AIがお題を出す:イワンは伝説の剣を手に入れた!
「伝説の剣?」デューンに尋ねられて、イワンが頷く。
「と、俺の部下は言っているんだが」
海底都市への足がかりを探すべくコーデリンの近海を探索中、部下のクロスが拾ってきたのが曰く付きの剣。
拾った本人は「これぞ伝説の剣ですよ!」と言い張っていたが、イワンが手に取って眺めてみても何の魔力も感じられず、こうして親友の元へ持ってきた次第だ。
デューンも手に取って、ジロジロと眺めた。
「ふーん、ただの錆びたロングソードに見えるけどなぁ」
長い間、浅瀬に沈んでいたのだろう。
刃の部分が赤茶色の錆で一面覆われており、柄も元が判らないぐらい色落ちしていた。
「ただ、不思議といえば不思議なんだ。コーデリン騎士の武器は槍、襲撃してくる海上部隊も武器は銛で、剣の使い手なんてのは近郊にいやしない。そうすると、この剣の持ち主は誰だ?……ってことになる」
イワンの言わんとする旨は判らなくもない。
この剣は、赤錆がつくほど長い時間を海の底で過ごしていたのだ。
「過去に剣士は一度も来なかったのか?コーデリンの近辺に」
「ここが大昔には他種族を歓迎する国だったなら、来たかもしれんが」と、イワンは肩を竦める。
コーデリン国は今も昔も原則、ケンタウロスしか入国を許されない。
はっきり侵略行為をしかけてきたのはマギ軍が初めてで、それより前にコーデリンへ攻め込んできた者は一人もいない。
そして持ち主がマギ軍の中にいたとしても、錆びるほどの年月は経っていない。
持ち主が判ったからといって戦況が良くなるわけではないが、しかし謎を残したままというのも、すっきりしない。
「よーし、名探偵デューンにお任せあれ!こいつの持ち主を探してみせるぜッ」
相談相手がノリノリになってしまって、焦ったのはイワンだ。
てっきり「ガセだな」で終わる話だとばかり思っていたのに、余計な厄介事を持ち込んでしまった。
「まずは聞き込みだ!コーデリンの騎士たちに尋ねてみよう、過去この海岸へ現れた旅行者について」
「ま、待て、デューン……!」と止めて止まる相手でもない。
何十年経っても心は若者のまんまなデューンは意気揚々と聞き込みに回り、ついには『放浪の剣士が海岸沿いに現れた』という事実を突き止めたのだ!
情報元は老婆ケンタウロス。かれこれ二十年以上も前の話だという。
剣士はエルフであった。
騎士を目指していたがロイス王国には入れず、コーデリンでも入国を阻まれ、失意のうちに去っていったという。
「くぅー、なんだそれ!悲しすぎるっ」
まともに受け止めて号泣するデューンの横で、イワンは首を傾げる。
二十年前なら、とうにマギ軍との戦いが始まっており、しかもエルフならファインドで騎士になれるじゃないか。
わざわざロイスやコーデリンまで足を伸ばす意味が分からない。
「本当にエルフだったのか?」
「ほぇー、なんじゃってぇー?」
「いや、だから若者は本当にエルフだったのか、と」
「じいさん、めしはまだかのぉー?」
二言三言やり取りして判ったのは、この老婆、すっかりボケている……ということだけであった。
先ほどの概要だって、このボケた会話を無理やり繋ぎ集めた結論だから、信憑性はゼロに近い。
デューンの偏見が混ざっているようにも思えてきたので、イワンは一応母国のフォローをしておいた。
「デューン、この話はおかしい。エルフならファインド国で申請すれば誰でも騎士になれるんだ」
「騎士になるための試験に落ちたのかもしれないじゃないか」
「いや、試験などない。現に俺も申請だけで騎士になったんだ」
実力をつけるのは騎士団に入ってからで、そこで振り落とされていく。
入る前は全員素人だから、試験も何もあったものではない。
「案外緩いんだな、ファインドの騎士団って。ロイスの騎士団は試験があるぞ。かなり難しい実技で」
「ふむ。なら、剣士はエルフではなく人間だった可能性がありそうだ」
「人間って、つまりロイス人だって言いたいのか?けど、二十年前だろ?二十年前に国を出たやつなんていたかなぁ」
首をひねるデューンの正面では、老婆ケンタウロスが船を漕いでいる。
仮に老婆の昔話が真実だったとしても、剣士が自分の愛用武器を海に捨てていくとは考えづらい。
入水自殺の可能性も考えたが、やはり謎がつきまとう。
「この剣、本当に剣……なのか?」
もう一度、手にとって刃先に触れてみたら、ぼろっと崩れ落ちて「わぁっ」とイワンは剣を放り投げた。
「何やっているんだ、イワン」と言いかけて、デューンも落ちた剣へ目をやって唖然となる。
結論から言うと、剣に見えていたものは剣ではなかった。
「えぇ~、なんだこれ、グニャグニャしているぅ」
拾い上げてみると、錆びた刃だと思っていた部分は案外柔らかく、金属というよりは植物に近い。
騒ぎを聞きつけてやってきたゴードンが、ひと目見て断言した。
「あぁ、海藻ですね」
「え?」となったデューンとイワンの二人に凝視されながら、ゴードンは繰り返す。
「えぇ、ですから、杖に絡みついた海藻でしょう?それ」
柄だと思っていた部分も実は杖で、海藻がまとわりついた杖を伝説の剣だと断言したクロスの目は、どうなっているんだと問いたい。
しかし二人もクロスの発言を信じて剣だと思っていた以上、文句は言えないのであった。
「やっぱ簡単には手に入らないよなぁ、伝説の剣なんて!」
あっはっはと照れ隠しに馬鹿笑いする親友を見ながら、イワンも苦笑する。
「もし伝説の剣が生まれるとしたら、お前の剣が後世で伝説になるかもしれん」
「え~?それは買いかぶりすぎってもんだろ!」
友のお世辞にまんざらでもないって顔をしながら、デューンは本来の目的へと戻っていった。
End.
【あとがき】
伝説の剣なんて創世記時代には、なかった……!
むしろファスト以降です、伝説になった剣が出てくるのは(笑)