DOUBLE DRAGON LEGEND

第五話 砂漠の傭兵


西の砂漠都市は、急遽大勢を成してきたMDの軍団に襲われる。
街は一瞬にして阿鼻叫喚に包まれ、騎士アモスと少年王は防衛に出る。
だが、二人だけでは多勢に無勢。
ちょうどその場にいた、坂井と葵野にも援護を求めるが――


「冗談じゃねぇ!BOSが黒幕と判った以上、ここでボサッと時間潰してる暇はネェぜ!」
言うが早いか人間体勢に戻った坂井は、脱ぎ捨てた服もそのままに走り出す。
「ちょ、ちょっと待て坂井!これ!服!素っ裸でドコ行くつもりだ、お前は!!」
地面に落ちている服をかっさらい、慌てて追いかけようとする葵野だが、その彼の腕を取り、女性が呼び止める。
先ほどよりも強い口調で。
「待って下さい、神龍様!砂漠都市を、間近に迫る危機を優先してお救い下さいませ!」
呼び止められて葵野が戸惑っている間にも、坂井の背中はどんどん遠くなる。
反対側からは爆音や悲鳴が聞こえてきた。
MDが到着してしまったのだ――!
咄嗟に葵野は腕を振り払い、驚く彼女へ向けて怒鳴る。
「ごめんなさい!砂漠都市の事も気になるけど、あいつを、坂井を放っておくわけにもいかないんだ!」
「そんな……アムタジアを守る十二真獣が、そのようなことをおっしゃるのですか!?」
「十二真獣ですって!?」と叫んだのは葵野ではなく、キュノデアイス王。
女性の言う『十二真獣』が何であるかは葵野には判らなかった。
しかし、今はそれを問いただしている場合ではない。
彼は少年王と騎士にも向き直り、叫んだ。
「ごめんなさい!俺達は必ずBOSを倒しますから!俺達が悪の元凶を断つまで、どうかご無事でッ」
「待って!待って下さい、あなたが神龍というのは本当――」
我に返った王が呼び止めるも、葵野はバッと身を翻し、坂井の後を追いかけて走り去る。
「……なのですか?」
仕方なく、王は女性に尋ねた。
すると彼女は頷き、さらに王へ助勢を申し出た。
「私も共に戦います。今来る西の危機を救わなくて、何が世界平和といえましょうか」
この申し出に王は勿論、アモスも困惑の色を浮かべる。
「あなたも?ですが、あなたが戦うというのは」
「大丈夫」
女性は胸元に手をあてて微笑んだ。
「私もMSですから。足手まといにはなりませんわ」
そして驚く王達へ、改めて彼女は名乗りをあげたのであった。
「申し遅れました、私の名はアリア・ローランド。これでも、十二真獣の一人なのですよ」

仲間を連れてくる。
そう言い残してアリアは宿へ向かって走り出す。
キュノデアイス王とアモスは一足先に、襲われていると思われし現場へ急行した。
「大丈夫かい?アモス。傷が酷いようなら、君は一旦王宮へ戻った方が」
気遣う王を制し、前足に傷を負った巨牛は低く呟く。
「ご安心を、王よ。この程度の傷で、このアモス。潰れるような男ではありませぬ」
そうは言うが、坂井にやられた傷からは止血しても血が絶えず滲んでいたし、何より見た目が痛々しい。
茶色の毛並みに巻かれた真っ白な包帯が、やけに目立って見える。
だんだんと悲鳴や爆音が近くなり、二人は突然MDと出くわした。
「危ないッ!」
目の前に現れたMDを角の一撃でなぎ倒すと、アモスは叫ぶ。
「王は危険ですから、お下がり下さい!ここは私が退治してご覧に入れましょうッ」
「駄目だ、僕も戦うッ!!負傷している君一人に戦闘を押しつけるなんて真似は、できないよ!」
少年王は果敢にも槍を構えるが、よく見れば手は震えているし、構え自体も心許ない。
彼がいては、アモスも自由に戦えない。
王を守るため、常に王の側にいなくてはいけないから。
もう一度王を諭そうと怒鳴りかけたアモスは、王の背後にMDの気配を感じ取る。
「王ッ、身を、身を伏せるのです!!」
しかしキュノデアイスが伏せるよりも早く、背後の影が巨大な爪を振り下ろす。
「王――ッッ!!」
アモスの叫びも一瞬遅く、振り下ろされた爪の衝撃が起こす砂煙に巻き込まれ、彼は王の姿を見失う。
煙が晴れた後には王の姿がそこになく、愕然とするアモスの横で低く呟く声がした。
「怪我人は王を守り撤退しておけ」
真横には黒光りする蹄が四つ。
見上げると、一頭の馬が隣に立っていた。
馬の背に乗っているのは、先ほどの女性アリア。
そればかりではない、キュノデアイス王も馬の背に乗っていた。
気絶しているのか、意識はないようだ。
歓喜で体を震わせる騎士へアリアは小さく微笑むと、撤退を促す。
「ここはリオと私にお任せを。あなたは王をお守りするため、宮殿までお下がりなさい」
少年王を譲り受け、アモスは敬礼する。
「……か、かたじけない。あなた方に、ご武運を」
背に王を乗せ、走り去る牛を見送ってから、アリアはMDへ目を向けた。
奴らは手当たり次第、目に付く者から片っ端に襲っている。
アリア達がいようといまいと、お構いなしだ。
「さすがは人工生物……目的を遂行するためだけの存在、ですか」
きゅっと唇を噛みしめるアリアだが、すぐに強い調子で馬へ命じた。
「リオ、あなたの初陣です!BOSにも、あなたの力を見せつけておやりなさいッ!」
その言葉に応じたか、大きく嘶き、馬が走り出す。
彼らの存在に気づいたMDが襲いかかってくるのを片っ端から跳ね飛ばし、後ろ足で蹴り飛ばした。
倒しても倒しても、MDは後から後から沸いてくる。
「くっ……」
小さく舌打ちし、憤るリオの耳元でアリアが鋭く叱咤した。
「リオ、勝ちを急いではなりません!一匹ずつ、確実に仕留めなさい。気力がつきれば私達の負けですよ」

首都から走り通し詰めのウィンキーとミリティアが到着したのも、ちょうどリオが一人奮戦している頃で、到着したその足で彼らは戦場の中心まで躍り出る。
向かってくるMDを該は体当たりでぶちかまし、空を飛ぶ相手はミリティアが炎で焼き焦がす。
一箇所で固まる連中はウィンキーが巨大な尻尾で絡め取り、一気に地上へと叩きつけた。
叩きつけられた衝撃でMDの体はバラバラに弾け飛び、あちこちで派手に大爆発を起こす。
味方が無惨にやられても、MD軍団に撤退の意志は伺えない。
それも当然だ。
彼らは作られた存在であり、自分の意志など存在しないのだから。
次から次へと襲いくる相手に該もウィンキーも、ミリティアも息切れを起こし始めていた。
無論、初めから参戦しているリオは言うまでもない。
彼は全身汗だくで、足も、もつれ気味である。
それでも降りて一緒に戦いたいという、アリアの申し出を拒否し続けた。
「お前の能力では、奴らとはマトモに戦えんッ」
リオの意見はもっともで、アリアは黙って項垂れる。
だがキャアキャアと悲鳴をあげて逃げ回る小さな兎を見つけ、精一杯手を伸ばした。
「危ないっ、そこの兎さん!私の手に捕まって!! リオ、もう少し彼女の元へ近づいて下さい!」
「わわ、わかった」
急に手綱を引っ張られて慌てたのか、馬の足はもつれて次の瞬間には転倒する。
転倒の衝撃で「きゃあ!」とアリアも背から投げ出され、激しく地面に叩きつけられた。
動けぬ彼女に狙いを定めたか、MD軍団が一斉に押し寄せてくる。
「アリアッ!?逃げろ、逃げるんだッ!!」
幾つもの鋭い爪は彼女の頭上に振り下ろされ、アリアは観念で目を閉じた。
――だが、必殺の一撃は待てど全く振り下ろされてくる気配がない。
不思議に思ったアリアが、そっと目を開けると。
目の前には破壊されたMD軍団が横たわっており、その側には、いつ現れたのか。
たくさんのラクダが一箇所に集まっていて、内一頭が彼女のほうを振り向きニヤリと笑った。
「無事だったか?お嬢さん」
渋い声で話すラクダに、おずおずとアリアは頷く。
判る。このラクダ集団は、全てMSなのだ。
彼らがアリアを窮地から救ったのだと。
「ゆくぞっ!残りのMDを全て壊すんだ!!」
ラクダの一匹が号令をかけ、彼らは一斉に砂埃をあげて突進する。
次々とラクダの一撃によりMDが破壊されてゆくのを、アリアは呆然と見守った。
「アリア!無事かッ」
人型に戻ったリオが駆け寄ってきて、ぐいっとアリアを抱き寄せる。
「……よかった、無事でよかった……」
そればかりを繰り返し、リオは何度もアリアの頭を、背を、大きな手で撫で回す。
彼の腕に抱かれながら、アリアはリオを見上げた。
リオの両目から絶えず流れて落ちるもの――大粒の涙を見て、彼女は苦笑する。
嬉しくもあった。
彼が、自分をそこまで大事に想っているというのが判って。
「ごめんなさい。あなたを泣かせるなんて、私は悪い十二真獣ですね」
「アリア、お前が無事なら、それでいい。本当に無事で良かった……」
なおも呟く彼の腕から、そっと逃れると、アリアは恥じらいの視線を余所へ外した。
「……でも。今度から抱きつく時は、服を着てからにして下さいね」
「あ」
己の体を改めて見つめなおし、見る見るうちに真っ赤になって股間を押さえるリオを横目に、近づいてくるラクダ集団及び見知らぬMSのグループへアリアは軽く会釈する。
「危ないところを助けていただき、ありがとうございます。あの、あなた方は……?」
ラクダの一匹が人型へ戻り、会釈した。
ターバンを頭に巻いた褐色の男性は、いかにも砂漠の民という雰囲気を漂わせている。
「我々は砂漠都市を護衛する傭兵MS部隊、アグアノール隊だ」
そしてMSグループの一人も人型へと戻ると、軽く頭を下げる。
「あなたが王をお守りして下さったのかしら?王に替わって御礼を申し上げておきますわ。わたくしの名は、ミリティア・ハピネル。一応、王と契約を結んだ傭兵でしてよ」
真っ赤な髪に真っ赤なスカートとド派手なこの女性は、戦場でMDを丸焼きにしていた鳳凰である。
「ま、ちょ〜っと留守しとる間に、こんなことになってしもうてん、めっさ慌てたけどな!」
軽い調子で言ったのは、彼女の背後にそびえる巨大な猿のMSだ。
彼も王と契約を結んだ傭兵の一人か。
隣に佇むイノシシや、ちょこんと座り込む小さな兎も彼らの仲間と思われる。
「兎さん。無事で良かったですね」
アリアがニッコリ微笑みかけると兎はじっと見つめ返してきたが、ふいにプイッと横を向いてしまった。
「……ふんだ。馬の足引っ張ってたアンタに心配されるほど、あたしは弱くないんだから!」
かわいい見かけと反して、意外や口汚い。
驚くアリアへ猿がフォローに入った。
「そこのウサたんはプライドが高いんや。それよっか王宮戻って王に、はよぅ報告せんとな」
あれだけ多くいたMD軍団は、あらかたラクダのMS部隊によって片付けられている。
やがて残っていたMDも不意にふわりと空へ浮かぶと、ハイスピードで東へ飛び去った。


――その頃。
坂井を追いかけて、葵野は港町まで辿り着いていた。
だが先に行ったはずの坂井は、どの店に入っても見つからない。
諦めて砂漠都市へ戻ろうかという時、草陰にチラチラと見え隠れする黄色と黒の縞模様を見つけた。
「……さーかーいー?何してるんだ、お前。そんなところで虎になって」
人型に戻ったはずの彼は何故かまた変身しており、しかも草陰に隠れている。
葵野の問いへ、坂井は面目無さそうに応えた。
「いやぁ。街に入った途端、変質者扱いされて追い回されてよ。ここまで逃げてきたんだ」
「だから言っただろ?服着るの、忘れてるって」
呆れて溜息をつきながら服を差し出すと、坂井は照れ笑いでひったくり、草むらでごそごそやり出した。
再び溜息をつき、葵野は先ほど出ていったばかりの方面を振り返る。
東から来たというMDの軍勢は、港町を無視して通り過ぎていったようだ。
初めから砂漠都市だけが目標なのだ。
これは間違いなく、MDへ指示を与えている者がいる。
それがB.O.Sだというのなら、一刻も早く東大陸へ戻って奴らのアジトを探さなくては。
B.O.Sと、葵野達には因縁がある。
正確には葵野ではなく、葵野の故郷である中央国との間に……だ。
たびたび、中央国はB.O.Sの放つMSに襲われている。
それも普通のMSではなく、殺人用に脳を改造されたMSである。
元は人間である分、MDよりもタチが悪い。
砂漠都市のMD襲撃もB.O.Sの仕業だと、見知らぬあの女性は断言していた。
彼らが裏で糸を引き、東と西を争わせようとしているのならば、絶対に止めなくてはならない。
「おまたへ〜。まったく小龍ちゃんは、気がきくよなぁ」
着替え終わった坂井が、ニコニコと不似合いなほどの笑顔で草むらから出てくる。
虎の姿ではない。ちゃんと人型に戻っている。
「お前がそそっかしいだけだろ?ほら、早く船を探して戻らないと」
みたび溜息をつき、葵野は彼の腕を取って歩き出した。

大量のMDが軍勢を成して空を横切ったことで、東への定期船は止められていた。
再開は、いつになるか判らないという。
チケット売り場で断言された二人は頭を抱えるが、困る二人に売り子が一つの提案を出す。
それに従って坂井と葵野は小さな船を買い取り、単独で東へと帰ることにした。
「航路セットしといたぜ。これで運転せずとも、自動帰還できるってもんだ」
運転室から出てきた坂井を一瞥し、葵野は頭を下げる。
「悪いな、お前に全部やらせちゃって」
船の手配も買い取りも、そして航路設定までもがシャイで無学な葵野の手に負えるものではなく、結局、何から何まで全ての手配を坂井が一人でしてのけた。
坂井達吉と葵野力也。
二人は共に中央国で育った幼なじみだが、生まれは全く違う。
葵野は王家の第二王位継承者として生まれ、坂井は一般商家の一人息子として誕生した。
全く違う環境の二人が知りあったのは皮肉にもB.O.Sが国を襲った、あの日だ。
力也が第二ではなく第一王位継承者となり、皆から小龍様と呼ばれるきっかけとなった戦い――
あの戦いがなければ、二人が知りあうこともなかったであろう。
などと、ぼんやり思い返していると、コツンと坂井に頭をこづかれる。
「気兼ねする必要ねぇっつってんだろ?お前は俺に黙ってついてくりゃ〜いいんだよ」
坂井の笑顔が眩しくて、葵野は目を逸らしたまま、ぽつりと呟く。
「……俺、お前と一緒に旅していて、いいのかな?」
「あァ?なんだ、また例のホームシックでも再来したか?」
からかってくる坂井を無視して、葵野はポツリポツリと小声で呟いた。
「俺、足手まといだよな。戦えないほど臆病だし、お前と違って何も知らないし……」
暗く落ち込む葵野に歯止めをかけたのは、坂井の明るいツッコミだった。
「だァから、気にすんなっつってんだろが!戦うのは俺、行き先を決めるのも俺。全部、俺に任せときゃいいんだよ。葵野、お前は俺に黙ってついてくりゃあいいんだッ」
半ば暴君と取れる宣言をし、ぐいっと葵野を自分の元へ引き寄せると、間髪入れずに唇を重ね、葵野の背中へ腕を回す。
「ん……」
吸われたほうも、ぎゅっと坂井の背中へ腕を回して抱きついた。
互いに吸いあい、口の中を舐めあい、舌を絡ませる。
どれくらい、そうしていただろうか。
離した唇からは涎が一本の糸となって伝い、坂井が「……力也」と葵野を下の名前で呼ぶ。
「お前は俺とずっと一緒にいろ。俺が間違った正義へ踏み込まないよう見守るんだ、いいな?」
葵野は頷き、そろりと坂井の股間へ手を伸ばす。
「判ってる。だから……お前も俺のこと、見捨てないでくれよな」
すでに堅くなった部分をズボンの上から撫であげてやると、坂井が息を呑んだ。
「……っ」
ぎゅ、っと背中に回した腕にも力が込められる。
見れば、坂井は目もぎゅっと瞑っていた。
それでも彼が振り解かないものだから葵野も大胆になり、ジッパーから取り出したそれを直接触り始める。
指で敏感な先っぽを突いてやると、坂井は、はぁッと息をつき、涙を浮かべて葵野を見つめた。
「み……見捨てない。誰が見捨てたり、するかよっ」
普段の強気で傲慢な彼からは考えられないほど弱々しく、それでいて色っぽい。
たまらず葵野は唇を重ね、同時に手の動きも速めていく。
びく、びくっと坂井の体が快感で震えるのも体越しに伝わってきて、葵野の加虐心を煽ってくる。
竿をさするのは止め、玉のほうを揉んでやる。
坂井は体を仰け反らせ、言葉にならない喘ぎを漏らした。
こうしている間だけ、葵野も彼に対して強気になれる。
達吉が快感や刺激に弱い奴だと判ったのは、偶然の産物であったのだが……
「りッ、りきや、お前こそ、俺を」
喘ぎながらも尋ねてよこす彼に、葵野は頷いた。
「あぁ、判っている。絶対に見捨てたりしない。俺とお前は、一心同体なんだから」

――もう少し、こうして戯れていたかったけれど、時間とは無情なもので。
まだ息が整わず、汗ばんで寝転がる坂井から体を離し、葵野は陸地へ目を向けた。
東大陸は、もう目の前だ。
「残念、もうちょっとだったのにな。続きは宿屋でやるか?」
腕を引っ張り起こしてやると、坂井は急に恥ずかしくなったのか頬を赤らめ、ぶっきらぼうに答える。
「……バカ。んなことやってる場合じゃねぇーだろうがッ。陸に着いたら、すぐ王宮に向かうぞ!んでーババアどもの兵隊も狩りだして、何としてでもBOSの本拠地を探り出すッ。判ったな!?」
真っ赤になって照れ隠しに怒鳴る彼を見て、葵野は満足げに溜息をついた後。
「判ったんなら返事ぐらいしろ!」と怒鳴り散らす坂井へ、満面の笑顔で返事をした。
「判ってる、婆様に頼んで本格的なBOS狩り調査を始めよう」
故郷へ帰るのは、本当のことを言うと気が重かったのだ。
だが、坂井のおかげで気が晴れた。
彼が言ってくれた、見捨てないという一言のおかげで。
祖母と対峙する勇気も、少しは出てきた。
達吉には感謝してもしたりないな、と葵野は考えた。

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