第九小隊☆交換日誌

クリスマスはスイーツ(笑)の香り

今年も寒い季節がやってきた。
いつもは家から一歩も出ず、研究で過ごすのが俺の闇月スタイルだ。
だが、今年は違う。何故なら、異界の祭りを知ったからだ。
俺が掴んだ異世界情報によると、とある世界では闇月にクリスマスという祭りを開くらしい。
そいつを、我らが故郷のサイサンダラでもやろうと思った次第だ。
だが、一人で祝うのは寂しすぎる。やはりナナたんを誘うべきだろう。
というか、最終目的はナナたんとエッチすることにあってだな……
ナナたんなくしてクリスマスは語れない。
ククッ。この日の為に、何を用意すればいいのかは調べがついている。
ナナたん、今日という今日こそは君の純潔を頂きだぜ!


「へー、これがクリスマスツリーですかぁ。綺麗ですね〜」
「あ、見て見て!てっぺんに、お星様がついているよ、ユン兄!」
数時間後。
俺の家にはナナたんを始め、お馴染みのメンバーが勢揃いしていた。
……くそっ。
俺はナナたんだけを誘ったはずだが、どうしてこうなった?
ナナたんがレンとユンを連れて行きたいと言い出したのが、きっかけか……
でも同行を認めないと行かないなんて我が儘をこねられたら、許さないなんて出来ないじゃないか。
そうしたら今度は女医が関心を持ち始めて、そいつをユンが黙ってりゃいいのに誘ったりするから。
なんだかんだで、全員来ることになっちまったんだ。
全てはユンのせいだ。そうに決まった。
今もナナたんがはしゃいで可愛い笑顔を向けているというのに、ユンときたら全くの無言だ。
立ち位置を変わってやりたいぜ。そうしたら、俺は言うんだ。
「あのお星様は君の願いをかなえてくれるんだよ」って。
ナナたんがキョトンとして「私の願い?」って聞いてきたら、すかさず唇を奪って、こう答えるのさ。
「君の願いは判っている。俺と結ばれたい……そうだろ?」
ファーストキスの衝撃で、ナナたんは潤んだ目で俺を見つめ、ほぅっと赤くなるんだぜ?
「ねぇキース、この七面鳥は何処へ設置すればいいのかしら」
赤らんだ彼女を俺も見つめ返し、もう一度キスをかますのさ。
何度でも、ナナたんがくったりするまで、そう何度でもだ。
「ちょっと、聞いてるの?キースッ」
あぁ、もう、うるさいな。なんだよ、七面鳥がなんだって?
現実に戻った俺が人相悪く睨みつけると、セーラはたじろいだようだった。
「だから、この七面鳥……どこに飾ればいいのよ?」
女医が焼いた七面鳥を、飾り物だと思っていやがる。
こんがり焼き色がついて見るからに美味そうなのに、こいつには食欲ってもんがないのだろうか。
「そいつは飾り物じゃない、食うんだ。本日のメインディッシュだぞ」
「え〜っ!?こんなにたくさん、食べられないわよォ」
素っ頓狂に大声を出して喚くセーラへは、すかさずレンがフォローに入る。
「セーラさん、我々全員で分けるんですから大丈夫ですよ」
さすが我が小隊のツッコミ係だ、迅速だな。
「七面鳥の他には何を食うんだ?」と、こっちは食欲しかないカネジョーが質問してくる。
俺は答えてやった。
「ケーキだよ、クリスマスケーキ。あと、ワインだな」
実はクリスマスケーキこそが、最大のメインディッシュなのだ。
ケーキと比べたら、七面鳥などオードブルに過ぎない。
だが、今は伏せておこう。
まずは邪魔者のレンとセツナ、この二人をワインで酔い潰しておかなくちゃならない。
そう、クリスマスケーキを存分に味わう為にもな……クククッ。

それから、しばらく俺達は七面鳥を酒の肴に、とりとめのない話をした。
何杯目かのおかわりでレンが酔いつぶれ、何十杯目かをカラにする頃には、ようやく女医の瞼も下がり始めてくる。
俺?俺は勿論、大丈夫だ。
ワインは最初に飲んだ一杯だけで、あとはずっと葡萄ジュースを飲んでいるからな。
カネジョーやセーラの顔も赤く染まっているが、こいつらが潰れたところで問題はない。
ナナたんの顔も、だいぶ赤い。
ユンはというと、いつも以上に虚ろな視線でボーッとしている。
この二人はレンと一緒のタイミングで飲み始めたはずだが、まだ潰れるまでの量には至っていないようだ。
「よぉ、顔が赤いぜ?女医」
俺がからかうと、女医は半開きの目でキッと俺を睨みつけ「まら、へーきよぉ」と酒臭い息を吐いた。
相当意識が混濁してきているな。これなら、クリスマスケーキを出してきても平気だろう。
俺はユンを呼び寄せると、耳元で囁いた。
「ユン、ケーキを準備する。お前も手伝ってくれ」
ユンはぽやんとしていたが、俺の声には一応反応したのか、スローモーに頷いた。
半分寝かかった奴の手を引き、台所へ入っていくと。
俺はユンの手に、刷毛と生クリームの入ったボウルを渡す。
「いいか、これをナナたんの体にまんべんなく塗るんだ」
「……どうして、にゃにゃに……?」
もつれる舌で、それでも疑問をはき出すユン。
「ナナたんこそがクリスマスケーキだからだよ。
 まずはナナたんを脱がせろ。お前が言えば、ナナたんは素直に脱ぐ」
「にゅがす……」
ぶつぶつ呟いて目を擦ろうとするもんだから、危うくボウルが落ちるところだったじゃないか。
俺はユンを後ろから抱きかかえる形で、ホールへ戻る。
すると、すっかり出来上がったセーラが俺達を指さして馬鹿笑いした。
「やっだぁ〜、キースってばユンに気があったの?抱きしめちゃったりして、エッチィ〜☆」
気持ち悪い冗談は勘弁して欲しいものだ。俺は一生ナナたん一筋だし、男に走る趣味もない。
「ほら、ユン、ナナたんに頼め」
無理矢理ナナたんのほうへユンを押しやると、ユンは据わった目でナナたんへ話しかけた。
「にゃにゃ……」
「ん……?にゃあに、ゆんにぃ」
お互いボエッとした意識での会話だから、ろれつもロクに回っていない。
それでも意味は通じているのか、ユンが「にゅげ……くりーむ、にゅってやる」と呟くと、酔いに染まったナナたんがケラケラ笑う。
「やらぁっ、ゆんにぃのえっちぃ」
嫌だという割には、突き飛ばしたりしないんだな。
俺が言ったら、露骨に眉をつり上げて怒るくせに。
「にゅげ」
今だってユンがずいっと迫ってくるのに、ナナたんときたら、むしろ喜んでいる。
「やらぁ〜、もぉ、ちょっとらけよ?」
とか言って、ちらっとセーターをめくって、うぉぉっナナたんの柔らかな肌がチラ見えに!
興奮する俺の目前で、ユンが唐突に豹変した。
「にゅげー!ぜんぶ、にゅげ!」
にゅげにゅげ言いながら、ナナたんの上にまたがって、セーターを一気に引き上げる。
対してナナたんは抵抗するでもなく、キャッキャと喜びながら脱がされるままになっていた。
ユンの手が無造作にナナたんのおっぱいを握りしめ、ナナたんは「やぁん」と喜びながら体をよじってかわそうとする。
だが当然ながらマウントポジションを取られていたんじゃ、かわせない。
酔っぱらった兄妹が戯れるのを眺めながら、俺はそっと考える。
なんで俺は、この役目をユンに任せてしまったんだろう?
こんなおいしい役目は、俺自身がやれば良かったのだ。
だが、それと同時に、こうも思った。
もし最初から俺が相手だったら、ナナたんは素直に脱がせてくれただろうか?
答えは、Noだ。残念ながら。
ナナたんは酔った頭なれど必死の抵抗を浮かべ、全力で俺を突き飛ばすだろう。
或いは、急所攻撃ぐらいやってくるかもしれん。危なかった。
「やだぁ、禁断の近親相姦ね。うふふっ」
俺の背後で、セーラのトチ狂った笑いが聞こえる。
あぁ、そういやいたんだっけな、お前らも。
「あぁん、カネジョォ〜くぅ〜ん。暑くなってきちゃった」
振り向くと、最大限に甘えた声でカネジョーに擦り寄っているセーラが見えた。
いつものカネジョーなら眉間に無数の縦皺を刻んで全力で突き放すんだが、今は違う。
ナナたんと同じぐらい、酔いつぶれているのだ。
ぼーっとした顔で、セーラに抱きつかれるままになっている。
「カネジョーくんだったら、触ってもいいのよ?」
カネジョーの膝の上にまたがったセーラがブラウスを脱いで、自分の胸をユッサユサと揺さぶっている。
下品な女だな。
あんなだから普段のカネジョーに嫌がられるんだって、全然判っちゃいない。
同じ巨乳でもナナたんみたく、恥じらいを持ってくんなきゃな。
まぁ、そのナナたんも今は酒の力で恥じらいを無くしちまっているんだが……
「んァ?」
寝ぼけた目で、カネジョーがセーラを見た。
今のセーラを素面で見たら、きっと驚くだろうな、あいつ。
何しろ下着しかつけていないんだから。
「あぁん、カネジョーくん、そんなに見つめられたら……大サービスしちゃうわよ」
セーラもセーラだ、やぶにらみの寝ぼけた目で見つめられて、何が嬉しいんだか。
んばっと大胆にブラジャーを外し、部屋の隅っこへ放り投げる。
続いて、ぬばっとパンティも脱ぐと、こっちはカネジョーの頭へかぶせてやった。
おいおい、俺達もいるってのに恥知らずにも程があるぞ。
そう思いながら、俺はじっくりセーラの裸体を鑑賞した。
いわゆるモデル体質で、出るトコはきっちり出て、引っ込む部分は引き締まっている。
ナナたんのむっちり健康スタイルとは異なるが、これはこれでイイ女だ。頭さえおかしくなければ。
「カネジョーくんのも、見・せ・て……?」
カネジョーがいいともダメとも答える前から、さっさと脱がしにかかっている。
酔いの覚めた瞬間がミモノだな。
怒り狂うカネジョーの姿を想像して、俺は邪悪な笑みを浮かべた。
……おっと。
セーラの痴態に気を取られてしまったが、ユンとナナたんは、どうなった?
ナナたんへ視線を戻した俺は、思わず「ほわぁぁっ!!」と甲高い悲鳴をあげてしまった。
ユンが!
ユンの野郎がッ!
全裸と化したナナたんの上へ馬乗りとなって、寝ぼけた眼差しでペタペタとクリームを塗りつけてやがるッ。
いや、クリームを塗れと命令したのは俺だから、それで驚いたってわけじゃない。
ユンの奴、自分も全裸になっているじゃないか!
何がどうして、こうなった!?
ナナたんの清らかな素肌に、ユンのきっちゃねぇブツが擦りつけられているのかと思うと気が気じゃない。
俺は「どけっ!」とばかりにユンを押しのけ、クリームぬりたてなナナたんを抱き起こした。
「ふぁん、ゆんにぃ……くすぐったいよぉ」
「ナナたん、キースお兄ちゃんが今からペロペロしてあげるからね」
俺は血走った目で、ナナたんの裸体を隅から隅まで眺め回す。
ナナたんのおっぱいの先っちょと茂みの部分に、これでもかってぐらい生クリームが塗りつけられている。
酔っぱらってグデングデンな割には俺の命令通りの場所へ、ちゃんと塗っていたんだなユンの奴。
妙なところで真面目な奴だ。奴らしいとも言えるが。
「ナ、ナナたん……」
鼻息荒く、ナナたんの先っちょを口に含む。
生クリームの甘い味が、俺の口の中に広がった。
むっ、ナナたん、乳首が立っているじゃないか。こんないやらしい乳首には、お仕置きが必要だ。
舌の先を使って、たっぷりレロレロしてやると、ナナたんが俺の腕の中で身じろぎした。
「ん、うぅん、らめぇ、ゆんにぃ、そこ、かんじちゃうぅ〜」
俺をユンだと思っているから、抵抗しないのか。
残念だったな、愛しのユンお兄様なら床の上で熟睡しているぜ。
全裸だから、明日は風邪引き決定だな。
だが可哀想とは全然思わん。
妹に全裸でまたがる変態兄貴なんぞ、風邪引きの刑で不幸になれ。
存分に乳首を舐め回しているうちにナナたんの重みが腕の中で増してきたので、俺は一旦頭をあげる。
ナナたんは、すっかり夢の中だった。軽く寝息を立てている。
寝ちまったのか……仕掛けるのが遅すぎたか?仕方ない、キスはお預けだな。
寝ているナナたんにキスするのは、俺にとって無意味だ。
キスはナナたんが起きている時に、ナナたんの意識に、しっかり刻みつけてやらねばいかんのだ。
君のファーストキスの相手は、この俺、キースだと。
じゃないと他の男に無理矢理奪われた時、ナナたんが傷ついてしまうかもしれないだろ?
まぁ、そんな悲惨な事態など引き起こさないのが一番なんだが。
これはロストバージンにも言えることであって、初夜も残念ながらお預けだ。
その代わりと言っちゃなんだが、ナナたんについている生クリームは俺が責任取って全部舐めとってやろう。
そっとナナたんを床へ寝かせると、大股開きにしてみる。
弾みで生クリームが、とろりと溶けてきて、ナナたんが「んぅん……」と小さく喘いで身を揺すった。
「ナナたん、ペロペロして綺麗にしてやるから、もうちょっとの我慢だぞ」
俺はナナたんの股間へ顔を近づける。
――その時だった。
四つんばいになった俺の尻に、ひんやりとしたものが当てられたのは。
「キィースゥー?このエロ眼鏡がぁ〜」
地獄の底から響き渡るかってなドス声で誰かが俺の尻穴へ、ズボン越しにメスを突き立てようとしている。
誰かなんて暈かす必要はなかろう。この声は、女医だ。
こいつ、まだ潰れていなかったのか……
しかもメスを取り出しているってこたぁ、まだ正気を保っていたのか!
「ア〜?拡張してやろうか、オラァ」
恐る恐る首だけで振り向いてみると、やぶにらみに俺を睨みつける女医と目があった。
怖ェ。この女、こんな般若顔も出来るのか。患者が裸足で逃げ出すな。
「ケツアナ拡張してやろうかって言って・ん・だ・よ!」
言ってんだよをリズミカルに言いながら、メスで俺の尻を突くのは止めてくれ。
つーか、全然正気じゃない。酒のせいで悪化している。正気だったほうが数倍マシだった。
「ややや、やめてくれ。凶器はノーだ、落ち着いて話し合おう」
狼狽える俺へ、女医の攻撃はハンパない。
「だったら脱げ」と言われて、ハァ?となる俺の尻に、ちくりと痛みが走る。
「あ、あわわわわ」
俺のほうが素面なのにパニックだ。どうしたらいいのか、判らない。
慌てる俺のズボンを引っつかみ、女医がぐいっと降ろしてくる。
やめてくれ、ナナたんならともかく、お前に脱がされるのは不本意だ!
だが抵抗虚しく、女医は酔っぱらった勢いで俺のズボンを引っぺがし、ついでとばかりにパンツまでズリ降ろす。
誰か助けてくれぇっ、このままじゃ医者に犯される!
しかも尻穴を拡張されてしまうかもしれない、メスで。
言っちゃなんだが、女医、お前は全然俺の好みじゃないんだ。
おっぱい小さいし。
顔もきつめで可愛くないし。
お前と抱き合うぐらいなら、まだセーラと抱き合ったほうがマシだ。
いや、一番いいのはナナたんだけど!
「しょぼいモンぶらさげてぇ〜。ちょんぎっちまうか?オラ」
ぎゃあ、女医のやつがメスで俺のブツをツンツンしてきやがった。
恥も外聞もなく、俺はすっかり涙と鼻水でグチャグチャだ。
今、心の底から恐怖を感じている。酔っぱらった女医のタチの悪さに。
立ち向かえればいいんだが、奴は刃物を持っている。こっちは素手だ、分が悪い。
しかも、その刃物で俺の敏感な部分をツンツンしてくるのだ。
本当にちょん切られそうで、生きた心地がしない。
「よぉ、この汚いソーセージをぶったぎったら、いいソースが出そうじゃねぇか?アァン?」
ブツをメスでピタピタ叩きながら、背後から女医が囁いてくる。
俺はもう、アゥアゥと言葉にならない嗚咽を漏らすしかできなかった。
だって、本当に怖いんだぞ!?
想像してみろ、般若みたいなツラした女がメスを片手に背後からのし掛かってきているさまを。
これはもう、想像を絶する生命の危機だ。
「汚ぇストロベリーソースを、ぶちまけてやんぜぇー!ハッハハハハ!!」
ただでさえ、緊張の極地にあったというのに。
唐突にでっかい声で笑われて、とうとう俺の意識はプツンと途切れてしまった。


――翌日。
第九小隊はレンを除く全員が風邪を引き、寝込む結果となった。
ただ一人無事だったレンは、その様子を軍へ報告すると。
皆が起き出した後の大騒ぎを思い出し、ふうっと悩ましい溜息をついたのであった。



おしまい

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