act5 Prologue
地下シェルターがあったって、人類が全て助かるとは限らない。ベイクトピアだって、全ての人間がシェルターに入れるわけじゃない。
そう、貧富の差ってやつが、助かる人間を見殺しにしている現状なのさ。
そんな状況が嫌で、俺は研究者の道を選んだ。
ホントなら、親父の会社で社長の椅子が待っていたっていうのにな。
幼い頃から親に決められていた婚約者とも、縁を切ってしまった。
馬鹿な男だよ。
人類の未来の為に、てめぇの人生全てを棒に振っちまったんだから。
――でもな。
研究者になったことを後悔してばかりでも、ないんだぜ?
全てを捨てたかわりに、得たものも多い。
だから俺は、もう振り向かない。
俺は俺なりに自分の使命を、まっとうすることにした。
俺らしい、やり方で。