現時点ではオーソリアン、それからノンポリとも同盟を結んだとされ、ソレイア内ではそれに対する学者達の反発もないと表面上は発表され、穏やかな日常生活を見せています
ふぅん
おもしろくありませんか……戦争の話なんて
そうですよね、もうやめましょう
それじゃ、ご飯の支度してきますね
…………アリサ…………
――ねぇ ザイン
今度の適性試験は新型機導入なんですって?
ああ どうもそうらしい
型番は確か……フォックス−7890FXって言ったっけ
ふぅん……フォックス、ね
響きがいいわ、フォックスって
それに、なんだか強そう……
よーし!いつも以上に張り切っちゃおうっかな?
ザイン、お互い頑張りましょうね
アリサ、きみは―――
きみは試験の時ほど輝いて見えるね
そんなに戦いが好きなのか?
好きかって聞かれたら、答えは「No」だけど……
私たちが戦うことによって戦争が早く終わるなら、答えは「Yes」に変わるかもしれないわね
ゼインは、まだ見つからないのかい?
はっ 街中をしらみつぶしに探してはいるのですが……
誰かにかくまわれているのか……
しかしソレイアに住む者なら彼をかくまうことに対する危険も重々理解しているはず
街の外に隠れているという可能性は?
今調べております
入っていいよ
失礼します!ここ南方にある民家より、銀狐のものと思われる機体を発見!
すでに数名が向かい確認を急いでおります
民家? 街からはずれた場所に民家があったなんてね
では、我々はこれより急行致します
……僕も行ってみよう
ここを開けてもらいたい!我々はスリーフォックスの者だ
ここに反逆者ゼインがいると有志からの情報を受けている!
今すぐドアを開ければ、かくまった貴公の罪は問われないだろう
我々はことを荒立てたくはない 貴公の賢い選択を望む
……返答がありません いかが致しましょう
踏み込もうか 荒々しいのは嫌だけどね……
罪は問わないなんて綺麗事を……!
そう言ってあなた達は、幾人の学者を亡き者にしたというのです……ボクは、もう、だまされない
そう……戦う方を選ぶなら、遠慮はしないよ
ボクがやられたら……あのヒトが、連れて行かれてしまう
それだけは何としてでも阻止しないと
うぅっ……か、母さん……
…………
おめでとう!ザイン
適性試験の結果発表を見たわよ
あなたがシルバーフォックスのサイカーに選ばれるなんて同スクールの生徒としても鼻が高いわ
ありがとう
でも正直なところ、自信がないんだ
何言ってるの!
あなたは この私を抜いてトップで試験に合格したヒトなのよ?
もっと自信を持ちなさいっ
う、うん
でもアリサ……研修の間、きみに会えなくなるのが少し寂しいかな
ふふっ ザインったら見かけによらず寂しんぼうなのね
大丈夫 私、いつでもこの街で待ってるから
だから安心して行ってらっしゃい
母さん、ボクも……もうすぐあなたの元へ行くかもしれない……
……も、もう駄目だ……っ
…………
あら、お帰りなさいザイン
どうしたの?研修は楽しかった?
アリサ……無事でよかった
旅先で聞いたよ 僕のいない間、ソレイアが襲われたって
あらあら、傭兵になろうってヒトが血相かえて
ソレイアは、そう簡単に落ちやしないわよ
なんたってスクールには傭兵予備軍が控えているんだから!
アリサ……
どうしたの?
……私、なにか悪いこと言った?
ごめんなさい、だから泣かないで……ザイン
アリサ……
きみがいなくなったら、僕は傭兵になった意味なんてなくなるんだ……
…………!
アリサ!!
ふふっ 泣き虫なところは、かわらないのね……
男のヒトが泣くなんて……おかしいわ
アリサ、しゃべるんじゃない!
傷に響く……今、軍医を捜してくるから!
無駄よ、ザイン……
わかるの 私 もう 無理なんだ……って
サイクスが爆発して 今 こうして話してるだけでも奇跡なんだから……
アリサ!
……ごめんね
いつでも待つ なんて言ってたくせに
もう あなたの帰りを待つことも できないみたい……
アリサ!
アリサ―――――――――ッ!!
…………!
そうだった……サイクスに乗るのは、戦いを終わらせる為……だったな
きみの意志は俺が引き継ぐ……見ていてくれ、アリサ
復活したんだね……嬉しいよゼイン
いや、『死の銀狐』!復活を記して、僕自ら相手をしてあげるよ……
ここからが本番だ!スリーフォックス、全員出撃せよ!
ソレイアの反逆者、ゼインを倒せ!
アリサ……俺に力を貸してくれ、アリサッ!!
お前にはスリーフォックスを任せておいたはずだが……何故腐敗させたッ!?
俺がお前に隊長の座を譲ったのは、オーソリアンの犬にさせる為じゃないッ
民を護る軍として存続させるために譲ったのだ!応えろ、ゼロ!!
僕がこうなったのは君のせいだよ
君が僕を捨てて行くから……僕は……
だいたい、軍ってのは国に仕えるものだろ?
民を護るかどうかなんて、一隊長が決める問題じゃないんだよッ!
ゼイン……今日という今日こそは、僕と一緒に来て貰う
……お前達には愛想がつきた 民を守らずして、何が傭兵だ!何が軍隊だ!
オーソリアンに尻尾を振り、民の守りを忘れた軍など存在する価値はない!
恥を知れ、スリーフォックス!!
ここから後は俺に任せておけ
は、はい でも一応、最後まで戦います
そうか……無理はするなよ
…………
ふふ……これで……僕も……やっと眠れる……肉体は塵と化し……魂は……空へ……
ゼ…………ゼイン……僕は……最後に……君に伝えなきゃいけないことがある……
今さら何だ
……あの女の……アリサの……
サイクスを爆破するようしむけたのは…………僕、だったんだ……
!? 馬鹿な、あの時はまだ、お前はソレイアにいなかったはずだ!
いや……違うな 正しくは僕、を創ったヒト……の、意志だ
全てのバイノアの……創造主……サイラックス……ゼイン、きみは、あのヒトを……許せる、か……な……
サイラックス=アゲインか……あの頃はまだ国規模での戦争は起こっていなかったはず
あの時点でオーソリアンがソレイアを襲う理由がわからん
一度本人の口から聞いてみる必要があるな……
あ、あのっ、その……あ、ありがとうございましたっ!
助けて頂かなかったら、ボク、きっと死んでました
いや 俺のほうこそ
え?
実はここ最近の記憶がまったくない
気がつけば、きみが側にいる……迷惑をかけただろう、すまなかった
そ、そんなこと 一緒に暮らしていた間は、けっこう楽しかったですし……
一緒に暮らしていたのか
は、はい
……ありがとう
あ、あの そろそろ行きませんか?
いつまでも、ここにいるのも危険ですし……
そうだな しかしどこへ行く?
はい、あの、ボクの知り合いがツェッペルに住んでるんです
そのツテを辿って、しばらく身を隠そうかと思ってます
ツェッペル……ギア達が向かった先か
同行しよう
は、はいっっ! お願いしますっ