を見開く。
「え、じゃあ、やっぱり親子だったんだ!?イーシンシアさんとタカさん!」
「ちょ、ちょちょちょちょ、ちょっと待ってください!?一体、どこで、どうやって、なにがどーなって、どうなれば、あなたと御劔家の長男が知り合うというんです!」
口から泡を飛ばして大混乱する四郎に答えが与えられたのは、質問してから、ゆうに十分ぐらいが経過した後だ。
ようやく御劔から身を放し、落ち着きを取り戻したイーシンシアが言うには、彼女と御劔磯司が知りえたのはクローズノイスを通した交流であった。
クローズノイスはベイクトピアで権力を持つ人物を探し、御劔家に辿り着いた。
何故、権力者を?と首を傾げる三人に、改めてイーシンシアは素性を明かす。
自分は空からの来訪者――今はシンクロイスと真名で呼ばれる外惑星人だ。
驚きの少ない三人を見渡し、そうよね、最近の報道はシンクロイスの話題で持ちきりですものねと彼女は寂しげに笑い、話を続けた。
イーシンシアが知り合った頃の磯司は、まだ独身で当主を受け継いでもいない一介の青年でしかなかった。
しかし、その身からあふれるカリスマは、この時点で輝かしき未来を彼に約束していた。
いずれは御劔家の権力で二人を老後までバックアップしてもらう算段だったのだが、何を血迷ったのか磯司はイーシンシアに手を出し、夫婦は一旦首都ベイクルを逃げ出した。
「え、名門息子のくせして間男って……とんだケダモノ?」
あからさまに引いた様子で香里は呟き、四郎が御劔の肩を叩いて慰める。
「えぇと、その、親父がヤリチン魔獣でも気を落とさないようにな」
その結果で生まれたのが高士ならば、一応、父とは血の繋がった親子になる。
しかし、イーシンシアが自責の念でクローズノイスと離婚してしまうのは納得がいかない。
悪いのは全て父ではないか。
イーシンシアが責任を負う必要は一ミリもない。むしろ被害者だ。
赤子の高士が母親と引き離されたのは、薄々予想がつく。
生まれると同時に、御劔家が奪い取ったのであろう。
心に傷を負ったクローズノイスとイーシンシアが再びベイクルへ戻ってきたのは、ベイクトピア軍への入隊が目的だった。
既に世界は巨大ロボットを所持し、ライジングサンの後継機が求められていた時代だ。
五十年前の空襲は誰が行っていたのか?
四郎の疑問に、イーシンシアが答える。
「あの人と部下との間で意見が食い違ったのよ。クローズノイスは原住民との共存を望んだけれど、彼らは無理だと判断した。町や村といった狭いコミュニティーでも、いじめや差別で諍いを起こす原住民を見ていたら」
「うぅ、面目ございません……」
しょぼくれる四郎を見やり、イーシンシアは語気を和らげた。
「謝ることないわ。この星へ来る前の、わたし達だって似たようなものだったし。まぁ、この星で暮らしていくと考えた場合、ただでさえ乗り移りが不安定な上、失敗することもある。おまけに同族同士じゃ子孫を残せないと判ったら、どうするか。まずは危険な原住民を殲滅して、平穏を得ようと考えるのも無理ないわね」
「えぇぇーっ!?そんなことしたら、器がなくなっちゃうんじゃ」といった香里のツッコミにも手を軽く振り、イーシンシアは付け足した。
「えぇ、だから辺境には爆撃しなかった。彼らも、そこはちゃんと計算していた。首都周辺を集中して狙うことで、避難を装えば辺境に紛れ込むのも容易いと考えたのでしょう」
クローズノイスが首都に舞い戻ったのは、元臣下を倒す手段を軍に与える為だ。
しかし完全なる縦社会の前に、彼の設計や考案は上層部にまで届かなかった。
そうと判るや否や彼は作戦を切り替え、上に手が届きそうな優秀研究者を探した。
やがて、入隊してきた御劔高士との出会いを迎える。
「あの人は一目見て、すぐに判ったと言っていた。タカシが、わたしの血を引き継いだ子だと。一目見るだけなら罪にならない、いや、是非見てほしいと何度も頼まれ、だから、あの日……わたしは軍に出向いた」
イーシンシアが御劔を見つめる瞳に浮かぶのは、慈愛だ。
「幼い頃の記憶は、ある?」と尋ねられ、御劔は首を真横に振る。
「そう……大体の予想は、つくわ。あなたは御劔の跡継ぎとして、幼い脳に全ての知識を書き込まれた。あなたの父親、御劔磯司と同じように。彼も子供の頃の記憶が皆無なのだそうよ。子供のうちに必要な知識を全部詰め込むには、遊ばせる時間もないんでしょうね」
貴族は英才教育と称して、義務教育には通わせず家庭教師を雇って詰め込み教育を行う。
御劔家の場合は、幼児の段階で機械を用いて何万回と脳に知識を記憶させる。
「じゃあ、御劔家のエリート排出率も、実は作られた頭脳だったってわけか……!」
人を人とも思わぬ教育方針には、庶民の伊能夫妻もドン引きだ。
「そんな……そんなの、タカさんが可哀想だよぅ」
じわぁっと涙ぐむ香里を慰めるかのように、御劔が微笑んでみせる。
「けど、その後の人生で素晴らしき友人や部下に恵まれたんだから結果オーライだよ」
イーシンシアへも向き直り、微笑みを崩さずに今の気持ちを伝えた。
「あなたが罪の意識でクローズノイスと別れてしまったのだとしたら、あの家の当主として申し訳なく思います。父に代わって謝罪させて下さい。あなたの人生を狂わせてしまったのは御劔家の罪であって、あなたの罪ではありません」
「いいえ、いいえ……違うの、違うんです」
イーシンシアは激しく首を振って、御劔の間違いを正す。
「あの人と別れたのは、あなたを産んだからじゃない。わたしの心が、動いてしまったから。情を交わしたのも、子をなしたのも、わたしが磯司を受け入れて、愛してしまったから……だからこそ、わたしはわたしが許せない!」
「え。じゃあ、磯司さんはゴーイン間男ヤリチン野獣ではなく?」
ポカンとする香里の言葉を継いで、イーシンシアの双眸からは、またも涙が零れ落ちる。
「あの人は、クローズノイスは、それでも、わたしを許してくれた。彼に惹かれたのは一時の過ちに過ぎないのだから、きみも忘れてほしい、と微笑んでくれた……」
「許してくれたんなら、それでいいじゃないですか!どうして別れたりなんか」
涙に濡れた目で四郎を見つめ、イーシンシアは否定する。
「一時の愛ではなかったから。子供を奪われても、磯司が結婚して当主を継いだ後も、わたしは未練を残した。このまま一緒にいれば、あの人を再び傷つけてしまう。だから軍に残ると決めたクローズノイスに別れを告げて、この町まで逃げてきたの」
漠然と退役するまで、いや、退役しても二人は一緒にいると思い込んでいた。
しかし二人が別れたのは、クローズノイスの退役よりも前だった。
「では退役後のクローズノイスの足取りは、あなたにも判らないのでしょうか?」
御劔に尋ねられ、彼女は俯いてしまう。
四郎が諦め加減に「退役より前に離婚していたんじゃ無理だろ」と口を挟んできたが、構わず、もう一度同じ質問を繰り返した。
「シンクロイスには遠距離での会話方法があると聞きました。別れた後、彼とは連絡を取り合ったりしなかったんですか?どんなに些細な情報でも構いません。何かご存じでしたら、どうか教えてください。私は、もう一度、彼に会いたいのです……お願いします、お母さん」
お母さん。
その言葉は、意識せずに口から抜け出た。
それでいて実家にいる母を母上と呼ぶよりも、自然に聞こえる。
それもそうか。
イーシンシアが本当の母なのだから。
ずっと御劔家に抱えていた違和感は、母親が違ったせいだ。
口元に手をやり、イーシンシアが体を震わせる。
次に溢れるのは悲しみでも後悔でもなく、喜びの涙だ。
「あ、あぁ……タカシ……ッ!わたしを、母だと認めてくれるのね」
頷く御劔に、彼女は手早く書き込んだ紙切れを手渡す。
走り書きの文字を眺め、どうも見覚えのある住所だと思えば、近年、デュランが起こした誘拐騒ぎで足を運んだ場所じゃないか。
あそこも開拓が中止になった僻地で、小さな町が一つある他は一面の荒野である。
辺境の地はシンクロイスが隠れ住むにあたり、絶好の場所なのであろう。
行方不明になったシークエンスの元仲間も、或いは辺境に隠れ住んでいるのかもしれない。
この住所を渡すということは、ここにいるのだ。クローズノイスが。
紙切れをポケットに突っ込み、御劔はイーシンシアを真っ向から見つめる。
「今日は泊っていっても構いませんか?お母さん。どれだけ幼少に知識を詰め込まれたとしても、知らない情報はごまんとある。私の本当の母親も、その一つです。あなたの生い立ちや軍を離れた後の生活、私を産むまでの父との時間……私とあなたを繋ぐ全てを知りたい。この我儘が許されるのであれば、泊りを許可してほしいのです」
何度も頷くイーシンシアと、彼女の肩を優しく抱き寄せる高士を遠目に見守りながら、ついでの好意に甘えて伊能夫妻もイーシンシアの家で一泊することになった。