24th Anniversary

2025年夏休み企画・ワーグと夏祭り(if)

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グラントとワーグの夏祭り

一週間後。
プライストン家の庭にて、夏祭り予行練習が開催される。
グラントはソマリに頼まれて、古来のファーストエンドに存在したとされる舞踊を調べる。
そして予行練習までに、がっちり振り付けを覚えてきたのであった――


「う、うぅん、難しいね。これ、輪の人数が多くなったら絶対、前の人の背中を叩いちゃわない?」
ぶんぶん盆を振り回してレーチェがぼやく。
先ほどから五人で焚き火を囲んで、グラントが見つけてきた舞踊の練習をやっているのだが、その一つ、盆踊りと称された舞踊は名の如く盆を用いて踊るというもので、振り付けが、どう考えても円になって踊るのに適していない。
盆を振り上げては股間を隠す、再び振り上げては股間に当てると、とにかく股間を盆で隠すような仕草を求められ、しまいには盆を持った腕が痛くなってくる。
しかも、グラントの話によると昔は全裸で踊ったというではないか。
人前で全裸になるなど絶対に御免だし、そもそもの振り付けが優雅とは程遠い。
一体なんの文献で見つけたのか、きっと僻地のマイナーな踊りに違いないわとソマリは心の中で愚痴たれて、真っ先にリタイアした。
「私は神輿を見に行くわ。失礼」
「えーっ、盆踊りしないのかよー!」とグラントが騒いでも、振り返らずに裏庭へと歩き去っていってしまう。
一人抜けてしまうと、他の者もやる気が削がれるというもので。
「……私、屋台見てこよーっと」「あ、俺も!」
レーチェとフォースは二人揃って屋台のほうへ行ってしまい、踊りの練習もどっちらけになった。
「チェッ、他にも見つけてきたのになぁ」
ぶつぶつ文句を言うグラントの肩を叩き、ワーグは慰める。
「最後までつきあってやるから、他のもやってみろよ」
正直に言うと単調な振り付けで飽きかけていたのだが、せっかく友人が探してきた珍しい舞踊だ。
どうせなら全部やってみたい。結論を下すのは、その後でもよかろう。
「よっしゃぁ、それでこそ俺達のリーダー!次は団子節だぜぃ」
「ダンゴ武士?」
聞いたことのない名称に首を傾げるワーグへ自慢げにグラントが頷く。
「そうだ、団子節だ。これはな、歌詞もあったらしいぞ」
アーシスの踊り子は曲に合わせて踊るのだが、曲に歌詞はない。
過去の舞踊のほうが、変化があって面白かったんじゃないか。
「ただ、どんな曲かまでは判らなかったから、俺が勝手に考えてみた!」
グラントは胸を張り、彼が音痴だと知っていてもワーグは催促した。
「ほぉ。歌ってみろよ」

♪ツキが出た出た ツキが出た ミーケ団子の上に出た
 あんまり煙突が高いので さぞやおケツも煙たかろう サテホイホイ
 一山 二山 三山越え 奥に咲いたる ヤケ羊
 なんぼ色よく咲いたとて ヤマちゃんが通わにゃ仇の花 サノヨイヨイ♪

滅茶苦茶な音程に加えて、意味不明な歌詞。
ずっと聴いていると、心の正気を失いそうな歌であった。
「……意味は?」と、ワーグ。
グラントは「知らねぇ!」と堂々答え、「次は振り付けな」と投げっぱなしだ。
団子節は盆踊りと異なり、歌詞に合わせた振り付けであるらしい。
「まずな、後ろの人は前の人の腰に手を当てて、掘って〜掘って〜また掘って〜」と調子外れに歌いながら、グラントが股間をワーグの尻になすりつけてくる。
具体的には、股間のもっこりが尻の割れ目に入り込むような強い押し付け方だ。
ユカタの上からとはいえ、生暖かくも巨大な異物の割り込んでくる感覚には、ワーグも腰を引いて「ホントにコレであってんのか?」と尋ねずにはいられない。
「あってるあってる、俺を信じろって!」
なおもグイグイ押し付けてきたかと思うと、いきなり肩に担ぎ上げられて「うわぁっ!?」と驚くワーグそっちのけで「担いで担いで、あとずさり〜」とグラントは二歩後退した。
担ぎ上げられた状態でワーグが騒ぐ。
「こ、これ、体格差あったら無理じゃねーか!?」
もし前後が逆だったら、ワーグにグラントを担ぐのは無理だ。押しつぶされるのが関の山であろう。
おまけに担ぎ上げた腕が両足の間を割ってきて、尻をさわさわ撫でてくる。
逃げ出そうにも高さがあり、無理やり振りほどいたら受け身を取れずに落下して痛い思いをするだろうってのは、やる前から予想できた。
従ってワーグにできるのは「絶対に嘘だろ、この振り付けェ!」といった大声の抗議ぐらいしかないのだが、グラントには暖簾に腕押し、抗議は右から左へ聞き流された。
「うへへ、ワーグこの下ノーパンなんだろ?おケツの穴の位置が、手に取るように判るぜぇ」
なんとしたことか我が友は鼻息を荒くして、足の間から穴めがけてブスッと指を突き立ててくるではないか。
「あうっ!」
そのままグリグリ奥へと穿られたんじゃ、うっかりポロリと実が出かねない。
「や、やめろ、グラントッ……!」
グラントの肩に掴みかかって激痛に耐えるワーグを、どう捉えたのか、グラントはグヒヒと嫌な笑みを漏らすばかりで制止を聞いてもいない。
ワーグとてグラントが時々自分を性的な目で見ているのには気が付かないでもなかったが、こんなタイミングで、しかも、こんな真似を仕掛けてくるとは予想していなかった。
性目的で穴を弄るなら、もっと優しくやってくれなきゃ感じるものも感じられない。
遠慮もへったくれもなく爪で中を引っかきやがって、この童貞が。
きっと出血しているだろうなと思いつつ、ワーグは必死の反撃に出た。
掴んでいる肩、それから無防備な首筋に思いっきり噛みついてやったのだ。
グラントは「んぎゃあ!」と叫んでワーグを振り落とし、どうにか無様な落下だけは避けて地上を転がったワーグは体勢を立て直す。
「真面目にやれよ、グラント!」
本気で怒ると「わ、悪い悪い」と謝りつつもグラントの視線はワーグの胸元に一直線。
暴れたせいでワーグのユカタの前がはだけており、それをガン見しているのであった。
グラントの両目はギラギラ欲望で輝いており、鼻息は先ほどの二倍ぐらいに高まっている。
それらを一切見なかったことにして「舞踊の続き、やろうぜ!」と荒々しく急かすワーグに、グラントも我に返ったような表情を浮かべて「お、おう」と頷く。
「えっと、担いで担いであとずさり〜までやったんだっけ」
ぶつぶつ呟いて振り付け確認していたかと思うと、それまでのギラギラ感を払拭して、さわやかな笑顔になったグラントが近寄ってくるもんだから、ワーグは思わず一歩後ずさる。
「え、なんで逃げるんだよ、傷つくー」
傷ついた表情を浮かべられたって、ワーグの脳裏に浮かぶのは猜疑心だけだ。
「今度こそ真面目にやるんだろうな?」
「やるやる、やるから、ほら後ろ向いて」
渋々ながらも振り付け自体は気になるのか、ワーグは素直に後ろを向き、背後にぴったり立ったグラントは「押して〜押して〜」とワーグの背中を押してきて、担ぎ上げたり股間をなすりつけるよりは大人しめな振り付けだ。
だが最後の最後で「開いて」と右足を一歩踏み出した姿勢で立ち止まったグラントが「チョチョンがチョンッ♪」と背中越しに両方の乳首を摘んできて、ワーグの口からは「ひやぁ!」と素っ頓狂に甲高い悲鳴が飛び出した。
「てっ、テッ、テメェッ!」
怒りと恥ずかしさで頬を真っ赤に染めた友を前にしても、グラントはスケベ笑いを浮かべ両手をワキワキさせる。
「これが団子節の振り付け全部だぜぇ〜。さぁワーグ、本番までに振り付けをカンペキ覚えるためにも、もっとビーチクをチョチョンがチョンさせろよぉ〜」
もはや欲望を一ミリたりとて隠そうとせず、振り付けに乗じてエッチな真似をする気満々だ。
これ以上、やられっぱなしでいるのは性に合わない。
「だったら!今度は俺が後ろだッ」
「えっ」
予想外の展開だったのか、ポカンとするグラントの背後にまわりこむと、ワーグは素早く庭に落ちていた枯れ木の枝を手に取り、「掘って、掘ってぇ〜」と適当な音程で歌いながら、グラントのお尻の穴へ枝をぶっ刺してやった。
「ピギェッ!?」
「ほら、また掘ってぇぇ〜」
枝全部が丸々埋まる深さまでグリグリねじ込んでやると、グラントが涙声で降参を告げてくる。
「ウギィィ、痛ェ〜、も、もう勘弁してくれよぉ」
が、その程度の謝罪で許すほどにはワーグも甘くない。
尻の穴へ指をねじ込まれた時は本気で痛くて涙が出たし、乳首への攻撃は全くの不意討ちで、みっともない悲鳴まであげてしまった屈辱だ。
なおも気がなさそうなテンポと音程で「担いで担いで」と歌いながら、ワーグは地面を這う虫を片っ端から捕まえてグラントの襟首へ放り込んでやる。
きゃあぁぁぁっ!な、なんかがモゾモゾしてるぅ〜!?」
何匹もの虫が肌の上を這いずり回り、グラントは背を反り返らせての大騒ぎだ。
「っつか担いでないし、ちゃんと歌と合わせ、あふぅんっ、だめぇ、そこ這っちゃだめぇ、チクチクして気持ち悪ゥッ、やだぁー、ワーグ全部取ってぇぇーーっ」
グラントは涙目で頬を赤く火照らせて、息まで荒くしている。
およそ普段の彼からは想像できないほどの痴態で、こうやって眺めてみりゃコイツだって案外可愛いんじゃないか、そろそろ許してやろうかとワーグは考え、すぐに己の思考を否定する。
駄目だな。どんなに可愛く見えたって、さっきの無体の数々は許せるもんじゃないし、もっと辱めてやらないと自分の気が収まらない。
「えーと、最後は開いてチョチョンがチョンだったか?」
なんとかして虫を追い出そうと地面を転がり回るグラントのユカタを脱がして全裸にしてやった上で、勃起した一物、及び金玉を遠慮のない勢いでズンズン突いてやった。
もちろん指などの柔らかい突きではない。そのへんに落ちていた硬い石で、だ。
「アッーーーーーーッッ!」
絶叫を最後にグラントの意識はふっつり途切れ、悲鳴を聞いて駆けつけたのであろうフォースが「な……何やってんの……?」と若干引いた表情で尋ねてくるのには、ワーグもしれっと答える。
「こいつは拷問節っつって罪人への仕置で使われた舞踊だそうだ。祭りには使えないから没な、没」
「へ、へぇ……変な踊りを見つけてきたんだね、グラントも」
ドン引きするフォースの肩を抱き寄せ、ワーグは耳元で囁いてやる。
「もう一つあるんだ。ダンゴー節ってんだが、お前にも教えてやるよ」
「えっ?何それ、っていうか距離近くない?」
「いいんだ、そういう踊りだから。まずは、掘って掘って〜」
「あ、わわっ、ちょっとワーグゥ、なんか当たってる!お尻に何か当たってるってばァ」
気絶したグラントをほったらかしに、謎の踊り練習を楽しんだワーグであった――


End.


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