第九小隊☆交換日誌

欲望のハロウィン

どこかの世界にあるという"ハロウィン"なる祭りを私達が知ったのは、この間の任務先でした。
ワールドプリズには異世界を研究する機関があって、そこが出している冊子に載っていたんです。
冊子によると、夜中、モンスターに仮装した子供達がお菓子を取りにくるんですって。
合い言葉は「Trick or Treat?」
トリックは悪戯、トリートはおもてなしって意味だそうで、全部つなげると「悪戯されるか、お菓子を出すか?」になるんだそうです。
悪戯といっても、子供のやることですから可愛いものでしょう。
でも訪問先は、この日の為にお菓子を用意しておくんですって。子供達へのご褒美デーですね。

――さて、ここからが本題。
今年は我が第九小隊でもハロウィンを祝おうって話が持ち上がりました。
言い出しっぺは、もちろんナナです。
今年は私とナナとカネジョーさんで仮装して、皆の家へ行くことになりました。
何故この三人かというと、クジで決めました。
キースさんが最後までくやしがっていたのが印象的でしたね。
カネジョーさんは私達とは別行動を取るそうです。
どこへ行くんだろうねってナナに話を振ったら、「きっとセーラさんのトコだよ」ってナナは言っていましたけど多分違うと思います。
というか間違っても、そこには行かないんじゃないかなぁ……?
私達は、もちろんユン隊長の部屋を訪問する予定です。
あ、私達は軍の宿舎住まいなんです。
私はナナと同室ですが、ユン隊長は、隊長なので個室なんですよね。うらやましい。
隊長、ちゃんとお菓子を用意してくれたでしょうか?
一応イベントの開始までに、お菓子を用意できる時間は確保してあります。
どんなお菓子がもらえるのか、隊長のセンスに期待ですっ。

ユン隊長の部屋は東棟二十七階の一番右端にありまして……
そこへ辿り着く頃には私もナナもヘトヘトになっていたんですけど、根性で到着しました。
「せーのっ」
二人で声を併せて、扉へ呼びかけます。
「Trick or Treat?」
間髪入れず扉が開いて、ユン隊長が顔を出しました。
「いいぞ、入れ」
私達は顔を見合わせ、もじもじとナナが切り出します。
「あのさ、打ち合わせと違うよね?ユン兄」
イベント開始前の打ち合わせでは、どちらかを答えてから部屋に入れるって決めたはずなんですが。
「あぁ……」
思い出してくれたのか、ユン隊長も頷き、改めて答えました。
「Trick」
「え?」
「だからTrick、だ」
「えっ!?」
バカみたいな押し問答をしてしまいましたが、これはのっけから予想外な展開だ〜〜!?
「えっと、隊長?」
「なんだ」
「もしかして、お菓子、用意できなかったんですか?」
私が尋ねると、隊長はコクリと頷きました。
「菓子と言われても……何を用意すればいいのか、見当もつかなくてな」
「えっ」
私とナナは再び顔を見合わせて、こそこそと囁きあいます。
「ど、どういうこと?隊長ってお菓子食べたことないの?」
「言われてみれば、小さい頃ユン兄がお菓子を食べている姿って見たことなかったかも?」
なんてことでしょう。イベント前に、これこれこういうものだと教えておけばよかったですね。
しかし、仕方ありません。こうなったら、心ゆくまで悪戯を……グフフッ。
「レン、鼻の下伸びてるよ」
……おっと、私としたことが。
「悪戯って何すればいいのかな?」
ナナがヒソヒソ囁いてきましたので、私も囁き返します。
「やはり、ここはボディタッチでしょう」
「ボ、ボディッ」と大声を出しかけるナナのくちを、私は慌てて両手で押しとどめました。
「もがもがっ!」
「私達だって、もう子供じゃないんですよ?ナナ。ここはアダルティーに攻めるべきです」
「もがが?もが、もがもがもがー」
「フッ。セツナ先生の存在なんて、今は忘れましょう。今夜の我々はモンスターです、モンスターに人間の道理など通用しないのです」
私の力説に、口元を解放されたナナが大きく頷きました。
「了解っ。じゃあ頑張ってアダルトな夜にしようね、レン!」
あら、聞き分けのいい。意外でした。もっとゴネるかと思ったのに。
そんでゴネたら私だけで、やっちゃうつもりでしたのに……チッ。
まぁいいです、二人がかりでやっちゃいましょう。
「では、おじゃまします」
隊長の部屋に入り、私が隊長をベッドへ促している間にナナが部屋の鍵を閉めます。
「隊長、抵抗しないでくださいね」
念を押してから、私は横たわった隊長の手足を手ぬぐいで拘束しました。
「これは……?」
不安げな眼差しが私を見つめています。うふふ、怖がる隊長も斬新で素敵です。
「さて、と。これで準備は完了ですね。ナナ、私の紙袋をこちらへ」
ナナがおずおずと私の持ってきた紙袋を手渡してきます。
「ねぇ、レン。これ、随分重たいけど……何が入っているの?」
彼女には教えていませんでしたが、ここで種明かし。
「悪戯用の道具ですよ。まずは、これですね」
取り出しましたるは、電気マッサージ機。
えぇ、勿論私の私物じゃございません。通販で今日、取り寄せた品物です。
即日に届くから便利ですよね、アダルトマーケットの通販は。
マッサージ機という名称で売られていましたが、ただマッサージするだけでは芸がありません。
というより、これがマッサージ機として本来の使い方をされているのかも私には疑問なんですけどね。
あ!言っときますけど、最初から悪戯が目当てで来たんじゃないですよ?
私だってお菓子が本命だったんです。
これは、あくまでもお菓子がなかった場合の予備として持ってきただけでっ!
……前置きが長くなりました。
さっそく始動です!
マイクのような形態をしたソレを、隊長の股間へズボン越しに押し当てると。
「ちょっと、何するつもり!?」
さっそくナナから抗議が飛んできましたが、私は無視してスイッチオン。
ブブブと嫌な振動音が鳴り、隊長が「くぅっ」と小さくうめいて体を痙攣させました。
ヤバ、かわいすぎます。
「い、一体何を……ッ」と隊長が嫌そーな顔で聞いてくるので、私は説明してあげました。
「何って悪戯ですよ。電気マッサージによる悪戯、如何です?」
「こんな悪戯、想定外だ!断固拒否するッ」
隊長は叫んで手を解き放とうと暴れていますが、無駄なあがきです。
私とて、そう簡単に解かれるような縛り方はしてません。
力学上において力の入らない方向に両手を縛り上げていますし、足も踏ん張れない角度で拘束してありますし。
伊達に軍隊で捕虜の拘束方法を学んだわけではないのですよ、私だって。フフフ。
「もぉ、何やってんのよー!」
私を押しのけてベッドの横に立ったナナが、おもむろに隊長のズボンへ手をかけました。
何をするのかと見守る私の目の前で、ナナは隊長のズボンをぐいっと一気に下へ降ろすではありませんか!
「きゃっ!」と私は思わず乙女に戻って叫んでしまいました。
た、隊長のパンツ……純白なんですね。よくお似合いです……
うぅっ、どうしても中央の盛り上がった部分に目がいってしまいます。
隊長のアレ。
一度だけナマで見たことがありますが、こうして布に隠されているのもエロティックです。
「ナナ!?」
非難めいたユン隊長の視線などそっちのけで、ナナが私に力説しました。
「どうせやるなら、直接当てないと!」
せっかちな彼女へも、私は物事の摂理を説いてやります。
「いけませんね、ナナ。こういうことには順序があるんですよ」
「順序?」
「そう、徐々に快感へ慣らしていって隊長が自分から欲しがるようになるまでの順序がねぇッ!」
私の迫力には、ナナも一歩引いて「レ、レン……怖い」と、ちょっとドン引きしたようです。
フッ。判りませんよ、貴女には私の気持ちが。
演技とはいえ、あの純白の下に隠れたブツと直面して、素肌を隊長に触られた事のある貴女には!
「さぁ隊長、ナナもこう言っていることですし次は下着の上からいきましょうか?」
「嫌だ、やめろ!」
当然のように隊長は眉を逆さ八の字につり上げて拒否ってきましたが、こちらも当然のようにシカトです。
「フフフ、ですがお断りします」
驚愕の眼差しで「何だと……!?」と、私を見ている隊長というのも斬新です。
まさか私が反抗するとは思わなかったんでしょうね。
えぇ、普段は従順ですからねぇ、私。
なにしろ我が第九小隊は個性派揃い。
我の強い連中ばかりですから、誰かが真面目にならないとやってられません。
しかぁし!今はハロウィン、お祭り騒ぎの真っ最中であります。
私だって、たまにはハメを外したい!
「隊長、今度はパンツの上からいきますよ。スイッチオーン!」
盛り上がった部分に電マを押しつけ、スイッチを入れただけで。
反抗的だった隊長の顔が一瞬にしてひきつり、「くぅっ」と喉の奥で引きつった声をあげ、身をよじりました。
ハァハァ、可愛い。いつもは無口で無表情な隊長ですが、こんな表情も出来るんですね。
「うりゃうりゃうりゃ、いいのはココですか?それともココですか?」
私は調子に乗って、盛り上がった部分を電マでグリグリ押してやります。
隊長はビクンビクンと体を痙攣させ、屈辱と羞恥に頬を赤らめ、目尻には涙を浮かべて私を睨みつけてきました。
「あ……も、もう、やめろッ。こ、こんな悪戯……悪戯の範疇を越えている……ッ」
息も絶え絶えのくせに、まだ隊長気取りで命令してきます。
判っていませんね、今は隊長も糞もないんです。Trickを選んだ以上、主導権はこちらにある!
「ククク、悪戯の範疇を決めるのは隊長、あなたではありません。悪戯を仕掛けている私なのですよ」
私は意地悪な笑みを浮かべると、今度は乳首を電マ攻めしてやります。
シャツの上から見ても隊長の乳首はツンと立っていて、攻めてくれと言わんばかりでしたので。
「嫌だ嫌だと言いつつ、体は正直ですねぇ。気持ちいいんでしょう?乳首が反応しているじゃありませんか」
ちょっと先端に触れただけでも「ん、くぅっ……!」と小さく呻き、隊長が体を仰け反らせます。
どんなに仰け反ったところで両手両足をベッドに縛りつけているから、逃げることなど出来ませんがね。
「クククク」と喉の奥で笑う私を見て、ナナがぽつりと呟きました。
ドン引きした顔のままで。
「レン……だんだん、キースと似てきたね?」
ガーンッ!
なんてこと言うんですか、あなた、それでも私の親友ですか!?
私の今やっている行為を、あの変態眼鏡と一緒にしないで頂きたいですね。
これは、そう、Trick or Treat!
神聖なイベントの儀式なんですよっ。隊長が我々の前で喘ぎながら昇天するという!
自分でも何言ってんだか判りませんが、もうこうなったら最後までイクしかないっ。
「こんなに感じやすいなんて、もうセツナ先生とはエッチしちゃったんですか?」
ナナにも関心のある話を隊長へ振ってやりますと、ナナはハッとなって耳を澄ませました。
私も注目する中、振動に耐えながら隊長が、ぽつりぽつりと答えました。
「あ……し、していない……しているわけが、ない……ッ」
「え〜?その割には敏感じゃないですか。ここんとこ、もうセツナ先生に咥えられた事あるんじゃないですか?」
乳首から再びアソコに戻して振動を加えると、きゅうっと足の指を丸めて隊長が答えます。
「し、していない……ッ!誓って、全く……!!」
うーん、この反応は本物みたいですねぇ。意外です。
二人とも大人だから、とっくにしちゃっている仲かと思っていましたが。
「じゃあ、どこまで進んだんです?」
私はすっかり好奇心の虜となって、隊長を詰問しました。
トリックというより、だんだん拷問めいてきたなぁと自分でも思いながら。
答え渋る隊長に、容赦なく振動を強にしてやると、彼はすぐに泥を吐きました。
どうなんでしょう、この耐久力のなさは。隊長……絶対、敵には捕まらないでくださいね?
「ん、くっ……き、キス、だけなら……ッ」
ほぅ、キスはしたんですね。
「どちらが先に?」
さらに食い込んだ質問をしながら、私は紙袋から第二のアダルトグッズを取り出します。
「レン、それ、何?」
私が取り出したものは、数珠のように玉が幾つも連なった道具でした。
「アナルスティックって言うらしいですよ」と私は答え、隊長の体の下へ手を差し入れます。
私の手がパンツ越しにお尻を触っただけでも隊長はビクンッと過剰反応して、泣きそうな目で私を見ました。
その目が「何をする気だ?」と問いかけているように見えたので、私はにやりと微笑むと、アナルスティックでお尻をつんつんしてやりました。
「このスティックを、今から隊長のお尻へ差し込みます」
形状が如何にもヤバそうに映ったんでしょう。隊長は顔色を変えて、全力で拒否してきました。
「やめろ……!」
ですが、やめろと言われてやめるぐらいなら、最初から何もしていないんですよ。
「大丈夫ですよ、徐々にゆっくり入れていきますから。入れるとトロトロになるそうですよ〜?」
私自身では試していないので、通販サイトの受け売りですがね。
「な、なにがトロトロになるというんだ!?」
「えーと、多分お尻がトロトロになるんじゃないですかね」
適当に答えたら余計恐怖を与えてしまったようで、隊長は再び無駄なジタバタを始めました。
だーかーらー、藻掻いても外れませんって。しっかり縛ってあるんだから。
「さぁ隊長。先ほどの質問に答えてください。キスはどちらが先に仕掛けたんですか?」
隊長は真っ赤になって、顔を背けました。
「……黙秘する」
「ほぅ。答えたくないと」
無言が答えのようです。
ならば、仕方ありませんねぇ。レェーッツ、挿入!
私は隊長のパンツに手をかけ、ずりっと下にずり降ろしました。
あぁ、隊長のお尻が私の手に当たっています。堅くてたくましい、隊長のお尻が!
「な、撫でるなっ」と隊長には怒られましたが、テレなくたっていいんですよ?
初めて見るお尻じゃないんだし。
前もズレて、ちょっと青い毛がですね、見えていてですね。
ゴ、ゴクリ。もうちょっとずらせば、全部見えますね。お目見えしますね、隊長のアレが。
いや、見るの初めてじゃないですけど、でもやっぱり間近で見るのは恥ずかしいっていうか……
これをナナは間近で見たんだなぁ。ずるいなぁ、義理の兄妹とはいえ。
「た、隊長。答えてくれないので時間切れです。スティックを入れちゃいますよ、いいですね?」
「拒否する!!」と隊長は完全にキレた怒り顔で答えましたが、そんな程度で私が止まると思ったら大間違いですよっ!
指で隊長のお尻の穴を探り当て、指の先をちょっと入れただけでも隊長は小さく呻いて、あぁ、隊長のお尻の穴の中、暖かい……
「レン、危ない!!」
暖かさに恍惚としてしまった私は、おかげでナナのせっかくの警告にも反応がワンテンポ遅れてしまいました。
「ほげぇ!!!!」
ぐさぐさと鋭い何かが私のお尻に何本も突き刺さり、私は女子らしからぬ悲鳴をあげました。
いや、マジで痛いですよ!?何ですか、これ!!
「……ナナちゃん、あとで話は全部聞かせてもらうわね。それと、そこの溝鼠」
あぁ、この低く押し殺した女性の声。
振り返らなくても判ります、セツナ先生が青筋立てて仁王立ちしているであろうことは。
「みんなの隊長に手を出した償いは、たぁ〜っぷりと償っていただきますから。ねっ?」
恐る恐る振り返った私が最後に見たものは、般若の微笑みでメスを構えたセツナ先生で――



おしまい

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